『ゲット・アウト』

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 皆さんこんにちは、女住人Mです。まもなくハロウィン、ハロウィンと言えばホラー系?!ということでこのジャンルで猛烈にオススメする作品の公開が続くので、2週に渡ってご紹介いたします。今回は10/27(金)公開『ゲット・アウト』です。
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 主人公はNYで暮らすアフリカ系アメリカ人写真家のクリス(ダニエル・カルーヤ)、白人の可愛い彼女ローズ(アリソン・ウィリアムズ)がいるイケてる彼。週末に彼女の実家に招待され、自身が黒人であることを心配しながら、ローズの両親と初対面。実際には大歓迎され、ホッとしたのも束の間、「何だかおかしい」出来事がいくつもいくつも起こり、じわじわと"恐怖"が彼を襲うことになるのです・・・・
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 本作は今年2月に全米で公開されると低予算映画ながら初登場No.1を記録し、その後8週連続TOP10入り、全世界的にも大ヒットを記録し、今年上半期に最も話題をさらった映画と言っても過言ではありません。その大ヒットの要因を考えるに作品自体のオリジナリティ性にあるんじゃないか、と踏んでいます。"彼氏を初めて両親に紹介"というシチュエーションだけ考えても「どこの馬の骨ともわからんやつに俺の娘がやれるか」問題というお決まりの展開、プラス違う人種同士問題も加われば余計にややこしいことが起こりそうだな~、と想像はできます。
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なのできっとこの映画もボーイフレンドを両親に紹介したことから浮き彫りになる人種差別をテーマにした映画か、と観ていると、物語はちょっと違った方向へ進んでいきます。なぜならローズの両親はクリスを心からウェルカム!なのだから・・。
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それでも、どうもローズの家は何だか変。「黒人に偏見はない」と語るローズの両親は確かにそうなんだろうけど、フレンドリー過ぎるし、そんな発言をする割に雇っている庭の管理人も家政婦も黒人ばかり。しかもこの人たちの言動が全て変・・・「何だかおかしい」が積み重なるにつれて、ついにクリスはある衝撃的事実を知ってしまうのです。「こいつらむちゃくちゃおかしい!!!」と。
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もうそれが明るみになった時は「そう、きたかぁぁぁぁーーーーー」と声をあげたくなること必至な展開!!!!この衝撃、ちょっと毛色は違うのですが、去年の冬公開し、シネマイクスピアリでも大大ヒットをした『ドント・ブリーズ』(:お屋敷に泥棒に入ったら出くわした住人のじいちゃんがトンデモだった!的ホラー映画)を彷彿させる感じなんです。クリスが「こいつらマジかっ!」と気付いて以降は「ドンド・ブリーズ」同様、観客の想像を越える展開にきっと震えることでしょう。と、同時にその話の持って行き方の絶妙さに、ニヤリとしたくなるハズ!確かにテーマは"人種差別"ではあるのですが、思ったのとは別の方向からそのテーマを深堀りしてくるんです。
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(クリスの相談相手、親友ロッドが最高!本作はバディ(相棒)映画としても秀逸です。)

 本作の監督・脚本・製作はコメディアンでもあるジョーダン・ピール。コメディで培ったそのセンスが本作の中でもいい塩梅に加わり、恐怖の中に絶妙な笑いがやってくる。ここまで読んで頂き本作にもし興味を持っていただけたなら、予告編も何ならポスターもチラシもチラ見程度で本編をご覧になることをおススメします!そしてエンディングを知った時に「きっとあっちヴァージョンもあったんじゃないかな」と想像するハズ。はい、それ正解です!

By.M
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『ブレードランナー2049』

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 皆さんこんにちは女住人Mです。
今年公開される映画で楽しみにしていた作品がいくつかありましたが、この作品はまさにそれ!カルト的人気を誇るSF映画の続編10/27(金)公開『ブレードランナー2049』です。
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 前作の「ブレードランナー」は2019年のLAが舞台。"レプリカント"と呼ばれる人造人間が労働力として製造され、人間の代わりに過酷な労働を強いられていました。が、感情が芽生えたレプリカントが自由を求めて暴動を起こし始めたことから"ブレードランナー"と呼ばれる捜査官が彼らを"解任(=殺)"していたのです。前作ではブレードランナーである主人公デッカードをハリソン・フォードが演じ、レプリカントVS人間の死闘を描きながらもレプリカントの悲哀や、そもそも人間が人間たる所以とは何なのか?といった深いテーマを描いていました。公開当時(1982年)、この映画で描かれていた未来感がセンセーショナルで、その世界観そのものが大きな話題にもなっていたのでした。
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(前作で登場したハリソン・フォードは今回も登場!)

前述したように「ブレードランナー」はカルト的な人気がある作品。新作『ブレードランナー2049』を心待ちにしている方もたくさんいらっしゃるでしょうし、(現段階では)公開前なので今回は極力ネタバレなしで、ふんわりとお届けしたいと思います。

 先ず皆さまにお伝えしたいのは、前作「ブレードランナー」を見ていなくても本作は充分楽しめますが、前作を知っていた方がより感動出来るので、前作を予習しておいていただきたいなぁ~、ということ。「その時点で面倒・・・」と思うでしょうが『ブレードランナー2049』は前作を遥かに越える感動作なので、その感情の高まりを経験いただきたく、「ブレードランナー」の予習鑑賞をオススメします。

前作は35年前の作品ですが「この当時にもうこんな映画が作られていたのか!」という驚きを体験するだけでも楽しめる1本です。そして前作のあるレプリカントの行動と本作で描かれるあるシークエンスが対になっていて、前作を知っていればいる程、心が揺さぶられる展開も用意されているからです。
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 また「ブレードランナー」ではレプリカントを"解任"する立場にあるデッカードが、レイチェルと言う名のレプリカントと惹かれあっていく様も描かれていたのですが、その二人がその後にどうなったか・・・も描かれ、それが本作の主人公"ブレードランナー"捜査官Kの人生に深く関わっていくのです。
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捜査官Kを演じるのは映画「ラ・ラ・ランド」で大ブレイクしたライアン・ゴズリング(以下ゴズりん)。あちらの作品でも切な系男子を演じ、多くの女性の心を奪った訳ですが、本作でも切なゴズりんの魅力が最大限に発揮されたエモーショナルな役で、ゴズりんファンの方におかれましたはまたもや彼に心奪われる作品になっていることは私が責任をもって保証いたします。
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何せ捜査官Kは"レプリカント"。旧型のレプリカントを解任する、つまり仲間を殺す汚れ仕事をしている、それ故の悲しみを抱えて生きているのです。心の支えはよき理解者、人工知能(AI)のジョイ(アナ・デ・アルマス←むちゃくちゃ可愛い!)だけ。その彼が予期せぬ形である希望を見い出してしまい、故に自分を見失い、それが彼を思わぬ方向へ導いていき・・・・わぁぁぁ!!もう涙、涙、涙、な後半戦。またもや切なゴズりんに泣かされるのでした。
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「ブレードランナー」と言えばテーマ曲や音楽も魅力的で今回も映画館のスクリーンで観ないでどうする!的サウンドマジックが用意されていますが、それ以上に撮影のロジャー・ディーキンス(「007スカイフォール」ほかアカデミー賞ノミネーション過去13回!)のカメラワークがGodの域!どこを切り取ってもため息が出るほど美しく、捨てショット一切なし!その中に佇むゴズりんのかっちょ良さがいちいち大変なことになっています。

 監督は"ばかうけが地球を襲来?!"でお馴染の「メッセージ」を手掛け、今最も名前を口に出して言いたい監督、ドゥニ・ヴィルヌーヴ。業界内では本作を本年度ベストと上げる人、多数!今年の映画を語る上で絶対ハズせない1本なので、是非お見逃しなきようにーーー!!!

By.M
配給:ソニー・ピクチャーズ  エンタテインメント

★シネマイクスピアリからのお知らせ★
毎月お届けしている旧作上映<キネマイクスピアリ>11月の作品は本作の公開を記念して、ライアン・ゴズリングが若ゴズりんだった時の代表作『きみに読む物語』をお届けします。
シネマイクスピアリがお届けする"秋のゴズリング祭"をお楽しみください♪
日程:11/4(土)~11/10(金)まで。
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※キネマイクスピアリについてはこちら をご覧ください。

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『アトミック・ブロンド』

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 皆さん、こんにちは。ヒーロー、ヒロインが屈強な敵をバッタバッタとやっつける系の映画が大好物な女住人Mです。
今回ご紹介するのは孤高の女スパイが大活躍!10/20(金)公開『アトミック・ブロンド』です。
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 舞台は東西冷戦下の1989年、ベルリン。イギリスの情報機関MI6の女スパイ、ロレーン・ブロートン(シャーリーズ・セロン)のミッションは同僚を殺害し各国機関の潜入スパイの名が記されたリストを奪った裏切り者を見つけ出すこと、そしてリストの奪回。敵国ソ連はもちろん、各国の諜報員たちもそのリストの行方を探っている中、彼女は命を狙われ続ける。事件の黒幕は誰なのか、そしてリストを奪い返すことは出来るのか・・・
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 「007」&「ミッション:インポッシブル」シリーズと男性主人公のスパイものの名作はたくさん誕生していますが今回は女性スパイもの。演じるは「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のフュリオサ役で世界中の映画ファンを味方につけたシャーリーズ・セロン。スタイル抜群、クールビューティな彼女が屈強な敵国スパイたちをガッツリ倒しちゃうその様を眺めているだけで、気分最高、ストレス発散、テンション、アゲアゲ↑。
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とりわけ、劇中で7分に及ぶ長回しで撮影されたアクションシーンは、その荒々しさに観ているこちらの息が止まる程の迫力。ワイヤーを多用した軽やかなアクション、というより肉弾戦的、至近距離でのガチな戦闘が多いので殴る音も鈍く、それがまた臨場感あり。キアヌ・リーブスが殺し屋を演じた「ジョン・ウィック」に近い印象がありますが、それもその筈、監督は自らもスタントマンとしてのキャリアを持ち「ジョン・ウィック」の共同監督、プロデューサーをつとめ「デットプール」続編の監督にも大抜擢されたデヴィッド・リーチ。
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(MI6ベルリン支部のエージェント、パーシヴァルを演じるのは演技派ジェームズ・マカヴォイ。おぼこい風な彼ですが、癖のある役を演じるとさらに光ります!)

 実はシャーリーズ姐さん、「ジョン・ウィック2」の撮影を控えたキアヌと一緒にトレーニングをしていたそうで「年上のキアヌがあんなにやれるなら私も出来る!」と1日5時間、3ヶ月間に及ぶ訓練を経て本作に挑んだほど。そんな本気度もスクリーンからバシバシ伝わってきます。シャーリーズ姐さんはただでさえ惚れぼれするほど美しいのに強さも加わって、向かうところ敵なし。途中、フランス人スパイ、デルフィーヌ(ソフィア・ブテラ)とも出会い、彼女の心まで奪っていくあたりも「まぁ姐さんを前にしたら男も女もないわね」という感じでございます。
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 そんなモリモリ、ゴツゴツのアクションをより引き立たせるのが全編にちりばめられた80年代のヒットナンバー!このあたりは大ヒットの記憶も新しい「ベイビー・ドライバー」や「キングスマン」を彷彿。アクションと音楽の融合で観客のテンションがさらにぶちアガること間違いなし!デヴィッド・ボウイ、ジョージ・マイケル、デペッシュ・モード、ニュー・オーダーほか、特にアラフォー、UKロック好きな方にはたまらないラインナップでこれまた映画を観終わるとサウンドトラックをすぐゲットしたくなるタイプの1本です。
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 ハリウッドでは女性が40才を越えると役が付きづらいそうですが「モンスター」でアカデミー賞主演女優賞を受賞しながらもその後、安パイな役ばかりを演じることなく「マッドマックス~」で自ら坊主になったり、「ワイルド・スピードICE BREAK」で悪役を演じたりとその攻めの姿勢、シャーリーズ姐さんの益々の活躍が楽しみでなりませんぜ!

By.M
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『ドリーム』

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 皆さん、こんにちは女住人Mです。2週連続宇宙もの映画をご紹介。と言っても今回は宇宙開発の裏側で活躍したヒロインたちの夢のある物語、9/29(金)公開『ドリーム』です。

 時代は1960年代東西冷戦下、アメリカとソ連との宇宙開発競争が激化していた頃。アメリカは有人宇宙飛行計画(=マーキュリー計画)をソ連より先に達成することを目標としていました。このミッションが黒人女性数学者たちの貢献なしでは為し得なかったという事実を元に描かれたのが本作。原題は「Hidden Figures」、直訳すると"隠された人々"。実際この事実はあまり知られていなかった、というのも驚きです。
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 今みたく、コンピューターが普及していなかった時代、"コンピューター"とは計算する人を意味していたそうでコンピュータールームに女性がずら~っと並んで仕事をしていたそう。主人公はNASAラングレー研究所で"colored computers"と呼ばれていた3人の黒人女性、管理職への昇進を希望するリーダー格のドロシー(オクタヴィア・スペンサー)、エンジニアをめざす勝気なメアリー(ジャネール・モネイ)、そして子供の頃から数学の天才だったキャサリン(タラジ・P・ヘンソン)です。

物語はキャサリンがずば抜けた計算のスキルでもってハリソン(ケビン・コスナー)率いる宇宙特別研究本部のメンバーに黒人女性としては初めて抜擢されたことから動き始めます。国家の威信をかけたこの"マーキュリー計画"に貢献しようとキャサリンは胸膨らませるのですが、その思いは一日目で玉砕されます。同僚は一人の白人女性を除いて全員が白人男性。自分を見る目は冷たく「なんで女のお前がいるんだ?しかも黒人の・・・」とあからさまに言われているよう。

まだ人種差別が色濃く残っていたこの当時、同じポットのコーヒーを飲むことすら毛嫌いされ、トイレも白人と有色人種用と分かれていたほど。キャサリンは女性であることと黒人であることの2つの理由でいわれのない差別を受けるのです。それもかなりネチネチと。
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NASAという全米中でもよりすぐりの知識人が集まっているハズの職場でもこの有り様。日常で彼女、彼らがどんな差別を受けていたかも推して知るべしです。でもその差別と言ったら、陰湿というかアホらしいというか・・・。例えば、黒人で初めてこの職についたのがキャサリンだったのでこの部がある建物には有色人種専用のトイレがありません。無駄な時間なんかかけられないキャサリンは仕事道具一式抱えて800メートルも離れたトイレをめざし、ドロシーたちがいる棟まで走って行くしかありません。

トイレを我慢しながらヒール靴で疾走する彼女は申し訳ないけど笑ってしまうぐらいコミカルに描かれますが、と同時にそんな偏見自体がなんてくだらないことか、と思わされます。そして苦難に立ち向かう女性たちを決して悲痛な感じで描くのではなく、強く、逞しく、明るさを失わず描いたことで、観る者の心をガッチリと掴むのです。
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3人の友情や家族や大切な人の思いやりも彼女たちを支えます。もちろんそうやって必死に前を向いて耐えていても我慢の限界が来る時も・・・。そんな時こそ彼女たちは自分の意思を曲げず、希望を捨てなかったことで、周りの方が次第と変わっていくようになるのです。キャサリンのボスを演じるケビン・コスナーがその大きな一歩となる行動をしてくれるシーンは特に胸に刺さります。彼女たちに対しての非礼に、今まで気付けなかった自分を恥じて、その怒りと共に正しき行いをするケビン・コスナー、かっちょ良すぎなのでした。

 どんなに辛いことがあっても諦めない、負けない、という心の強さでもって前に進んだ彼女たちの姿にこちらが救われるような気持ちになる、そしてその痛快さに元気が出る。彼女たちの60年代ファッションも素敵ですよ♪

By.M
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『エイリアン コヴェナント』

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 皆さんこんにちは、女住人Mです。
今週ご紹介するのは私自身、友達の口コミを聞いて観に行った作品、9/15(金)公開『エイリアン コヴェナント』です。
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 H・R・ギーガーがデザインした恐ろしくも美しく残虐なクリーチャーが宇宙船の中で人間たちを次々に襲う「エイリアン」シリーズ。生みだしたのはリドリー・スコット監督。38年前の1979年に「エイリアン」、1982年に「ブレードランナー」を監督し、この2作で映画史に名を残すSF映画の巨匠として知られるようになったのは言うまでもありません。最近ではマット・デイモンが火星に一人ぼっちになる「オデッセイ」を監督し、大ヒットしたことも記憶に新しいところ。

 本作は「エイリアン」の前日譚を描いた「プロメテウス」の続編、"エイリアン誕生の秘話"を解き明かす物語。つまりシリーズ第一作目1979年版「エイリアン」に続く物語。これを観ると「それで「エイリアン」が始まったのかぁー!」と腑に落ちるという訳です。
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 物語は宇宙移住計画の希望を背負って冬眠状態の男女2000名を乗せたコヴェンナト号が惑星に向かっている途中、アクシデントから甚大なダメージを受け、数十人が命を落としてしまったところからスタートします。女性乗組員ダニエルズ(キャサリン・ウォーターストン)ほか生き残った12名のクルー、最新型アンドロイドのウォルター(マイケル・ファスベンダー)がコヴェナント号の修復をしていた時に移住可能な環境と判断出来る未知の惑星を発見。一縷の望みをかけて惑星に降り立った彼らですが・・・・
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 お察しの通り、そこでクルーたちは次々にエイリアンに襲われていきます。しかもウォルターの前世代型(「プロメテウス」でも登場した)アンドロイド、デヴィッド(マイケル・ファスベンダーの一人二役)と遭遇。彼によって惑星の謎がどんどん明かになっていくその過程でどんどんクルーたちは殺されるその容赦ない感じは"エイリアン"ファンであればあるほど「こういうのが観たかった!」と心から思ってもらえる展開です。

途中でエイリアンの謎のキーとなるスケッチが出てくるのですが、またこれがグロいのに美しいんですよね。残虐なシーン以上にそれに伴う美しさに息を飲むシーンも満載、観ている間中ドキドキは止まりません。
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 そして本作においては、最近のリドリー・スコットのお気に入り(「プロメテウス」「悪の法則」と出演作が続く)、マイケル・ファスベンダー(以下ファス)の存在なくしては何も語れません。本作は完全なる"エイリアン"映画にも関わらず、観終わるとファスのことで頭がいっぱいになると言う不思議な現象に陥ります。演技派ファスのアンドロイドっぷり、不穏&邪悪っぷりに心を奪われると同時に「リドリー、どんだけファスが好きなんだ」と・・・。「エイリアン」と言えばタンクトップのリプリーがアイコンだっただけに、本作でも女性乗組員ダニエルズがタンクトップ姿で勇ましく戦いますが、ヒロインは明らかにファスなのでした。
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絶対的力を持った神(創造主)の恐怖、一方での危うさに震えながらもリドリー・スコット監督の"エイリアン"とファスへの偏愛っぷりを感じた力作でもありました。今年80才の人が作ったとは到底思えませんぜ!

By.M
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『僕のワンダフルライフ』

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 以前紹介しました「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」がヒットする中、犬派の皆さまお待たせしました、わんこ映画の登場です。今週のつぶやき映画は9/29(金)公開『僕のワンダフルライフ』です。
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 車に閉じ込められていた所を少年イーサンに助けられた一匹の犬。ベイリーと名づけられ楽しい時も悲しい時も一緒にいた彼ら。でも人間より寿命が短いベイリーはイーサンとお別れする日がやってくる・・・が、ベイリーはまた生まれ変わる。記憶を残したまま、イーサンに再び出会うために何度も転生を繰り返すのです。でも生まれ変わるのは見た目も環境も全く違う犬として・・・
本作は最愛の飼い主との再会を夢見て3回生まれ変わったわんこのお話です。
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 監督はこれまでも「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」「HACHI約束の犬」とわんこ映画の傑作を作り続けているラッセ・ハルストレム。本作で犬と人間の絆を描く"わんこ三部作"が完成です。(この他にも「ギルバート・グレイプ」「ショコラ」などの監督さん、と聞けばその品質保証感は何となくわかっていただけるかもしれません。)ハートウォーミングな作品を作ることに定評があるハルストレム監督が描くわんこ映画なので、間違いない!と断言出来ましょう。
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 言わずもがな登場するのは愛らしいわんこばかり。イーサンが子供の頃に出会うベイリーはゴールデン・レトリバー、次に生まれ変わるとジャーマン・シェパード、次にコギー、そしてセント・バーナードと様々な種類のわんこが登場。どのわんこも可愛い過ぎてもう本当にたまりません。劇中、4匹のわんこが登場しますが「映画監督は動物と子供の映画が撮れて一人前」と言われるよう人の言うことなんて聞いてくれない、ましてや言葉が通じないわんこの演技はトレーニングを重ねたプロわんこがやるのが通例。でもハルストレム監督はキャストと犬の自然な演技を撮りたくて、メインの4匹は映画初出演の子ばかり揃えたそう。それもあってどのシーンも自然で、とにかく観る者の心を癒しまくりなカットばかりなんです。
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 でもそんな可愛いわんこ盛り映画だとしても、愛犬家過ぎて「途中で死んじゃうシーンがあるんでしょ?そんなの観られないよ」という方もいらっしゃると思います。確かに家族も同然の彼らとの別れ、実際に飼っていたり、飼った経験がある方なら自分の時を思い出し、想像し、観られない・・・と思うのも当然です。
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でも本作は、ご主人様と一旦別れてしまったベイリーがその愛情の深さから転生し、何度もご主人様との再会を願うお話。別れは決して避けられないけれど、それでもまた別の形で出会いたい、いや出会えるかもしれない、という我らの切なる願いを形にしてくれた物語なんです。
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しかも自分が愛するわんこも自分と同じようにずっと一緒にいたいと思ってくれていると嬉しいなぁ、という気持ちも形にしてくれている。この映画を観るとミラクルな夢に想いを馳せることが出来ますし、改めて出会っている今この瞬間、精一杯愛情を捧ぐことは何よりも大切!と思えます。

 言葉は通じなくても心は通じ合える、そんな経験をした全てのわんこ好きな方に捧げます!
あっ、にゃんこ派の方もベイリーを愛しい猫ちゃんに脳内変換して是非、ご覧ください。

By.M
©storyteller Distribution Co.LLC and Walden Media,LLC

『ダンケルク』

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 こんにちは女住人Mです。「この監督の新作は必ず映画館で観る!」という方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?今回ご紹介するのは9/9(土)公開、クリストファー・ノーラン監督最新作『ダンケルク』です。
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 第二次世界大戦下、フランス北端の港町ダンケルク。ドイツ軍によってこの地まで追い詰められた英仏連合軍約40万人。時の英国首相チャーチルは彼らをダンケルクから救出することを命じ、イギリス国内から軍艦ほか、民間の漁船を始めあらゆる船舶を総動員して撤退させる"ダイナモ作戦"を発動。本作は桟橋で救出の舟を待つ兵士たち、小型船で救助に向かう民間人の親子たち、空からの襲撃を何とか阻止しようとする英国空軍兵士たち、と陸・海・空の3視点からの救出劇を描きます。
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 クリストファー・ノーラン、代表作に「ダークナイト」「インセプション」「インターステラー」と47歳にして既に巨匠の風格が漂う、2000年代を代表する映画監督。その彼が初めてチャレンジする史実の映画化です。観客に劇場で映画を楽しんで貰うことに全ての神経を注ぐノーラン監督が自身の映画で大切にしていることが"没入感"と"共有体験"。本作でも映画が始まってすぐ"没入"体験は始まり、本編尺106分という短さながら、疲労感は長編級、ダンケルクでのダイナモ作戦への仮想体験度120%。
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加えて冒頭から巨匠ハンス・ジマー大先生が手掛けるスコア(映画音楽)が絶好調!特に本作では弦楽器の音色が追いつめるように鳴り響き、かつ急かすように時計の秒針の音がカチカチカチカチと刻み続け、心臓音と合い間ってその煽られ感たるや。登場人物たちとの共有体験度合いも相当のものです。またCGを嫌う現物嗜好のノーランは主要の場面はダンケルクで撮影し、実際に舟を沈没させ、実物の空軍機スピットファイアや駆逐艦を借りて撮影したりと一切妥協なし。大群の人だって書割です。(さすがにこれはCGの方が安いし楽じゃない?ねぇ、ノーラン)
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(英空軍パイロット・ファリア、演じるはトム・ハーディー。マスクを被っているシーンが多いけど抜群の演技力で観る者もノーランの心も離さない。)

 ただこういう作品を"戦争映画"という括りで敬遠する方もいると思いますが本作はタイムリミットを肌で感じるまるでサスペンス映画のよう。ダンケルクから一刻も早く逃げ出さねばという緊張感、早く兵士たちを救わねばという焦燥感、いつドイツ軍に襲われるともわからない切迫感をただひたすら追体験する映画なんです。それが圧倒的な映像と音響で描かれる・・・もう観ているこっちの体力もどんどん奪われます。

 そして"戦争映画"=残酷描写となりがちですが「そういうのは過去の名作が描いてきたから・・・」とノーランが言ったかどうか定かではないですが、流血シーンや目を覆いたくなるようなシーンは一切なく、とにかく生きてhome(故郷)に帰ろうとする兵士の必死な姿が重点的に描かれます。そんな映画になっているのもダンケルクにおいては敵を倒すことが勝利ではなく、生き抜くことが命題だったからでしょう。
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劇中でも生きて帰ることに罪悪感を抱える兵士の姿も描かれますが、生き抜くことが全てのこの闘いにおいて、彼らはただ生きて帰ったことを祝福される存在となります。もちろん、その一方で犠牲になった者の物語もあり、生き伸びてもその後に絶望しかない人生を抱える者もいます。それでも"生き抜く"ことは希望の一歩になりうる・・・。これまでの"戦争映画"とは違うベクトルで表現された本作、是非スクリーンでご体感ください!
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(陸は1週間、海は1日、、空は1時間と異なる時間軸で描かれる本作。
セリフが少なめで余白がある分、イマジネーションも膨らみ、こういった演出も光ります。)

 戦地に向かった兵士のほとんどは若者だったため、本作においてもメインで登場する役者は今後活躍が期待される役者が揃いました。脇を固めるのはノーラン作品常連俳優のキリアン・マーフィー(上手すぎ!)、トム・ハーディ(かっこよすぎ!)、そしてオスカー俳優マーク・ライランス(渋すぎ!)、英国を代表する名優ケネス・ブラナー(おいし過ぎ!)が加わり若き演技派イケメン俳優から、魅力たっぷりな名優まで英国(界隈)の素敵な俳優勢ぞろいとなっています。
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(自身の船でもって救出に向かうドーソン(マーク・ライランス)と息子と同乗する青年ジョージ。彼らの物語がまたたまらない。)

息詰まるシーンも多いですが、キャスティングにも定評なノーランが選んだ俳優たちを愛でつつ、彼らに心を奪われてみる、という楽しみ方もオススメします!

By.M
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 皆さん、こんにちは女住人Mです。夏休みも終わり、単館系、公開劇場が少ない系の良作映画が続々とシネマイクスピアリで公開されています。今回は都内では既に大ヒット上映中、お客様からのリクエストも多かった『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』(9/9(土)2週間限定上映)をご紹介します。
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 タイトルからわかる通り、本作はバレエダンサー、セルゲイ・ポルーニンのドキュメンタリー映画。端正な容姿と類まれなる表現力で世界中のバレエファンを魅了し、英国ロイヤル・バレエ団の史上最年少プリンシパルになるも、2年後の人気絶頂時に電撃退団・・・。そんな彼のこれまでの人生を余すこと映しだし、その素顔に迫ります。
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 バレエ界きっての異端児として今も注目を浴びている彼。最近ポルーニンの来日公演詐欺という残念な事件も起こりましたが、裏を返せば人気の証とも言えましょう。でも私自身、この映画が公開されるまでポルーニンの存在を全く知らなかった・・・。彼はグラミー賞にもノミネートされたホージアのヒット曲「Take me to church」を使い踊ったMVがYou Yubeで1800万回以上アクセスされ、世界中で注目を浴びることとなった、と聞いていますが、お恥ずかしながらそれも知らなかった・・・。そんなバレエ音痴な私が観ても、グイグイ心引き込まれたのが本作でした。
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 セルゲイはウクライナの貧しい町の出身。9歳でバレエ学校に入学するも、その学費を捻出するために、父はポルトガル、祖母はギリシャと出稼ぎにいくことになり、家族はバラバラになってしまいます。それでも少年セルゲイくんは自分のために家族がこんなにまでしてくれる、という思いと何よりもバレエへの愛を胸に誰よりも必死に学び、13歳で英国ロイヤルバレエスクールに入学、単身ロンドンに行き、増々その才能は開花、19歳でロイヤル・バレエ団の史上最年少男性プリンシパルに上りつめるのです。
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その過程の多くを子供の頃から撮影されていたビデオカメラの映像で私たちは知るのですが、とても貧しかった家庭にカメラがあったことが珍しいのだと思いますが、そこに誰よりもセルゲイの才能を信じていた母の想いを感じとることも出来ます。
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バレエ学校で学び、どんどんスキルをあげていくセルゲイのバレエは素人目に見ても素晴らしさがわかる程。練習風景1つ見ても、彼一人が抜きんでているのも一目瞭然なのです。そして様々な公演で舞う彼は本当に美しく、ダイナミックでまさに"優雅な野獣"なのですが、その一方で胸を締め付けられるような息苦しさも感じてしまうのです。それは常に家族のこと、家族と一緒にいることを一番に望んでいたセルゲイなのに結果、自分がバレエをすることで、家族が離ればなれになっている事実に悲しみ、苦しんでいるから、そう思えてなりません。
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子供の頃から「バレエで家族を1つにするんだ」と言っていたのに、両親の離婚が彼の全ての決定打となっていき、それが呪縛のごとく彼を締めつけていきます。バレエを踊ることが天命であるかのような存在なのに、大好きなもので大好きな人たちが傷つき、自分も傷つけられていく。その矛盾にたった一人で向き合わざるをえないセルゲイの孤独は想像を絶するものがありました。
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それでも結局、人は好きなもの、好きなことで救われていきます。それと出会えたことを幸せと細やかでも感じられることで立ち直っていくことが出来ます。孤独のどん底にいた時に彼を助けたのが何だったのか・・・。それがこれからの彼をずっと支えていくのだと思います。そしてこのドキュメンタリー映画を観た後、きっと誰もがこう思うのです。ダンサー、セルゲイ・ポルーニンの今のダンスを観てみたい、と。

By.M
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 皆さんこんにちは、女住人Mです。ここ数年、世の中は空前の猫ブームなようで、私の周りにも飼っているにゃんこについてそれは愛おしく語る人々多数。そんなブームにあやかる訳ではありませんが、にゃんことの出会いで人生をやりなおしていく青年の姿を温かく描く9/1(金)公開『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』をご紹介します。
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 ジェームズ(ルーク・トレッダウェイ)はホームレスで薬物依存症の青年。親からも見放され、ストリートミュージシャンをしながらその日暮らしの生活を続けていた時に野良猫と出会います。"ボブ"と名付けられた茶トラの猫はその日からジェームズと一緒に生活をしていきます。

本作は本国イギリスを始め世界中でベストセラーになっているジェームズさんの自伝「ボブという名のストリート・キャット」の映画化。本作のロンドンプレミアに参加したキャサリン妃も絶賛の1本です。しかも劇中ボブを演じているのは本物のボブ。高齢のため、逃げたり、走ったりする動きの多いシーンは7匹のプロ!?猫がそれぞれ演じたそうですが、多くはリアル・ボブが演じているところも見所の1つ。
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喉を鳴らすゴロゴロという声がスピーカーから響き渡り、ボブ目線のロンドンの日常、ジェームズの肩やギターに鎮座するボブとどのシーンを観ても岩合さんの「世界ネコ歩き」にも負けない愛らしさでにゃんこ好きの方は勿論、そうでない方の心もガッシリ猫つかみは間違いありません。
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そしてどんな人の心も捕えてしまうボブの魅力が余すことなく描かれているだけでなく、ボブが寄りそうことになるジェームズの人生模様がまた沁みます・・・。ジェームズは心に傷を負ったことで薬物依存症になっています。ダメなことは重々承知しているので、更生プログラムを実践しドラッグを絶ち、何とか社会復帰をしようと思っています。更生担当者ヴァル(海外ドラマシリーズ「ダウントン・アビー」のアンナでお馴染みジョアンヌ・フドガット)に「もう次はないから、本当に更生を約束して」と叱咤され住居を都合してもらいます。
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どんな理由があれ、心の弱さから薬物に手を出してしまうことは肯定出来るものではありませんが、過ちを犯したことを悔いている人、そこから抜け出したいと願う人に心から寄り添う存在がコミュニティーとして機能しているというのは健全です。ジェームズは「今度こそ。」と決意した時にボブに出会います。どうも捨て猫らしく、おまけに怪我をおったボブはまるで自分と同じ存在に見えたのかもしれません。自分が生活するのもやっとですが、自分のことは後回しにして面倒をみます。最初はこの子を助けなきゃ、この子には僕がいないと・・・という気持ちだったと思いますが、そんな感情が彼の心を変えていく様が何ともほんわかします。
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そう、例え言葉が通じなくても、愛情を与えることが、与えられることにもなるし、助けることが、助けられることってありますもんね。ただそこにいてくれるだけで良い、そう思える存在があることで人はとても強くなれるものです。そしてボブへ愛情を注ぐことで、人に対しても閉ざしていた心が溶けていったのかもしれません。これまではなかなか思う通りに進まなかった人生もボブと出会ったことで彼の中の何かが変わり、彼の人生そのものすら変えていくようになるのでした。
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(劇中、リアル・ジェームズさんもチラリと登場!)

人生一人で生きているように思っても、誰かの存在なしでは生きていけないものです・・そんな人生の相棒にボブみたいなにゃんこがいてくれるなら、この上ない幸せですね。

 因みにジェームズさん、自分と同じように挫折した人がまたチャンスを手に出来るよう、本の売り上げなどの多くは慈善団体に寄付し、現在もチャリティ活動に力を入れ、ジェームズの恩返し的人生を歩んでいらっしゃるとの事。え~話や。

By.M
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『ワンダーウーマン』

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 皆さんこんにちは、女住人Mです。
「日本公開はまだかな、まだかな」と待ち望んでいた皆さま、お待たせしました!今回は8/25(金)公開『ワンダーウーマン』をご紹介します。
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 ワンダーウーマンことダイアナ(ガル・ガドット)は外界から隔離され女性だけが住むパラダイス島のプリンセス。彼女らを滅ぼそうとする邪神アレスの襲来に備え、平和を守る戦士としてダイアナも日々戦闘スキルに磨きをかけています。そんな彼女が浜辺に不時着したパイロット・スティーブ(クリス・パイン)を助けたことで初めて人間と出会い、外界では戦争が起きていることを知り、人間界の争いを終わらせるため故郷の島を離れます。
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 「バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生」で華麗に登場し、主役2人そっちのけで観客の心をかっさらっていったワンダーウーマンは只今世界中で大大大ヒット中!全米では「バットマンVSスーパーマン~」やあの「アナ雪」の成績すら越えて、今夏最大のヒットにもなっています。

 さてなんでそんなに『ワンダーウーマン』が大ヒットしているのか?問題ですが、兎にも角にもワンダーウーマンが魅力的なことでしょう。演じるはイスラエル生まれのガル・ガドット。女優になる前はモデルとして活躍、その上18歳から2年間兵役につき戦闘トレーナーもしていた経歴を持つ、まさにリアル・美女戦士。だいたい映画を観ていてもあのコスチュームをまとったワンダーウーマンが何の違和感もないこと自体凄い。下手すると単なるコスプレ劇にしか見えなくて白けちゃいますからね。強さと美しさを体現し、ガルさん完全に着こなしています。
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 そして彼女は単に強いだけでなく、隔離された島で育ってきたプリンセスなのでとても真っ直ぐ純真なところもポイント!自分が劣勢でも、その行いが無謀なこととわかっていても、困っている人を見れば後先考えず助けない訳にはいかない、愛と正義に満ち溢れた存在なんです。だからスティーブも何も知らないダイアナに最初は戸惑いこそすれ、悪を倒したい、人間界を救いたいと願い、正義のために真っ直ぐ突き進む彼女にどんどん巻き込まれ、惹かれていきます。
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(本作でクリス・パインのファンも急増すること間違いなし!)

 ダイアナが宿敵アレスを倒そうとスティーブと乗り込むのは第一次世界大戦時のロンドン、そしてドイツ。スティーブはドイツ軍の毒ガス虐殺計画を防ごうとし、ダイアナはその背後にいるに違いないアレスを追います。彼女は絶対悪=アレスがいなくなれば、この世から"悪"そのものが壊滅すると信じていますが、残念ながら人間自体が愚かな生き物なので結局はまた新しい"悪"の存在が生まれ、悲劇は繰り返されることをスティーブも我々も知っています。

ダイアナは闘いの途中で人間の弱さ、浅はかさを知り、一体自分は何のために戦ってきたのか・・・と絶望するのですが、スティーブのある行動によって、また再び立ち上がるのです。初めての感情に突き動かされ、さらに強くなったワンダーウーマンは涙が出るほど美しいのでした・・・
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(ワンダーウーマンの物語は最近のディズニー・プリンセス的でもあるのでその辺りもご注目!)

本作の監督は(「モンスター」でシャーリーズ・セロンをアカデミー賞主演女優賞に導いた)パティ・ジェンキンス。ハリウッドですら未だ男性と同じようには女性にチャンスが与えられないそんな状況下で、異例の大抜擢だったジェンキンス監督。与えられたチャンスを見事ものにし、この後ワンダーウーマンが再び活躍する「ジャスティス・リーグ」(11/23公開)ではこのムーブメントを受けて、追加撮影が行われたと言われています。そう、ジェンキス監督自身もこの映画でまさにワンダーウーマンになった1人だったのでした。この映画を観た後はあのテーマ曲が流れるだけで「私、強くなれる」・・・そんな魔法にかかっちゃうかもです。

By.M
©WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.AND RATPAC DUNE ENTERTAINMENT LLC.

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