2015年10月アーカイブ

『エール!』

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 皆さん、Bonjour!女住人Mです。今回はご紹介するのは久しぶりのフランス映画、10/31(土)から公開の『エール!』です。
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 フランスの田舎町で酪農を営むベリエ一家。高校生のポーラ(ルアンヌ・エメラ)以外、父も母も弟も全員耳が聞こえません。でも"家族はひとつ"をモットーにオープンで明るく、仲良しな彼らですがある日、ポーラの歌の才能が見い出され開花!娘の才能を信じることが出来ない両親と夢に向かって進みたいと思う狭間でポーラの心は揺れ動きます。

 本作は今年のフランス映画祭で(映画を観た一般のお客様が選んだ)観客賞を受賞、本国フランスでは4週連続No.1、12週連続トップ10入りをし、驚異的大ヒットを記録しています。つまり観た者の心をガシっと掴んで離さない"愛され系"映画ということですが、それは映画全体を包む明るさと素直さ、ストレートさがその理由なんじゃないかな、と思っています。この感じは同じくフランス映画祭で観客賞を受賞し大ヒットした「最強のふたり」と似ているかもしれません。おフランスということもあってか(先入観?!)パパさんとママさんは始終ラブラブだし、幼い弟は年の割にはちょっとおませさん、家族内の隠しごとは一切ない開けっ広げな関係がとにかく明るい。物事をズバズバ表現し過ぎるパパさんの手話をポーラがやんわりと通訳して、その場が険悪にならないよう丸く収めたり、そんな日常は本当に笑いが絶えません。でも仲良し家族でも、ポーラの自立、成長がちょっとした問題の火種になるのです。
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ポーラには実はずば抜けた歌唱力があったのですが、彼女は小さい頃からずっと手話でもって家族の言葉を代弁していたので、おそらく大きな声で何かを伝えるということをあまりしていなかったのです。そんな彼女が気になっていた男の子がコーラスのクラスを取ったことを知り、自分も参加。そこでひょんなことから自分が歌える!しかもかなり歌える!ということに気付くのです。まだ何者でもない成長盛りの少女が自分に才能がある!と知ったら、その眠った能力が勢いよく外に現れるのは当然のこと。知らなかった世界を覗き見て、知らなかった自分を発見して、ポーラはどんどん輝いていきます。
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それを伸ばそうと、音楽の先生は親元を離れ、国営の合唱団に入るべく試験を受けることを勧めるのですが、ベリエ家にとって、唯一耳が聞こえるポーラは、他者や社会との繋がりを持つための必要な存在だったこと、そして彼女の才能がどんなものかがどうしても理解してあげられない両親にとって、娘を信じることは大き過ぎるハードルとなるのです。
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(タイトルの「エール!」はAir(仏語):曲、 Aile(仏語):翼、 Yell(英語):応援の意。)

ここではない場所へ旅立とうとする子供の背中を押してやること、それを信じてやることはどんな両親であってもその不安は変わらないとは思いますが、娘の才能が歌うことだったために余計にポーラの両親は苦悩するのです。でもそれは子を持つ親であれば誰でも共感出来る想いでしょうし、何かと決別をして大人になった私たちにとっても胸に刺さる過去の記憶です。

 そして、誰しも一度はぶち当たる壁を明るさと素直さでもってストレートに描いた本作のメッセージはきっとダイレクトに皆さんの胸にも響くと思います。しかも本作ではそれがポーラのとても魅力的な歌声と共に届けられるのですから・・・・。
逃げるのではなく、旅立つ、そんなポーラの決意を是非スクリーンでご堪能ください♪

By.M
La Famille Bélier (C)2014-Jerico-Mars Films-France 2 Cinéma-Quarante 12 Films-VendÔme Production-Nexus Factory-Umedia


『ジョン・ウィック』

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 皆さんこんにちは。スーツでアクションな映画が大好物な女住人Mです。今週はキアヌ・リーブスが黒スーツでアクションを繰り広げる10月16日(金)から公開の『ジョン・ウィック』をご紹介します。
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 主人公は愛する女性と出会ったことで殺し屋を引退したジョン・ウィック(キアヌ・リーブス)。幸せを手に入れたのも束の間、愛した妻が病死し、彼の元に妻からの最後の贈り物となったビーグル犬が届けられます。それを支えに再び平穏な日々を取り戻そうとした矢先、家に押し入った強盗に愛車マスタングが奪われ、ビーグル犬も殺され・・・。愛する人を失った上にさらに大切なものを奪われたジョンは再び裏社会に舞い戻り、大切なものを奪ったロシアンマフィアの組織に復讐を始めるのです。
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 長年ハリウッドの一線にいながら、ゴシップ情報でよくひとりぼっちで寂しそうにしている姿を激写されているキアヌ。そんな彼のパブリックイメージにもぴったりなこの役。何せ妻の形見のワンコを殺されたことで怒り爆発、巨大マフィアに単身乗り込む、そんなプロットに説得力を持たせられるのはキアヌしかいませんぜ。形見とは言えワンコを殺されて組織が壊滅するまでやり尽くそうとするあたりはちょっとやり過ぎではないか?と思うかもしれませんが、もうこのワンコがむちゃくちゃ可愛いんですよね。キアヌの背中にすがるワンコ、必死にキアヌの後を追うワンコ、キアヌと一緒に寝たいワンコ、とワンコ好きな方にはたまらない愛くるしいワンコ演技に、キアヌの心情はちょっと納得してしまうぐらいです。妻の喪失から何とか這い上がろうと新しいパートナーのワンコと頑張ろうとした矢先にまた地獄に突き落とされるキアヌ・・・その痛手はダブルパンチなのでその復讐心も余計に火が付いてしまっているのです。(あっ、キアヌじゃなくてジョンですね・笑)
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(ワンコを抱き上げるこのジョンの姿・・・胸キュン。)

本作はワンコを殺され、愛車マスタングが奪われてからは怒涛のアクション展開なのですがそこはジョンの眠っていた暴力性の暴走というよりは彼のセンチメンタルの暴走というのがふさわしく、そこがなんとも言えない。「俺、また一人ぼっち、ぼっちじゃんかよぉぉぉ」という叫びが聞こえるようです。だからこそ、ジョン・ウィックというキャラが立つんですよね。

 そして本作、メガホンをとったのが「マトリックス」でキアヌのスタントダブルを務め、スタントコーディネーターを手がけたチャド・スタエルスキ。アクションをよく知った彼が手掛けているので、見せ場のシーンがもう本当に美しいし、素晴らしい!カット割りや編集でごまかさずに長回しにこだわったと言うだけあって、とにかく最高!そして今回、柔道・柔術・カンフー・銃アクションを融合させた"ガン・フー"なるアクションが登場。大外刈りから銃を撃ち、銃で殴ってから足払いなどなど、魅せるアクションがてんこ盛り!もちろん、キアヌもこの役のためならず、これまで着々と身体を鍛えていたので、監督が求めるアクションをなんなくやってのけるのです。キアヌ、最高!!(余談ですが、クリスチャン・ベール主演「リベリオン」という近未来アクション映画では銃を使った"ガン=カタ"という近接格闘術が出てきますが、こういう創作アクションが出てくる映画にハズレはありませんね。多分!)
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この他にもこの映画の中では殺し屋の選ばれし者だけが宿泊出来るホテルがあったり、殺し屋のコミュニティにおける掟があったり、そういうストーリーの細かい肉付けも魅力的!ジョンの親友でスナイパーのマーカスのキャラもまた憎いんですよね。
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(ジョンと旧知の仲でありながらも、複雑な関係になってしまうマーカス。
彼を演じるデフォー様の演技もキラリと光ります。)

 怒らせてはいけない人を怒らせてしまったシリーズではこれまで「96時間」シリーズのリーアム・ニーソン、「イコライザー」のデンゼル・ワシントンといった名優が魅力的なキャラクターを作り上げてきましたが、この系譜に新しく登場したのが「ジョン・ウィック」のキアヌ・リーブス、ってことなんです!!
全米で大ヒットし、続編只今撮影中の『ジョン・ウィック』は10/16(金)より公開です。

By.M
Motion Picture Artwork (C)2015 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved. (c) David Lee

『マイ・インターン』

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 皆さん、こんにちは。休みが取れたらNYに行くことばかり考えている女住人Mです。そして今回ご紹介する作品はNY、特にブルックリン映画としても楽しめる、10/10(土)公開『マイ・インターン』です。
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 舞台はNY。ファッションサイトを運営する会社の社長ジュールズ(アン・ハサウェイ)は家庭も仕事も両立させるスーパーウーマン。そんな彼女の元にシニア・インターンのベン(ロバート・デ・ニーロ)がやってきて部下になります。自分より40歳も年上のベンに最初は気おくれしてしまうのですが、次第とベンと心を通わせていくようになります。
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 インターン制度は学生さんを始めとする若い人たちを企業に派遣する場合と本作のように一旦はリタイアしたけれどこれまでの経験を再び活かしてもらうというシニア向けのものがあります。ジュールズはシニアを大学4年生と勘違いして受け入れを承諾したもの、実際に現れたのはデ・ニーロ扮するベンなので「こんなハズじゃなかった~」と最初は疎ましく接します。

ジュールズの会社はファッションサイトの運営なので時間とスピードが勝負でゆっくりしている暇はなく、思ったら即行動に移すぐらいなので、畑違いなベンに対してはなかなか心が開けません。そんな流れだとこれまでだったら、馬が合わないジュールズVSベンの戦いが面白可笑しく描かれるコメディ映画になるんでしょうが本作は「恋愛適齢期」、「ホリディ」、「恋するベーカリー」と良作を手掛けてきたナンシー・メイヤーの監督・脚本による作品。ベンはこれまでの人生経験をこれみよがしにひけらかすことは一切せず、ジュールズを見守り、控えめに彼女のサポートをしていくのです。
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ジュールズ自身、200人以上いる従業員を束ねる身なので常に気を張っていて、自分自身にプレッシャーをかけている反面、人にも厳しくなり、余裕があまりありません。でも家に帰れば母親として子育てもする、全てにおいて一生懸命な彼女を見てベンは彼女を尊敬し、敬う目線にいるのでそんなベンが発する言動はまさに包容力の固まりなんですよね~。ジュールズを批判することは一切なく、そのままの自分を受け入れてくれるベンへの抵抗感はすぐに信頼と感謝に変わっていくのです。いや~、こんなうまい話は現実ではありませんぜ。
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(この映画を観たら「一家に一台ならず、一課に一人デ・ニーロ!」とベンを欲すること間違いなし!)

それぐらいベンはとっても稀有な存在な気はしますが、実はベンのようにゆったりとしたスタンスでいると職場でも家庭でも穏やかなリラックスした関係性が築けるようになるのかな~と思ったり。男女問わず、年を重ねるとどんどん思考は固まりやすく、譲れないものは増えてきます。本当は譲れないものなんてないのにそこに固執して自分で自分の首を絞めることってありますよね。ベンの周囲への接し方を見ていると、誰しももっと楽に生きることが出来るのに、自分が自分を追いこんでいることって多いんじゃないかなと思えます。男性だって社会の枠組みとしての男性像の中で生きるのはストレスになることもとても多いハズ。ベンのようにそういう"男たるもの"的なものを解放出来ると楽になることもあると思うんですよね。
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 そんな楽~な気持ちになれる映画でありつつも、NYのファッション業界を舞台にした映画なだけあって、目に飛び込むものは私たちをワクワクさせてくれるものばかり。アン・ハサウェイ演じるジュールズの衣装は「セックス・アンド・ザ・シティ2」を手掛けたスタッフが担当しているので、どれも素敵!彼女が着るからハマっているというのはありますが、あんなスタイリングで仕事をしてみたいものです。ファッション業界で働く女性をアン・ハサウェイが演じるだけあって、彼女の出世作「プラダを着た悪魔」ではまだ下っ端だったあの女の子がキャリアアップしたその後の姿を描いている、なんて妄想で観るのも楽しいですよ。

By.M
(C)2015 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC,AND RATPAC-DUNE EENTERTAINMENT LLC ALL RIGHTS RESERVED

『図書館戦争THE LAST MISSION』

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 皆さんこんにちは、最近読んだ本は「64」と「愛を返品した男 物語とその他の物語」な女住人Mです。
今週ご紹介する映画は10/10(土)公開の『図書館戦争 THE LAST MISSION』です。
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 本作は2013年4月に公開、顧客満足度98.2%、17.2億円の大ヒットを記録した「図書館戦争」の続編で、原作は累計600万部を突破する有川浩さんの人気シリーズです。舞台は国家による思想検閲やメディア規制が正当化された近未来。そんな中、メディア良化隊委員会の検閲に対し「本を読む自由」を守るため結成された自衛組織"図書隊"に所属する若者たちの成長や恋愛模様を描いていきます。
本作ではこの世に1冊しか現存しない"自由の象徴"「図書館法規要覧」の一般展示が行われる会場の警備指令が"図書隊"に下るのですがその裏で図書隊壊滅を目論むある罠が仕掛けられていたのです。
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 原作ファンが多い作品を映画化することは利点も多いのですが、リスキーな点もあります。でも本作は1作目から原作ファンは言わずもがな、多くの観客に受け入れられてきました。その要因は一番に魅力的なキャラクターを演じた俳優陣の面々の顔ぶれです。その中でも特に際立つのは関東図書隊防衛部の鬼教官・堂上を演じる岡田准一さんと彼の元に初めて女性隊員として配属された笠原郁を演じる榮倉奈々さん。もともと雑誌の(「図書館戦争」)ファン投票による仮想キャスティングの第一位を獲得していた二人が演じているので先ずは原作ファンも納得。

そして榮倉さん演じる笠原は高校時代に堂上に救われたことがきっかけで図書隊に入隊している、つまり堂上教官は白馬に乗った王子様設定なんですよね。そりゃあ、もう岡田くんにうってつけ。最初はただの鬼長官でしかなかった堂上教官に笠原は喧嘩腰だったのですが、本当は正義感が強く、優しく、何より尊敬出来る堂上にどんどん惚れちゃうんですよね。しかも「この人ってもしや私を助けてくれた人?!」という偶然も重なって・・・。この辺りは前作で描かれている訳ですが、恋に落ちる方程式、まさにギャップ惚れです!
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本作では堂上教官への思いに気付いてしまった笠原が「でも、ここは職場。生命の危険にもさらされる職場。あくまでも私の好意は恋とかじゃなくって、尊敬なの、尊敬なの!」的な葛藤を持っているところなんかは、本当に可愛いですね。堂上教官もいつもはぶっきらぼうなツンツン男子な訳ですが、どんどん笠原が気になってくるし、堂上は堂上で「いやここは職場。生命の危険にもさらされる職場。あくまでも俺の好意は恋とかじゃなくって、部下への思いやりだ、思いやりだ!」みたいな葛藤をしていて、映画を観ていると「Youたち、早く付き合っちゃいなYO!」な~んてニヤニヤしながら観るのは本当に楽しいです。
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(笠原ちゃんの同期柴崎ちゃん(栗山千明)と手塚(福士蒼汰)との関係性にも変化が!?)

 そして鬼教官堂上を岡田くんが演じることの一番の説得力ともなる彼の身体能力の高さから繰り広げられるアクションシーンは必見!!ドラマ「SP」の役作りでフィリピン武術「カリ」を取得し、以降出演作のアクションシーンはほぼ全て自身で演じる岡田くんはその後、格闘術のインストラクターとして指導にあたれる免状を取得したり、他の格闘技の技術をマスターしたりと、もう本物!ガチ!

本作の中でも終盤で繰り広げられるメディア良化隊との戦闘シーン、このアクションを自ら演じられる役者は今日本では岡田くん以外いないと断言できましょう。岡田くん自身インタビューで「前作は綺麗に見えるように型にハメる動きをしていた」と答えていましたが、本作では自分の命と引き換えになっても守るべきものを守る、その強い思いからくるアクションは重みが違います。私、全然格闘技に詳しくないのに知ったかぶって言ってますが(笑)、この映画を観て頂ければ同意して頂けるかと。重量感あるアクションの一挙手一投足にもう惚れぼれです。

 新しいキャストも加わり、ラブ要素、アクション要素、ドラマ要素といろいろ盛りで全てが前作越えな『図書館戦争 THE LAST MISSION』は10/10(土)からの公開です。

By.M
(C)2015"Library Wars -LM-" Movie Project

『パパが遺した物語』

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 暑さ寒さも彼岸まで・・・ということですっかり秋の気配に街が包まれてきました。ちょっとおセンチな秋が大好きな女住人Mです。これからはそんな季節にぴったりのジンワリ系映画の公開が増えてきます。今週ご紹介するのは10/3公開『パパが遺した物語』です。
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 主人公は過去のトラウマから自暴自棄な日々を過ごしていたケイティ(アマンダ・セイフライド)。そんな彼女が作家だった亡き父ジェイク(ラッセル・クロウ)の大ファンという青年キャメロン(アーロン・ポール)と出会い恋に落ち、新しい出会いの中で過去と向き合おうとします。本作は小説家の父親とその娘との関係を過去と現在を交錯させながら描いていきます。

 たまに本編を観た後に予告編を観るとそれだけで思い出し泣きしそうになる映画がありますがまさに本作はそれです。子供の頃は大好きな両親とこの上なく幸せな日々を過ごしていたのに、ある事故をきっかけに父ジェイクと二人っきりになったケイティ。心身共にダメージを受けた父はそれを機に長期入院をし、ケイティは母親の姉エリザベス(ダイアン・クルーガー)の裕福な家に預けられます。

大好きな娘と離れたくはないけれど精神的・経済的にも苦しいお父さんの苦渋の選択。心は千切れそうですがケイティとの生活を立て直すために一旦、離れることを決意したのです。でも現実は厳しく、お父さんの病状はなかなか完治せず、再びケイティと暮らせるようになっても前のようにはいかないのです。でもどんなことがあってもケイティにとってお父さんはお父さん。とにかく一緒にいられればそれだけで幸せなのに、またもや辛い現実が重なっていくのです。
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どんなに大好きな人も自分の元から去ってしまう・・・そんな経験を幼い頃にしてしまったケイティは大人になってもその感情がトラウマとなって彼女をむしばむのです。大学院で心理学を専攻し、自分と同じように幼くして一人ぼっちになった少女を救おうとしますが、自分がそうであるように少女の心は頑ななまま。ケイティ自身も未だ誰かを心から愛することが出来ない・・・。自分のことをまっすぐ見てくれるキャメロンに出会ってからも愛する人が不在になる恐れが彼女を襲い、心から向き合えない・・・そしてそれは結局、自分ばかりでなく大好きな相手も傷つけることに。はぁ~、人生ってうまくいかない。前に進むための行動や良かれと思った行動が裏目に出たりすること、これほど切ないものはありません。この映画を観ている時も「神さま、お願いだから幸せにしてあげて~!」と懇願してしまうことしばしで本当に苦しくなります。
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 そして、本作がこんな風に胸に迫る作品になっているのは何と言ってもキャスト陣の演技力による所も大きいと思います。オスカー俳優ラッセル・クロウは言わずもがなですが幼少期のケイティを演じたカイリー・ロジャースちゃんはその愛くるしさ、演技力共に「アイ・アム・サム」のダコタ・ファニングちゃん級!娘さんを持つお父さんが本作をご覧になったら自分と重ねておいおい泣いちゃうんじゃないでしょうか。大人になってからのケイティは「レ・ミゼラブル」そして最近では「テッド2」に出演のアマンダ・セイフライドちゃんが演じ、これまたピッタリ。大きく綺麗な目は「テッド2」で笑いのネタにもされていましたが、本作では彼女の演技力の武器にもなっています。
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脇を固めるキャスト、例えばダイアン・クルーガーが演じた幼いケイティを預かるエリザベスなんかも、彼女目線でもう1本映画が作れるんじゃないか、というぐらいしっかり描かれています。彼女の演技力があったからこそですね。良い脚本に良い役者が揃った映画、もう間違いありません。

 父と娘の思い出の曲、カーペンターズの「Close to you」が流れるとさらに心に沁みてくる、『パパが遺した物語』は10/3(土)からの公開です。

By.M
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