2017年2月アーカイブ

『ラ・ラ・ランド』その2

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 いよいよ今年のアカデミー賞も日本時間2/27(月)に迫って参りました。皆さんこんにちは女住人Mです。今回ご紹介する作品は前哨戦のゴールデングローブ賞で既に作品賞ほか史上最多7部門を受賞し、アカデミー賞でも「タイタニック」に並ぶ史上最多14ノミネート、2/24(金)公開『ラ・ラ・ランド』です。
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 物語の主人公は女優をめざしLA(ロサンゼルス)の映画スタジオのカフェで働くミア(エマ・ストーン)と自分の店を開くことを夢見ているジャズ・ピアニストのセブ(ライアン・ゴズリング)。二人は最悪な出会い方こそすれど、その後の偶然の再会を機に惹かれ合っていきます。
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もうここで私がいろいろ紹介する必要もない程、盛り上がりをみせている「ラ・ラ・ランド」。きっと皆さまが大好きな1本になること間違いなしですから、1日も早く映画館にGO!なのですが、なぜこんなにも観客の心を捉えるのか?
①ミュージカルシーンが素晴らしい。
本作は導入から掴みはOK、5億点!華麗にPOPにテンションMAXでスタートし、この段階で「この映画、最高じゃない?」と確信する方も多いと思います。往年のミュージカル映画のシーンが現代風にアレンジされ演出で散りばめられているので、そういった映画が大好物な方にはそのオマージュに心ときめくでしょうし、それを知らなくてもきっと新鮮な演出に心奪われると思います。とにかくキャッチーで時に切なく、目にも耳にも記憶に残るダンスナンバー、ダンスシーンに観ている間ずっと胸の高鳴りは止まりません。
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②キャストが素晴らしい。
主人公を演じるライアンとエマは本作で共に主演男優・女優賞にノミネートされていますが、過去にも2度共演をしていて、二人が私生活でカップルでないことが不思議になるくらい、息がぴったり!エマはコメディエンヌとしてのセンスが抜群で表情も豊か。ちょっとクールなライアンとの相性が本当に良いんですよね。この映画のために3カ月というリハーサル期間があったそうで二人ともみっちりその期間集中して役作りに励み、ライアンはこの映画でジャズ・ピアノをマスターし、吹替えなしで演奏。きっとこの映画でメロメロになる女性が日本でも急増することでしょう。
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③監督のセンスが素晴らしい。
監督は前作「ノット・マイ・テンポ!(ビンタ)」でお馴染「セッション」のデイミアン・チャゼル監督、32歳。ミュージシャンを夢見たこともあり、かつ大のミュージカル映画好き。劇中随所が"僕の好きなもの"感に溢れ、その想いが映画から放たれるエネルギーとして放出されています。この映画を完成させるためにたくさんの苦難を乗り越えた監督はその喜びすら作品の熱に昇華しているかのよう。「セッション」を初めて観た時も「なんだこの映画は!」という新鮮味に溢れていましたが本作でも全く違うベクトルで新しい風を感じると思います。
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④描かれている普遍的テーマが素晴らしい。
この映画が描くテーマは"恋愛"と"夢"という普遍的なもの。恋愛におけるHAPPYな思いといつしか生じてしまうズレをとてもリアルに描くと共に、夢追い人だった二人だからこそぶつかってしまう悲しみも描きます。本作は純粋に二人の恋愛映画として楽しめるだけでなく、人生において選べなかったこと、選ばなかったこと、つまり今、ここにはないけれどあったかもしれない人生についても描きます。恋にしろ夢にしろ、人は「あの時あ~していれば」という悔恨を重ねて生きていくものですが、この映画ではその想いすら全て受け止めて、今ここにある人生を肯定してくれるのです。私はラスト嗚咽&号泣でございました・・・
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ボーイ・ミーツ・ガールの王道ラブストーリー、皆さまの大好きな成分純度100%で出来上がっていると思うので、1日も早くスクリーンでお楽しみ下さい。

☆シネマイクスピアリからのお知らせ☆
 3/7(火)までシネマイクスピアリのエントランスでは恒例のフォトロケーションも展開。
ここだけにしかない等身大ゴズリングパネルと一緒に記念撮影もして下さいね。
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デイミアン・チャゼル監督とライアン・ゴズリング来日記者会見のレポートはこちらからどうぞ。

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© 2017 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved. Photo credit: EW0001: Sebastian (Ryan Gosling) and Mia (Emma Stone) in LA LA LAND. Photo courtesy of Lionsgate.

『マリアンヌ』

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 皆さん、こんにちは女住人Mです。バレンタインデイからホワイトデイにかけて恋愛もの映画の需要が高まるこの時期にオススメの1本を・・・今回は2/10(金)公開『マリアンヌ』をご紹介いたします。
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 舞台は第二次世界大戦下、ドイツ大使の暗殺任務を遂行すべくカサブランカで出会った諜報員のマックス(ブラッド・ピット)とフランス軍レジスタンスのマリアンヌ(マリオン・コティヤール)。作戦のために一時的に夫婦を装っていたけれど危険と背中合わせの中、次第に二人は惹かれ合い結婚。幸せな日々を過ごしていたある日、マックスはマリアンヌに二重スパイの容疑がかけられていることを知ります。
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 あらすじだけだとブラピとアンジーが暗殺者夫婦を演じた「Mr.&Mrs.スミス」的なアクション映画を思い描く方もいるかもしれませんが、この映画はとてもクラシカルな雰囲気が漂う王道のラブストーリー。冒頭、ブラピ扮するマックスが極秘任務のためにパラシュートで砂漠に降り立つシーンから始まりますが、その導入部分で「この映画、美しいに違いない」という期待感を煽ります。前半は二人が出会い、互いを本当に信じていい存在なのか探り合いながらも、夫婦を演じる様が描かれます。先ずは周囲に二人が夫婦であることを信じ込ませる。イケメンさんなのに(だからこそなのか?)汚れ役や変な役をやりたがりなブラピが本作では久しぶりに金髪の前髪をサラリと落とし、男前度を発揮。理想の旦那像を見事に演じます。
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本作の監督は「フォレスト・ガンプ/一期一会」や「ザ・ウォーク」などで知られるロバート・ゼメキス。最新の視覚効果テクニックを観客にそれと気付かれないよう手間をかけて映像に潜り込ませることでも有名なので、本作における異常なまでのブラピの美しさはゼメキス監督が手を加えたのでは?という噂がたってしまう程、本当にうっとりブラピなのです。
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対するマリオンも笑顔が素敵でエレガンスそのもの。誰もがうらやむ夫婦という設定、この二人だからこそ成し得ているナイスキャスティングです。
カサブランカでの任務を終え、結婚した二人はイギリスで新しい生活を始め、子供も生まれ、幸せな日々を過ごすのですが、そんな時に上司からマリアンヌのスパイ疑惑を告げられるのです。今まで築いた幸せが、信じて疑わなかった妻への愛、妻からの愛が根底から揺らぐ、その衝撃たるや・・・もう絶望でしかありません。
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二人が出会った時にどうやって人を騙すのか、マリアンヌが語るそのセリフがフラッシュバックのようにマックスの頭を駆け巡ります。でもマックスは心から彼女を愛していたからこそ、その自分の愛に偽りがないからこそ「そんなハズはない!妻はスパイなんかじゃない」という気持ちがどんどん大きくなります。
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一方、強い愛で結ばれていてもたった一つの疑いという名のホツレが出来てしまうと、どんどんそれに蝕まれていくもの。愛しているからこそ、マックスの心は揺れ、それに押しつぶされそうになります。果たして、妻マリアンヌはスパイだったのか・・・・つづきは映画館でお確かめ下さい。

 クラシカルでシンプルなこの物語は腕のない監督が映像化したら、とても退屈なものになっていたかもしれませんが、そこはロバート・ゼメキス。最後まで観客の心を離しません。戦争があったからこそ出会い、戦争があったからこそ揺らいでしまった二人の人生。でも二人に共通していたのはどちらも大切な人を想うことだった、というのがまた切なくもあるのでした。

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(C)2016 Paramount Pictures.All Rights Reserved.

『美女と野獣』その1

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 皆さんこんにちは、女住人Mです。今回は皆さんお待ちかね4/21(金)公開『美女と野獣』の日本語吹替版改め"プレミアム吹替版"のキャスト発表会に潜入してきましたのでリポートさせていただきます!
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 エマ・ワトソンを主演に迎え、不朽のディズニー・アニメーション「美女と野獣」をディズニーが完全実写化するのが本作。既に発表されているオリジナル・キャストも豪華なので日本語吹替版が一体どんなキャスティングになるか期待値もMAX!そんな中での発表会は総勢11名のキャスト陣がピアノとチェロの生演奏と共に生歌を披露する、まるで舞台さながらの演出!
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それもそのハズ、主要キャストには主人公のベル役に昆夏美、野獣役に山崎育三郎を始め、村井國夫、岩崎宏美、島田歌穂ほか日本ミュージカル界の一線スターが勢ぞろい。このまま舞台版『美女と野獣』が上演出来そうな豪華キャスティングとなりました。
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 ディズニーとの出会いはサンタクロースに野球のグローブがほしいと手紙を書いたけれど朝起きたらディズニーのビデオがたくさん置いてあったことが始まりと語った野獣役の山崎さん。小さい頃からテープがちぎれるくらい何度も見て、いつかディズニーの吹替をしたいと願っていた山崎さんは「夢は思い続ければ叶うんだ」と改めて実感したそうです。
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 ディズニー作品に参加するのが夢の一つだったと語ったのはポット夫人役の岩崎宏美さん。「この年齢になってまだこんな役に出会えてまだ勉強出来るんだという思いで意欲も沸いてきました。可愛らしいベルにあたたかい気持ちを送りながら頑張りたいと思います」とコメント。
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 チップ役の池田優斗くんは「やんちゃなチップのイメージを大切にして演じたいです。よろしくお願いたします!」と元気にご挨拶。
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 そして「ルミエールはディズニー映画にはかかせないおどけた案内係のようで、観た人全てに愛してもらえるような素敵な役なので大切にしたい」と語ったのは成河(そんは)さん。
20年前に結婚しその披露宴の入場曲が「美女と野獣」のテーマ曲だったと語ったのはコグスワース役の小倉久寛さん。「20年分の並々ならぬその思いを込めて演じたい!」と熱くコメント。
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 劇団四季に所属していた当時ベル役でデビューしたと語ったのはマダム・ド・ガルドローブ役の濱田めぐみさん。「美女と野獣」は濱田さんにとって思い出の宝箱の中に入っている宝石のような作品だそうで「素敵な魔法をかけられるように頑張ります」と意気込みを語りました。
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 ブリュメット役は島田歌穂さん。島田さんも小さい頃からディズニーに触れ育ち、「美女と野獣」もアニメーション、舞台で何度も何度も触れてきたそう。歴史的な実写版に関われることが本当に光栄だと語り「羽ぼうきに姿を変えられた役ですが、羽のように軽やかに、奔放に、ちょっとセクシーに演じたい」とコメント。
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 そして劇団四季にいた頃にもガストンを演じた経験があるのが吉原光夫さん。「見た目が野獣っぽいのでその時から「野獣の役かな」と思っていたけどいつも王子様になれないガストン役なのでちょっと残念です」とコメントし笑いを誘っていました。
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 ガストンの相棒ルフウを演じるのは藤井隆さん。「この素晴らしいメンバーに入れてもらえてとても光栄だけど何で自分なんだろう、と思っています。ディズニーの作品は愛している方がたくさんいらっしゃるので粗相のないように演じたい」と恐縮しながらのご挨拶でした。
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 「私が劇団四季にいた頃は・・・」とジョークから挨拶が始まったのはモーリス役、ミュージカル界の重鎮・村井國夫さん。村井さんも他の皆さん同様この役をオーディションで掴んだそうで「これまで仕事を一緒にしたことがある知ったメンツもたくさんいて嬉しい」とコメント。
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 そしてベル役の昆夏美さんが「幼い頃から「美女と野獣」の大ファンだったので本作の実写版の上映が決まり、ベル役をエマ・ワトソンさんが演じると聞いて、いちファンとして早く観たいと思っていました。ベルはディズニープリンセスの中でも芯が強く、自立した女性という部分が強く描かれたキャラクターだと思います。そういった部分も考えながら吹替に挑みたいと思います。」と抱負を語りました。
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 皆さんのご挨拶の後にはマスコミ向けの記念撮影も行われましたが、生歌を再び披露して全員でポージングするなど、メンバー全員の息もぴったり。最後に「世界中の女性が『美女と野獣』の音楽とベルが着る黄色いドレスに誰もが一度は憧れたと思いますし、それは憧れの象徴だと思います。その世界観が実写化でどう描かれるのか私も楽しみにしつつ、ここにいるキャストの皆さんと頑張っていきたいです。」と昆さんから、「この作品は単なる実写版ではありません。今後100年語り継がれるエンターテイメントになります。これまで語られることのなかった野獣の生い立ちや繊細さも描かれるので男性にも是非観ていただきたいです。」と山崎さんからそれぞれコメントがあり、華やかかつ和やかな雰囲気で"プレミアム吹替版"キャスト発表会は終了しました。
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 『美女と野獣』の吹替版にこれ以上はないというメンバーが揃っただけにただの吹替版と呼ばれるのではなく"プレミアム吹替版"と表現されるのがピッタリ。字幕版、プレミアム吹替版と本作の楽しみ方が倍増でまたまた公開が楽しみになってきましたよ!

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『未来を花束にして』

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 皆さん、こんにちは女住人Mです。何やらトランプ大統領が誕生するや否や、方々でザワザワが増してきました。いつもより世間の目が政治に向いている、そんな今、観て頂きたい1本、1/27(金)公開の『未来を花束にして』をご紹介します。
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 舞台は1912年のロンドン、女性は法の外に置かれ、男性より労働時間は長く、賃金は安く、選挙権も親権もなかった時代。モード・ワッツ(キャリー・マリガン)は7歳から洗濯工場で働く24歳の女性。夫(ベン・ウィショー)と幼い子供との3人暮し。ある日女性参政権運動の活動家である友人の代わりに議会の公聴会で証言したことを機に、エメリン・パンクハースト夫人(メリル・ストリープ)率いる女性参政権運動に身を投じて行く様を描きます。

 女性への参政権が与えられたのは日本では1945年、アメリカで1920年、その数字を見ると「そんなに歴史が浅いのか!」と改めてビックリしてしまいますが、当たり前にある権利も「こういう人たちの手によって獲得出来たのか・・・」ということを教えてくれるのが本作。
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主人公のモードの生活は貧乏だし、劣悪な環境での仕事は辛かったのですが、唯一愛する家庭があったことが生きる支えでした。でもある日、公聴会に出席し、工場での待遇や自身の身の上を語っていく中で「自分には違う生き方があるのかもしれない」と気付くのです。それまでは気にもしていなかった、いやもしかして見て見ぬふりをしていたことに対し「あれ?これって別の選択肢があるのかも」と。

でもその時代は今の当たり前がなかった時代。男性と同じことを求めることが悪とされ、時には反政府分子と見なされ逮捕、暴行を受けることも。パンクハースト夫人の「言葉よりも行動を」のスローガンに鼓舞されたモードは最初こそ戸惑いを覚えつつも、妻の行動をよく思わない夫からの仕打ちや自分と同じような境遇を生きるしかない少女を見た時に「自分たちが求めていることは今だけでなく、未来の子供たちにこそ必要な権利なのだ」と気付き、さらに活動にのめり込んでいきます。
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(パンクハースト夫人を演じるメリル・ストリープ。カリスマ性溢れる役どころを貫禄たっぷりに演じています。)

 今では女性の政界進出も珍しいことではありませんし、日本の選挙権も18歳に引き下げられ、多くの人々の民意は反映されやすくなってきました。でも投票率は相変わらず低迷したままで、大切な1票をないがしろにしている人が多いのも事実。劇中でも権利を訴える女性たちを「どうせ何も変わらないのに・・・」と冷めた目で見る人々の様子も描かれます。でもこの映画を観た後では、「私の1票ぐらいがどうなろうと関係ないだろうしな」なんてことは決して思えません。当たり前にあるものは決してずっとそこにあるとは限りませんし、この当たり前を手に入れるために多くの人の犠牲が払われたのですから。
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 女性参政権実現のために暴力に訴えてでも活動する市井の女性たちが描かれることに関しては、個人的にも考えるところは正直ありましたが、この作品を私は"気付きの映画"だと思っています。知らない、興味を持たないことがどんどん危険な環境を作り出すこともあります。いろいろな変化が訪れている今こそ、知ることは大切なんだな、と。

By.M
© Pathe Productions Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute 2015. All rights reserved.

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