イベント・企画上映の最近のブログ記事

 皆さんこんにちは、女住人Mです。今回は映画ではなく、大人気ロングラン公演中のミュージカルをご紹介します。
世界各国でライブ配信されたロンドン公演の模様を収録したものが映画館でご覧いただけますよ。
3/28(土)から4/10(金)まで2週間限定公開『ビリー・エリオット ミュージカルライブ/リトル・ダンサー』です。
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 本作は日本でも大ヒットした映画「リトル・ダンサー」を基にしたュージカル版の映像化で演出は映画と同じくスティーブン・ダルドリーが、音楽はエルトン・ジョンが手掛けます。舞台は鉄の女サッチャーが停滞した経済を立て直すべく厳しい経済政策を推し進めていた時代。11歳のビリーは炭鉱夫の父、兄そして祖母と暮らしています。不況の煽りを受け、生活するのもやっとな状況でビリーはひょんなことからバレエ教室に参加したことを機にバレエの虜になります。バレエ教師のウィルキンソン夫人もビリーの潜在能力に気付き指導を続け、"ロイヤル・バレエ学校"の入学テストを提案するのですが、家族に内緒でバレエを続けていたビリーは「バレエは女がやるもんだろう!」と家族に猛反対を受けてしまいます。

 冒頭から言い放っちゃいますが、本作はもうむちゃくちゃ傑作です!映画「リトル・ダンサー」がそもそも好きな方、ミュージカルが好きな方、エンターテインメントショーが好きな方、スポ根ものが好きな方、もう是非お見逃しなく!!!です。
 
 もう一番はやっぱり主演ビリーを演じる子が凄い!本作では史上最年少10歳でビリー役を射止めたエリオット・ハナくんが演じますが、可愛い上に歌も芝居もうまく、何よりダンス、バレエのセンスが抜群!そして3時間ほぼぶっ通しで演じる彼のスタミナ、運動能力に圧倒されます。見どころシーンが物語の後半にもたっぷり用意されていて、ここでまだこんなに踊るの?と言うシーンのオンパレードを観るだけでも胸いっぱい。よくフィギュアスケーターが演技の最後の最後に大技をどんどん披露するじゃないですか、あれを見ている時に得る感動と似たものがあるんですよね。
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反対されても踊りたい、ただただバレエが好きだから踊りたい、そんな気持ちを爆発させ、感情をそのまま踊りでぶつけるシーンは観ているこちらも熱い何かが胸に湧き上がるのです。そしてそんなビリーの想いをエリオット・ハナくんは見事に演じきるのです。
この子、本当に凄いです。

 炭鉱不況の真っただ中、ビリーが本当に好きなものやりたいものを見つけ、それに向かって自由に羽ばたこうとする一方、ビリーのお父さんやお兄さん、町の人たちの現実は厳しくなっていきます。ビリーがバレエに対する想いを強く表現したシーンの後には必ず、大人たちの抑圧された現実が描かれ、その対比でこの時代の閉塞感がより際立つようにもなっています。だからこそ、バレエでもって自由を得られる可能性があるこの少年はどうか幸せになってほしい、と願わずにはいられなくもなります。少年が夢に向かう物語でありながらも、抑圧された社会での大人の姿がしっかり描かれている所に脚本・演出のクオリティの高さも伺えます。
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(ビリーの友達マイケルくんほか脇役の皆さんのレベルも高い!)

 そして本作ではロングラン公演をし続けてきたからこそ出来るサプライズ演出が用意されています。物語の中で成長したビリーを演じるのがなんと2005年版の初演でビリーを演じ、その後バレエダンサーになった、リアム・ムーアが登場。時を越えて出会う二人に様々な想いを馳せることになります。加えて、フィナーレにさらに感動が頂点に達するあるサプライズが用意されているんです。感動のカタルシスはMAXですよ!!
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(本作をご覧になれば全ての方が「この舞台を生で観たい!!!いや、この公演そのものをあの場所で観たかったよ!」と必ずや思うハズです。)

 人と違ってもそれはダメなことじゃない。好きなことを見つけてそれに突き進むことは美しい。そしてそれを支えてくれる家族、友達、仲間がいることの素晴らしさ、一方で存在する厳しい現実。もういろいろなテーマを描きながらもこんなにも観た者をHAPPYにしてくれる作品はそうありませんので是非、スクリーンでお楽しみ下さい。 『ビリー・エリオット ミュージカルライブ/リトル・ダンサー』は2週間限定上映で、料金は2000円ですが、絶対損はさせませんYo!

By.M
(C)2014 UNIVERSAL CITY STUDIOS LLC,ALL RIGHTS RESERVED.
BILLY ELLIOT THE MUSICAL IS BASED ON THE UNIVERSAL PICTURES/STUDIO CANNAL FILM

『小野寺の弟、小野寺の姉』

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 皆さん、こんにちは女住人Mです。今回はシネマイクスピアリからのお知らせから始めます。なんと個性派俳優・片桐はいりさんをお迎えした新イベント『片桐はいりの出張もぎりショウinシネマイクスピアリ』の開催が決定しました!!かつては映画館でチケットもぎりのアルバイトを経験ていた片桐はいりさんがシネマイクスピアリに初来館です。イベント内容は、先ずはいりさん自らがご入場の皆さまを熟練のチケットもぎりでおもてなし。その後トークゲストとして、新作主演映画『小野寺の弟・小野寺の姉』の西田征史監督も交え、「映画」と「映画館」への愛情あふれるトークライブをお届けします。さらにイベント後には、はいりさんの著書「もぎりよ今夜も有難う」など書籍の即売サイン会も実施。チケットは発売中です。詳しくは劇場HPのTOP画面をご覧下さいませ。と、言う訳で今回ご紹介するのは10/25(土)公開『小野寺の弟・小野寺の姉』です。
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 物語の主人公は早くに両親を亡くし一軒家で一緒に暮らしている小野寺進(向井理)と姉のより子(片桐はいり)。いい年頃のふたりの仲の良い日常生活は傍から見ればちょっと風変わりかもしれませんが、当人たちには至って普通。そんな二人に恋のチャンスが訪れます。
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 姉より子を演じるはいりさんはメガネ店に勤務、営業にくる浅野さん(及川光博)のことがちょっと気になってはいるのですが、弟・進が昔の恋を忘れられず、未だに元気がないことの方が気になっている、という役どころ。そして進は進で自分の幸せよりも親代わりとなって育ててくれた姉の幸せの方が気になっているという、お互いがお互いを思いやり過ぎて不器用な行動をとってしまう、どうぞ、どうぞな姉弟。そんなある日、小野寺家に誤配送で届いた郵便物を「本人に届けよう!」とより子が無理矢理、弟を連れだすところから物語が動きだします。
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 ラッキーなことに届けた先は可愛らしい女性・岡野さん(山本美月)宅。進の心にかすかな恋心が芽生えたことをより子は見逃す訳はありません。そこからのより子はあれやこれやと画策しまくり。コメディエンヌとしての才能がピカイチのはいりさんが演じるより子が必死になればなるほど笑いを誘い、それでいてなんとも愛らしい。
 そして、それと並行するように、より子が密かに想いを寄せる営業マン浅野さんとの距離も縮まっていき、そんなより子がだんだん乙女になっていきます。人は必死になればなるほど滑稽に見えがちですが、それはとっても愛おしい存在であることとイコールです。
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(小さい頃から変わらない髪型、普段のお洋服の基本ラインもベストにスカート。
冒険をあまりしないこの風貌もより子がどんなキャラクターかを表しています。)

でもより子は進のことを考え過ぎて、自分が二の次になったり、弟を幸せにしなきゃと思い過ぎて自分を消したり、自分を決めつけ過ぎて前に進めなくなってしまっていたりで、傍から見ているとちょっと切なくなってしまうことも。しかも進も同じような行動をとってしまうのでその思い、こじれる、こじれる。でもこういう行動ってしがちですよね。「自分はこんなんだから」と卑下したり、「私はこうしなきゃダメなんだ」と決めつけ過ぎて自分で自分の可能性の扉を閉めちゃったり。人は素直になればもっと楽に生きることも出来るのに・・・。良かれと思うことが空回ることほど、切ないことはありません。より子も進も根が優しいし、お互いを本当に想いやっているからこそ切なさ倍増。この映画を観ていると「二人とも幸せになって〜」とこっちも応援してしまうんですよね。
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 はいりさんと向井さんは同名タイトルの舞台で姉弟として共演されていたこともあるので息もぴったり。はいりさんには弟さんがいらっしゃるのでもともとのお姉さん気質も演技に活かされているのでしょうか。観ていてとても心地よい空気に包まれるのもこの映画の魅力です。と、そういったことも実際はどうなのか、『片桐はいりの出張もぎりショウinシネマイクスピアリ』の中でいろいろお話が伺えると思います!楽しみだな〜♪ 10/25(土)公開の『小野寺の弟、小野寺の姉』のご観賞と共に、是非このイベントへのご参加もお待ちしております★

By.M
(C)2014 『小野寺の弟・小野寺の姉』製作委員会

 皆さんこんにちは、ザ・マペッツ大好き女住人Mです。
9月6日(土)からシネマイクスピアリにて公開していました『ザ・マペッツ2/ワールド・ツアー』も10月19日(日)の『ザ・マペッツ&ザ・マペッツ/ワールト・ツアー』二本立て上映を持ちまして終了となりました。初日に開催した映画解説者の中井圭さん、漫画家・イラストレーターの花くまゆうさくさんをお迎えしてのトークショー付き上映会から始まり、ファンの皆さまの熱い応援のおかげもあって、全国からたくさんのお客様に足を運んでいただきました。本当にありがとうございました!

それでは公開初日から開催していました“ザ・マペッツ総選挙”の結果発表です。
じゃじゃ〜ん!!!
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総投票数1865票、ベスト3の詳細は、3位ミス・ピギー236票、2位ウォルター281票、そして第1位はぶっちぎり531票獲得でカーミットでした。皆さんの投票したキャラクターは何位でしたか?「誰に入れようか・・・」と迷っているファンの皆さまをお見かけする度にザ・マペッツのみんなが如何にファンの方に愛されているかを痛感しておりました。ご参加ありがとうございました!

 次回作がまた作られますように。そしてその時はまたシネマイクスピアリで上映が出来ますように。
本当にいろいろありがとうございマペッツ!!!
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(スクリーンで再会出来ますように。〜最終日、ザ・マペッツファンの方々と〜)

By.M
(C)Disney,All Rights Reserved.Muppets

『ザ・マペッツ2/ワールド・ツアー』

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 皆さんこんにちは、女住人Mです。今回は個人的に気合い入りまくりの作品をご紹介いたします。
9/6(土)公開の『ザ・マペッツ2/ワールド・ツアー』です。
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 皆さん“ザ・マペッツ”ってご存知ですか?マペッツはマペットの複数形でそもそもセサミストリートの生みの親でもあるジム・ヘンソンが考案したマリオネットとパペットを合成したキャラクターです。1969年に始まった「セサミストリート」で一躍人気者になったマペットですが1976年から1981年まで放映された「ザ・マペット・ショー」でさらに人気を博し、このショーに出演していたマペットたちを“ザ・マペッツ”と言います。カエルのカーミットは「セサミストリート」と「ザ・マペッツ・ショー」両方に出ていたんですよね。それまで長きに渡って愛された“ザ・マペッツ”は同名のタイトルの映画が日本でも2012年に公開、これが実に7本目にして初の劇場公開作品だったのです。私はそれまで“ザ・マペッツ”にそこまで思い入れがなかったのですが、この映画を観た途端たちまち大大大ファンになり“ザ・マペッツ”の虜になりました。
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 前作は一時期忘れられた存在となった“ザ・マペッツ”が再び、ショービジネスの世界に舞い戻って来るという半ば自虐ギャグのような展開。しかも、主人公は人間のゲイリー(ジェイソン・シーゲル)とマペットのウォルター、二人は兄弟というトンデモ展開でありながらも、そんな設定を華麗にスルーする潔さと冒頭からエンディングまで繰り広げられる素敵なミュージカルナンバーにズキュンバキュン!とやられちゃた訳です。一度は負けそうになった彼らが仲間たちと力を合わせ再起をかける姿に涙し、ゲイリーとウォルターの兄弟愛に涙し、そんな仲良し過ぎる二人に嫉妬する恋人メアリー(エイミー・アダムス)に切なくなり、“ザ・マペッツ”の復活を邪魔する悪いヤツらをやっつける“ザ・マペッツ”たちを応援し、彼らをサポートするファンの心に自分の想いを重ねまくったのです。

Blu-rayが出れば“ミーパーティー(発音はみ〜ぱ〜りぃ〜)”三昧。(=劇中でメアリーが歌う曲になぞらえて、「ザ・マペッツ」を心ゆくまで鑑賞するの意です)劇中歌はアカデミー賞歌曲賞を受賞し、映画の大ヒットを受け決定した続編を今か今かと待っていたのです・・・・が、な〜んと日本公開のアナウンスが一向にされない!ガビ〜ン、ガビ〜ン。それはもう前作さながら、ザ・マペッツはまたもや忘れられる存在になる危機に!!もう我慢が出来ず、私はアメリカで観ちゃいましたよ。そして新作『ザ・マペッツ2/ワールド・ツアー』はさらに彼らの結束が試される笑いと涙と感動のそしてスリル満点の1本であることを知るのです。これは前作で彼らが力を合わせ“ザ・マペッツ・ショー”を復活させたようにシネマイクスピアリだけでも公開は出来ないものか!!と神さまにお祈りした結果!?拾う神現る、なんと全国2館ではありますが劇場公開決定です!いえ〜す!いえ〜す!み〜ぱ〜りぃ〜!と、言う訳で本作も無事劇場公開の巻です。
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今回は前作で再び結集した“ザ・マペッツ”がワールド・ツアーを始めますが、そこでありえない犯罪計画に巻き込まれます。なんとカーミットにそっくりの“最凶のカエル”コンスタンティンが彼らの絆を試すことに・・・もうハラハラドキドキな展開です。
しかも愛されキャラ“ザ・マペッツ”の元に彼らのファンであるスターたちもカメオ出演という形で集結。前作もハリウッドスターがたくさん登場していましたが、本作では二大歌姫レディ・ガガにセリーヌ・ディオン、ハリウッドからは映画ファンにはたまらないクロエ・グレース=モレッツ、クリストフ・ヴァルツそして、トム・ヒドルストンにジェームズ・マカヴォイとうひゃひゃなイケメン俳優たちの登場やその風貌からいつもは悪役になりがちなお馴染みの俳優陣が他の作品では決して観られないパフォーマンスで歌って、踊って贅沢にカメオ出演します。もう一度で何度おいしいんだ“ザ・マペッツ”!
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加えて前回に負けず劇中のミュージカルナンバーも最高!それもそのハズ、「アナと雪の女王」の映画音楽を手掛けた作曲家のクリストフ・ベックが担当です。今回も映画を観終わったらサントラがほしくなること間違いなしですよ。
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(カーミットがふたりいる?!)

しかも3つのお楽しみ情報もあります!
★9/6初日イベント (お陰様でチケットは完売いたしました。)
<当日のスケジュール(予定)>
15:00〜15:05 前説
15:05〜16:50 『ザ・マペッツ』上映(1時間42分)
16:50〜17:00 休憩
17:00〜17:30 トークショー(ゲスト:中井圭さん、花くまゆうさくさん)
17:30〜19:20 『ザ・マペッツ2/ワールド・ツアー』上映(1時間48分)

★君の推しマペはどのキャラクター?
 「第一回ザ・マペッツ総選挙」開催!

劇場入口に投票コーナーを設けていますので、お気に入りのキャラクターにシールを貼って投票してください。
初日イベントのトークショーコーナーで速報中間発表を行います!最終結果はこのブログで発表!

★マペッツビギナーさんは要Check!
 「マペッツリサーチアンケート」
アンケートの受付は終了いたしました。

さぁ、さぁ、9月はもう“ザ・マペッツ”色に染まるしかない。
シネマイクスピアリの入魂作『ザ・マペッツ2/ワールド・ツアー』は9/6(土)から公開です。

By.M
(C)Disney, All Rights Reserved, Muppets

久々にこのブログへやってまいりました。できることならもう30年早く生まれてきたかった男住人Aです。伝説の映画館・アートシアター新宿文化にも行ってみたかったし、寺山修司や唐十郎、横尾忠則などのアングラな空気ももっとダイレクトに体験したかったと、妄想は尽きません。今回ご紹介するのは、そんな熱き時代・1960年代を描いた作品『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』。昨年8月に上映した『キャタピラー』以来の、若松孝二監督作品です。

若松監督が交通事故で亡くなったのは、昨年の10月17日のことでした。早く回復されて次の新作を・・・と願っていた僕は急逝のニュースを知り、愕然としました。そして数日経って少し気持ちが落ち着いた頃、「来年の一周忌には絶対監督の作品を上映しよう。やるなら監督の集大成と言える『実録・連合赤軍』しかない!」と勝手に決めました。それが10/12(土)〜18(金)の期間に行う今回の「キネマイクスピアリ〜舞浜で名画を〜」上映です。

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長野県の「あさま山荘」に5人の若者が立てこもった41年前の事件を記憶している方は大勢いらっしゃると思います。なにせテレビ中継された際の最高視聴率はほぼ90%。それほどの事件ですので、もちろん本作の前にも映画化されたことはあるのですが、しかしこの『実録・連合赤軍〜』はその過去作とはある意味、真逆の作品です。どこが真逆かと言うと、革命を志した当時の若者たちの目線で語られていく、というところ。クライマックスのあさま山荘シーンも、本作の場合カメラはずっと“山荘の中”にいて、当事者の若者たちを内側から映していくわけです。事件に至るまでの時代背景やプロセスも丁寧に描きながら、「なぜ若者たちは追い詰められていったのか」「なぜ若者たちは山荘で銃撃戦を繰り広げたのか」という、報道ではなかなか知り得ないたくさんの「なぜ」に迫っていくのです。

そしてここからは、この作品のスゴイぞポイントをいくつかご紹介。

製作も兼ねる若松監督、執念の一作
映画製作にはお金がかかるもの。若松監督は本作を撮るために自宅をも抵当に入れ、私財を投入しました。さらに劇中に出てくるあさま山荘は、なんと元々は監督の別荘だったそうです(映画を観ていただければ分かりますが、見事にぶっ壊されてますが・・・)。まさに若松監督執念の、渾身の、入魂の一作。その本気ぶりはスクリーンからもビシバシ伝わってきます。

オーディションで選ばれた若きキャスト陣
役者さんたちはほぼすべてオーディションで選抜。付き人なし、メイクも自前などなど過酷とも思われる撮影条件だったそうですが、それだけ演じる側も覚悟を持って取り組んだのでしょう。ものすごい気迫と臨場感です。ここまでの芝居をして、この後現実世界に戻ってこられるのだろうか・・・と心配になってしまうほどです。特に坂井真紀さんの演技にはもうビックリですよ。近年の若松作品を支えた井浦新さんと監督との出会いもこの作品が最初でした。当時から有名だったお二人も、もちろんオーディション組です。

劇中の役名は実名
当時の記録映像が使われるシーンもありますが、そもそもこの作品はドキュメンタリーではありません。しかし、タイトルに“実録”と冠し、主要な劇中登場人物(役名)を実名で設定したところが、本作にただならぬ緊張感をもたらしたことは間違いなく、若松監督の最大の演出とも思えます。よく似た役名を付けてフィクションを装うこともできたはずですが、それをしなかったところに監督の男気を感じます。ちなみに坂井真紀さんが演じた遠山美枝子さんは、生前若松プロで上映運動のお手伝いをしたこともある方だそうです。

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(こちら、山荘の中。右端の背を向けている少年のラストの叫びを聞いて!)

さて、この作品の中盤では、実際に山岳ベースで起こった同志粛清のシーンも出てきます。同じ目的を共有する仲間同士のはずなのに、その中からいつの間にか独裁者が育ち、他者を糾弾し、やがて内部崩壊するというのは、人間の哀しさ、またはエゴでしょうか。「総括」「自己批判」という名のものに次々と標的を生み出し、仲間を追いつめていく様は観ていて辛い場面ではありますが、これはまさしく現代にも通じる集団心理の恐ろしさを見事に表現していると僕は思うのです。公開当時の感想でもそのポイントがよく語られていて、なかには「うち会社の営業会議もあんな感じ。」という笑えないコメントもあったりして・・・。

想いにまかせて色々と書いてしまいましたが、最後に、僕にとってこの作品は一言で言うなら“青春映画”です。実際、映画に登場する若者たちは、当時は20代の方がほとんどでした。今の20代〜30代の方には、自分と同世代の物語として、ぜひ身構えずに楽しんでほしいな〜と思います。きっと映画を観た後は、お父さんと話が盛り上がりますよ。

By.A

おまけ情報

★若松孝二監督の一周忌に合わせて、当館の他にも全国で特集上映やイベントが企画されています。『実録・連合赤軍』以外にも名作は数え切れない若松監督。ぜひチェックを!
詳しくはこちら

★若松孝二監督が4年間にわたってレギュラー出演したラジオ番組「若松孝二の映画を撃て!!」が、TOKYO FMグループの衛星デジタルラジオ局・ミュージックバードでアンコール放送中!
詳しくはこちら

©若松プロダクション

『死霊のはらわた』再び

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こんにちは、男住人Aです。今回のブログはスペシャルゲストをお迎えして、まさに「ウラブログ」の名に恥じない作品をご紹介します(3週前のブログに続く第2弾)。オモテの世界を生きる紳士淑女の皆さん、怒らないでくださいね・・・。
ではでは、早速ゲストに筆を渡します。舞浜最強の映画ヲタ(特にホラー)でありながら経理もこなす、男住人Mさんです!ロングバージョンでどうぞ〜。

◆男住人M 登場◆ ※以下【R18+】指定ブログに突入!

どーも、映画好きが漂着するという島に流れ着いた者です。ホラー映画好きの女性(上陸間近の女S)からのテレパシーを感じて、ある映画について語りたいと思います。
あなたは、サム・ライミという映画監督をご存知だろうか?「ああー、知ってるー、『スパイダーマン』のひとー」「私の好きな『オズ はじまりの戦い』の監督じゃーん」とか言ってる真っ当な映画ファンのそこのあなた!バカ言うな!
サム・ライミと言えば『死霊のはらわた』、これしかないでしょ。

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(こちら「死者の書」。子供には読ませられないことがいっぱい書いてある、まさに有害指定図書だね。)

1981年に低予算で作られたこの映画が、その後の映画界を変えたと言っても過言ではないのです。なんてったって、この映画があったからこそ「スプラッター映画」という素敵なジャンルが生まれたのですから。「スプラッター」なんて観たことないっていう人生を損している人は、もうこの先読まなくて結構(笑)。っていうか、読まないでください。お願いします。

そのオリジナル版ですが、ストーリーはあって無いようなもんで(笑)、「山小屋行って、本開いて、死霊が蘇って、みんな憑りつかれて、独り残った男がギャーギャー言いながら頑張る」映画。しかし、そんな頭の悪い物語なんかどうでもよくなる程のステキな・・・もといショッキングなシーンの連続。序盤は何となく、おどろおどろしい感じで進むんだけど、主人公アッシュのお姉ちゃんが木(死霊)に犯されてからは、一気にテンションアップ!トランプの数字当てゲームを女の子二人がやってるんだけど、全く見てないはずのお姉ちゃんが、しゃがれ声でバシバシ数字を当ててって・・・ギャー!そして顔が変わって「おまえらも死ねー!」って、なぜか窓にへばり付く(飛んでる?)。この「変身」シーンは恐いよねー。

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(小学生の頃、このシーンで悶々としました・・・。)

そこからはもうジェットコースター並みに、次から次へと死霊に憑りつかれていく。そして憑りつかれてない人間は、容赦なく死霊となった人間をぶっ殺していく。さっきまでイチャイチャしてた相手をだよ、いくら顔が変わって白目になったからって、斧でバラバラにって・・・人間側も結構ヒドイ。他にも、スコップで首チョンパとか、腹を剣でぶっ刺すとか、鉛筆をかかとに突き刺すとか(痛ぇー)、両目を親指でグチャッとか・・・。もういいですか(笑)?まさに「スプラッター」という言葉に恥じない、大サービスなのです。

一方で死霊どもはかなりマヌケな面もあって、なぜかずーっと床下に閉じ込められたままで顔だけ出してギャーギャー騒いでたり、床に座ってわけの分からん歌を歌ってたり、一つ間違うと笑っちゃうシーンもあります。この【恐怖 + 笑い】の感じは続編の『死霊のはらわた2』、そして『キャプテンスーパーマーケット 死霊のはらわた3』で更にパワーアップしているので、気になる方はぜひそちらもご覧ください。

って、気付いたらオリジナル版の残虐シーンだけを羅列して文章がいっぱいになっちゃいました(笑)。もっとアッシュについてとか書きたかったのに。「・・・その前に今公開してるリメイク版について書けよ!」って声が聞こえてきましたので、ここらでようやく本題に。

5/3からついに公開になったリメイク版『死霊のはらわた』。オリジナルから30年以上経過して作られたわけですが、まず言えることは「ホラーが好きなら、観て損なし」ということ。

映画の冒頭、怪しい森の中で逃げ惑う女性が男たちに捕まる。普通ならこの女性がどうなるか不安になるところですが、心配ご無用(笑)。この女性は死霊に憑りつかれていて、母親を殺し、今また目の前にいる父親に「F〇ck、F〇ck」という罵声を浴びせるのです。女性は結果的に炎に焼かれるわけですが、この「F〇ck」連発のオープニングで、観ているこっちのテンションは早速上がりまくり!そしてデカい音と共に映し出される『EVIL DEAD』の文字!いやー、ワクワクするねえ。もう「〇ィ〇〇ー〇〇ド」ぐらいワクワクするねえ。

その後は山小屋に行くもっともらしい物語が少々展開しますが、正直そんなのどうでもいい。こっちは「グチャッ」「ビチャッ」「グチュッ」「ドバッ」「ジュバッ」が観たいんじゃー!
そんな僕たちの心の声が届いたのか、30分を過ぎた辺りから物語は一気にヒートアップ!主人公ミアが主人公なのに真っ先に死霊ちゃんに憑りつかれ、オリジナル版同様床下に閉じ込められる。あとはオリジナル版に勝るとも劣らない残酷描写の見本市。CG使わなくたって、こんなに(一部の)観客を喜ばせることができるんだっていう良いお手本!

前回の「低予算&未熟な技術を、アイデアと情熱でカバーして観客を熱狂させる」のも素晴らしいが、今回の「大きな予算&成熟したSFXを使い、観客をただ怖がらせることにのみ全力を尽くす」という姿勢もとってもGroovy!ナタリー(ミアの兄貴の彼女)の大流血シーンとか、オリビア(看護婦)の貞子ばりの這いずりシーンとか、ミアの手首プッチンとか、この監督ホントこういうのが好きなんだねー。

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一方でオリジナル版のファンへの目配せもしっかりしていて、登場人物のうち2人が片腕になるなんて、完全にアッシュへのオマージュでしょ。更に死霊に追い詰められたミアが、納屋で手にする武器はナタ・・・ではなくチェーンソー!そうチェーンソー!「はらわた」シリーズでの聖剣(エクスカリバー)、チェーンソー!重くて、扱いづらくて、燃料入れなきゃ動かない、そんな不便な武器だけど、やっぱり最後はチェーンソーなのさ。そんでもって、そんな聖剣が最後に唸りを上げるシーンは、今世紀の映画史の中で最も美しいシーンと言っても過言ではないでしょう。降りしきる血の雨、飛び散る血しぶき、ぶるぶる震える死霊、もう・・・アートだね。ラストシーンも次回作を期待させる感じでニヤリとしちゃう。(と思ったらもうパート2の製作がスタートしているとか。)

ところで最初から最後までサービス精神旺盛な本作ですが、本当のファンサービスはエンドロール後にあり!ファンなら分かると思うけど、「あの人」がチラッとどアップで(笑)登場!もちろん次は片手にチェーンソーを付けて僕らの前に帰って来てくれるよね、と期待せずにはいられない。

そんなわけで、リメイクものへの不安を軽く吹っ飛ばした新生『死霊のはらわた』は、古くからのファンもオリジナルを観たことないホラー好きも、ホラーが苦手なあなたにも間違いなくおススメなのです。
・・・いや、ホラーが苦手な人はやっぱり観ないでください(笑)。

◆男住人M 退場◆

男住人Mさん、ありがとうございました!
もう今回は僕(男住人A)が語るべきことは何もないんですが、ここでイベントニュースを一つ。
なんと、このリメイク版『死霊のはらわた』の公開を記念して、5/18(土)〜24(金)の一週間、≪絶叫大音量上映≫の開催が決定しました!一足先に大音量テストを体験した僕(←ホラーは大の苦手)は、正直凍りつきましたよ・・・。通常の音量で観た時の恐怖を軽く超えてます。音のビックリ感が恐怖のドキドキを煽る感じで、もう本当にトラウマ体験でした。先ほどMさんが言っていた「グチャッ」「ビチャッ」ももちろん大音量です(笑)。ファンの皆さん、絶対お見逃しなく!詳しくはシネマイクスピアリのTOPページをご覧ください。劇場スタッフで手作りしたオリジナルスタンディも飾ってますよ!

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(みんな観に来て!)

By.A

配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

『フラッシュバックメモリーズ3D』

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 皆さん、はじめましてコジレ島の大親分Yです。
さすらいの映写屋をしておりまして、普段は映写室の闇に潜んでおります・・・
今回私が映写室から抜け出してきたのは、映写屋と言う立場から特にシネマイクスピアリで見て頂きたい映画があったからです。
ご紹介するのは3/2(土)から1週間限定上映をする『フラッシュバックメモリーズ3D』です。
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 本作は交通事故により高次脳機能障害で過去の記億を失い、新しい記憶を保つことも困難になったディジュリドゥ(オーストラリアのアボリジニの管楽器)奏者GOMAさんの復活を描いたドキュメンタリー映画で、全編にわたりGOMAさんによるディジュリドゥの演奏で構成されています。都内で先だって公開されている本作は口コミでどんどんその評判が広まっていて、ネット上で「大音量でこの映画は見たい!」と言うコメントも多く見ました。と、言う訳でシネマイクスピアリではお客様のニーズにお応えし、全回<大音量上映>でお届けします!

 これまでもシネマイクスピアリでは<大音量上映>を数回行ってきましたが、どの作品も基本的には映画でしたので通常の音響セッティングに、音楽や効果音を活かすためのスパイスを少し加えて映画館ならではの迫力ある音響での上映でした。
しかし今回の『フラッシュバックメモリーズ3D』は、ほぼ全編にわたりGOMA&JungleRhythmによる演奏で構成されており、この作品の魅力を伝えるためには切れの良いパーカッションとディジュリドゥ独特のドローンと倍音の響きを再現する必要があると感じました。コレは腕の見せ所!と言う事で、夜な夜な、ああでもない、こうでもないと調整を繰り返し「コレだ!」となった音は、結果的に通常の映画用の音響セッティングとは異なる『フラッシュバックメモリーズ3D』専用のセッティングとなりました。
手前味噌ながら最高です。強烈なグルーヴ感で頭がクラクラしてきます。

さらに「大音量上映」と銘打っての上映になることもありGOMAさんご本人とサウンドデザインをされた山本タカアキさんに聞いていただく機会がありました。うまく音響の調整が出来たと自分では思っていても、演奏されているご本人がイメージされている音とかけ離れていたらどうしようと内心ビクビクしていたのですが、幸いにも「これは凄い!」と大変喜んでいただけました。クリエイターの方からお褒めの言葉をいただいて映写屋冥利につきます。あとはたくさんのお客様に喜んでいただければ感無量です。

 音のことばかり書いてしまいましたが3Dの映像も凄いです。
3Dでしか表現出来ない映像が次から次へと展開されます。
もの凄い映像と音の洪水でGOMAさんに突然ふりかかった絶望と奇跡を見事に表現した素晴らしい作品です。生命力に溢れていて、生きているって凄い事なんだなと感じさせられます。

 3/3(日)の17:30からの上映回の後には本作監督の松江哲明さんとGOMAさんをお迎えしてのティーチイン付き舞台挨拶もありますので是非そちらもお見逃しなく!
渾身の上映!みんな観に来て!!

By.Y
(C)2012 SPACE SHOWER NETWORKS INC.

『キャタピラー』

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恐らく2年前の春だと思います。シネマイクスピアリのトークライブ「おすぎのシネマトーク」で、「ここでは上映しないと思うけど・・・」というような前置きをしつつ、おすぎさんが観たばかりのある作品について熱く語ってくださいました。その時、劇場の片隅で「待ってました!」と大喜びしていた僕。こんにちは、自称“しのぶマニア”の男住人Aです(『ロボジー』の記事をご参照のほど)。今回、ついにその作品『キャタピラー』を上映できることになりました。

そもそも僕にとってこの作品は、まさに奇跡の一作でした。映画デビュー前から出演舞台を見続けていた大ファンの寺島しのぶと、これまた大好きな若松孝二監督の初コラボ。製作のニュースを目にした時から、完成をずっと心待ちにしていました。そして、運良くチケットが買えた映画祭のイベントでようやく初対面した『キャタピラー』は・・・それはそれは衝撃でした。手足を失って帰還した傷痍軍人と、その男を軍神として世話する妻の姿を通じて戦争の愚かさを描くというストーリーは、それだけでもインパクト十分。

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(実は『赤目四十八瀧心中未遂』でも共演しているおふたりです。)

しかし、まぁ何よりものすごい迫力なのが主演の寺島しのぶ!このブログの少し前の『ヘルタースケルター』の記事では女住人Mも太鼓判を押している寺島しのぶ!! ベルリン国際映画祭で最優秀女優賞までも獲ってしまった寺島しのぶ!!! 今回の役は実力派と言われるこの人にとってまさに真骨頂のハマり役だと、長年のファン代表として断言します。通常映画を観るとつい“感想”を語りたくなるものですが、この作品の場合は何というか、感情がドンドンあふれてきて、客観的に感想など言っていられなくなります。きっとそれは、寺島しのぶだからこそ、彼女の役を生きる力があってこそ、為せるワザなのでしょう。

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(お母さんは「3時のあなた」の富司純子さん。本名は「寺島グナシア忍」だよ。)

そしてもう一人、この映画を語るうえで外せないのが、若松孝二監督。僕にとってこの人は孤高で、アウトローなカッコ良さを備えた人。そして自分のメッセージを正々堂々と、力強く発信する人。今年に入ってもすでに2本の新作映画が公開されているほか、『キャタピラー』の2年前には『実録連合赤軍 あさま山荘への道程』(こちらも大傑作!)もとても話題になりました。大島渚監督の『愛のコリーダ』をプロデュースしたのも、名古屋で有名なミニシアター「シネマスコーレ」を経営したのも若松監督です。私ごとではありますが、今回そんな憧れの若松プロダクションさんの作品を上映することができて、嬉しくてなりません。

最近、映画の宣伝でよく「自分事化」ということが言われます。つまり、観る人それぞれがその映画をどれだけ自分に引き寄せて解釈し、興味を持ってもらえるか、そして「これは自分のための、自分が観るべき映画なんだ」と感じてもらえるか、映画宣伝はその手助けをするのだ、といった趣旨の言葉です。それが間違っているとは思いませんが、しかし僕個人は、そんなに容易に自分の身近に引き寄せられるような映画はちょっと退屈に感じます。僕が映画に求めるのは、自分の日常では想像も付かない世界観だったり、理解できないような巨大な感情だったり、とにかくもっと内的スケールの大きなものです。この『キャタピラー』にはそういう意味での“大きさ”や“強度”のようなものがたしかにあると、僕には思えます。しかもそれをささやかな田舎の景色を舞台に、夫婦という小さな単位で描ききってしまうところが、またスゴイのです。皆さんはどう感じるでしょうか。

そんなこんなで、<キネマイクスピアリ〜舞浜で名画を〜>シリーズの8月作品として登場する『キャタピラー』は、8/4(土)〜10(金)までの一週間限定上映です。夕方の上映時間もあります!お見逃しなく!

By.A

© 若松プロダクション

『その街のこども 劇場版』

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17年前、兵庫県西宮市に住んでいた僕にとって、1月17日は3月11日と同じく忘れられない一日です。こんにちは、男住人Aです。そして間もなく、東日本大震災から一年が経とうとしています。

そんな3月、ぜひ皆さんに観ていただきたい作品があります。それが今回ご紹介する『その街のこども 劇場版』。この作品はもともと阪神・淡路大震災からちょうど15年目の当日にNHKで放送されました。その後、評判が評判を呼んで「劇場版」として映画館で公開されることになったのです。僕も大好きなこの作品を、「キネマイクスピアリ〜舞浜で名画を〜」シリーズの3月作品として、今回一週間限定で上映することになりました。
なお今回のブログはかなり個人感情が入っています。皆さんの感想とは違う部分があるかもしれませんが、ウラブログということで、お許しください!

この映画の主人公は、神戸で震災を経験し、しばらく後に様々な事情で神戸を離れた二人。震災の時「その街のこども」だった二人が、15年後、大人になって神戸に戻ってくるところから物語は始まります。一人は15年目の「お祈りの会」に参加するためにやってきた、佐藤江梨子さん演じる女性。もう一人は“神戸なんてキライ”と言いながら出張ついでに何となく新神戸駅に降り立った、森山未來さん演じるサラリーマン。ずっと神戸を避けてきた二人が偶然一緒に過ごすことになった、震災15年目の朝を迎えるまでの一日が描かれます。

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(複雑な役柄を絶妙に演じる森山未來、すごいです)

僕は二人が15年もの間、神戸に近づかなかった気持ちが分かる気がします。楽しかった街の思い出に、いちいち震災の影がくっ付いてくるからです。たとえ街がきれいに復興したとしても、そのきれいな街並みが生まれた理由はあの日の震災にあるわけで、僕の場合、嬉しい気持ちにはなりませんでした。辛い思い出にはなるべく向き合いたくないものです。でもこの映画の二人は、その思い出や震災の不条理に改めて向き合うために、15年目の神戸の街を歩くのです。二人は街を歩きながら色々な話をします。死んでしまった親友のこと、震災直後の相場の高騰のこと、学校が休みになって喜んだこと、耐震建築のこと。そして、忘れたふりをしてもどうしても忘れられない「震災」のこと、神戸の街のこと。人間の不幸とは?不幸の辛さを克服する方法とは・・・?
そして語り明かした二人は最後に、“震災を忘れたふりをしない”生き方を選びます。

東日本大震災を経験した今、この二人と同じような想いや答えの見当たらない問いを、ますます多くの人々が共有することになりました。それは悲しいことではありますが、だからこそ今、この映画を観てほしいと思います。僕はこの映画を観て、さんざん泣きながらも、なぜか慰められた気がしました。ただ悲しいだけでなく、やたらに励ますのでもなく、不思議な力を持った作品です。

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(本編にも登場する「シンサイミライノキ」)

ちなみに主演のお二人は神戸出身で、当時震災を経験したそうです。映画の設定と同様、「その街のこども」だったわけです。脚本の渡辺あやさんも、出身は西宮市。震災をリアルに受け止めたキャストやスタッフが揃ったからこそ、まるでドキュメンタリーのような、想いのこもった作品が完成したのだと思います。本編の最後には、実際の15年目の「追悼の集い」の様子も映像で流れます。

シネマイクスピアリでの上映は、3/10(土)〜16(金)の一週間限定、朝11:00〜の上映です。ぜひご覧ください。

By.A

© 2010NHK

『ロボジー』

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こんにちは。「しのぶ」と名の付く人はみんな大好き、「しのぶ」マニアの男住人Aです。
そんな僕にとっての日本三大「しのぶ」と言えば、世界が(ようやく)認めた「キャタピラー」寺島しのぶ、そしてサリバン先生を演じたら随一の「奇跡の人」大竹しのぶ、最後に唯一の男性エントリー・矢口史靖(しのぶ)。
今回僕がおすすめするのは、その矢口史靖監督から4年ぶりに届いた新作『ロボジー』です。

さて、皆さんはこの監督のことをご存知でしょうか?名前は意識してなくても、妻夫木聡がシンクロ学生を演じた『ウォーターボーイズ』はテレビ放映などでも観た方が多いと思います。あの作品を筆頭に、毎回ユニークな視点で、しかも自身のオリジナル脚本で、ハイレベルな映画をノラリクラリと撮り続ける人、それが矢口史靖監督なのです。今回の『ロボジー』でも、矢口ワールドは全開です。

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(こんなワンショットでも笑わせてくれます。これも矢口ワールドの魅力。)

家電メーカーに勤務する窓際トリオの三人は、近く開催されるロボット博での企業広告のために急遽二足歩行ロボットを開発することに。でもでも、“ニュー潮風”と名付けられたそのロボットはそう簡単には完成しない。しかもビルから転落して大破!「困った!このままだとクビだ!」とあせる三人は、とりあえずその場しのぎでロボットの中におじいちゃんを入れて、ロボット完成!開発間に合った!ということにしちゃいます。
その後、ロボット“ニュー潮風”が(というか、中に入ったじいちゃんが)意外な活躍を見せたことで街の人気者になってしまい、一度限りのごまかしのはずが止めるに止められなくなり…といった物語。
まぁ、でも、このブログはあくまで「ウラブログ」ですので言ってしまいますが、ストーリーはあまり気にしなくていいです(笑)。三谷幸喜作品とかもそうですよね?深読みしなくても、矢口監督の手腕でちゃんと楽しいひと時に連れて行ってくれますから。

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(ロボットじいちゃんを演じるのは、実はミッキー・カーチスさん。)

そしてここで、昨年9月以来のイベント速報!
矢口史靖監督をお迎えしてのティーチイン付き上映会がシネマイクスピアリで決定しました!!
★日時:1/22(日)13:40の回本編上映後(16:05ティーチイン終了予定)
映画を観た後、皆さんからの質問に矢口監督が直接答えてくれるという夢のような時間をご提供します☆
この機会を逃したら、あぁもったいない。お客様に負けず劣らず、僕も相当楽しみです。
チケットのご購入はお早めに!

イベントの日は残念ながら無理という方も、シネマイクスピアリでは1/14(土)から公開がスタートしていますので、ぜひぜひ『ロボジー』に、そして我らが矢口史靖(しのぶ)監督に、末永くご注目を!

By.A

©2012 フジテレビジョン 東宝 電通 アルタミラピクチャーズ

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