2017年5月アーカイブ

『メッセージ』

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 皆さんこんにちは、女住人Mです。前回はネタバレ厳禁シャマラン監督最新作「スプリット」をご紹介しましたが、今回も伝えたいことは山ほどあるけど、核心には触れられない、でもどうしても・・・的な5/19(金)公開の『メッセージ』をご紹介します。
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 突如、世界中12か所に現れた謎の飛行体。大学で言語学を教えるルイーズ(エイミー・アダムス)は軍から"彼ら"の言語解読を依頼されます。"彼ら"が地球にやってきた目的を探るために・・・。
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 日本ではその形状から(お菓子の)"ばかうけ"と一部で名付けられている、この謎の飛行体。その中に入り込んだ言語学者のルイーズ、物理学者のイアン(ジェレミー・レナー)ほかスタッフはタコとクラゲをどうにかしたような2匹の物体と出会い彼らをヘプタポッド(七本脚)と名付け、コミュニケーション方法を必死に探ります。地球上の様々な場所に現れたため、この危機的状況をなんとか打破しようと各国が協力し合います。そんな中でルイーズは「急がば回れ」とイアンと共に出来るだけ自分たちのやり方で彼らとの接触を図り・・・・と前半は至って王道のファーストコンタクトもの。
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 2体のヘプタポッドはアボットとコステロ(由来は昔のアメリカの漫才師の名前らしいです)と名付けられ、やっとこさコンタクトの足がかりを掴むもの、解読には時間を要し、徐々に「やっぱりあいつらは侵略しにやってきたんじゃないか?」といった不安に駆られる人たちも増えていきます。交戦の構えを今にも取りそうな国も出てきて、ルイーズたちが一刻も早く彼らとコンタクトを取らねば・・といった一触即発な流れにもなり、緊迫感は増幅していきます。
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その一方、この映画は冒頭からルイーズの私的な物語がフラッシュバックのように挟みこまれていきます。そこからは一人娘の成長の記憶が時間軸もまばらに断片的に登場します。ヘプタポッドとの流れとは何の関係もない所で、ルイーズはこのフラッシュバックに襲われ、悩みます。観客はルイーズが傷を抱えた人であることを何となく認識していくのですが、後半、この展開が映画全体の流れをググっと変えて行くのです。あ~、もうこれ以上は言えない・・・
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(エイミー・アダムスの演技がまた素晴らしい!!)

 この映画の魅力はズバリ、入口と出口のギャップにあると思っています。導入は地球人が宇宙人と出会うファーストコンタクトものというとてもSF的なものなのに、語られるテーマ(出口)が観た人のパーソナルな部分、その人の柔らかい場所に留まるところ。
この映画の謎が解けた時には想像もしていなかったところに自分を持って行かれ、とても不思議な感覚を得ると思います。それは人によっては悲しいと感じたりするかもしれませんし、むしろ生きていくこと、誰かを愛することの強さを感じる人もいるかもしれません。
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こう説明すると、ばかうけ襲来からどこに着地するのだ?と増々疑問の??を増やしてしまったかもしれませんが、そのギャップこそがこの映画の醍醐味なので、下手な情報を入れてしまう前に映画館にかけつけて頂くのが一番だったりします。もしかしたら"あなた"の人生の物語になりうる1本かもしれません。
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 こんな素敵な映画を作ってしまったのは「SF映画を作るのが夢だった」と語るドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。新作を出す度に期待と評価を高め(「プリズナーズ」「複製された男」「ボーダーライン」ほか)、今後の活躍が最も期待されている映画人の筆頭であり、今最も声に出して言いたい名前を持つ男、それがドゥニ・ヴィルヌーヴです。次回作にはSF映画の金字塔「ブレードランナー」の新作『ブレードランナー2049』(ハリソン・フォードと「ラ・ラ・ランド」のライアン・ゴズリング主演よ~)の公開を11月に控えるほか、これまた話題作「デューン 砂の惑星」のリブート版の監督に決定するなど、ヴィルヌーヴの名前をサラっと言えるとかっちょいい局面が増えますので、今のうちから名前を覚えておいて下さいね。
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(「シン・ゴジラ」の樋口真嗣監督(右)もヴィルヌーヴ監督の大ファン。
サインをもらって映画少年に戻ったような樋口監督の表情が何ともナイスです。)

配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
By,M

『スプリット』

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 こんにちは、女住人Mです。映画の宣伝では、ネタバレ厳禁!結末他言無用!的な煽りを入れる作品がありますが、今回ご紹介する作品もそういった類の映画、"ドンデン返し"と言えばこの人、M・ナイト・シャマラン監督最新作5/12(金)公開『スプリット』です。
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 ケイシー(アニヤ・テイラー=ジョイ)は友達がいない孤独な女子高校生。クラスの人気者クレアの誕生日パーティーに誘ってもらい、彼女のお父さんに車で送って貰う途中、同乗していたマルシアと共に正体不明の男(ジェームズ・マカヴォイ)に拉致、監禁されてしまいます。そしてその誘拐犯は23もの人格を持つサイコ野郎だったのです!
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さて、"シャマラン"と聞くとある時期からもう旬が過ぎた人・・的な認識もあったかもしれませんが、先ずそういう概念を捨てていただくことから話を始めましょう。確かに、シャマランは「シックス・センス」の大ヒットを機に人気監督になったもの、途中から暴走が止まらず、多くの観客が置いてきぼりになった時期やシャマランらしからぬ作品を作った時期もありました。しかし、シャマランは前作『ヴィジット』(2015年)で完全復活を遂げているのです。なので蘇ったシャマランを堪能いただくために、気持ちと時間に余裕がある方は是非ともこの「ヴィジット」を観て頂きたい!そんな面倒なことを勧めるぐらい「ヴィジット」傑作です!

 そして肝心の『スプリット』、前述したようにシャマランお得意のラストにまさかの・・・という展開があるので何も語れません!笑
言えることはシャマランの練られたストーリー展開を体現する役者たちの演技が本当に素晴らしいこと!!特に23人もの人格を持つケビンを演じるジェームズ・マカヴォイが凄すぎる!「ナルニア物語」のタムナスさん役でまろやかイケメンとしてファンの心を鷲掴みにし、一躍トップ俳優に。昔は風貌を活かした王子様風な役も多かったのですが、途中から彼の突出した演技力を求めキャスティングする監督が多く、シャマランもきっとそれを狙っての起用だったと思います。
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マカヴォイはケビンの中に存在する9歳の少年からエレガントな女性、デザイナー志望の男性と演じるキャラの振れ幅はありまくりなのに、どれも恐ろしい程に演じ分けていて、ロバート秋山(のクリエイターズ・ファイル)も驚愕のマカヴォイ劇場が繰り広げられるんです。本作の終盤に登場するあるキャラを演じる時のマカヴォイは特にどうかしているぐらい凄い!!役者って本当にすげぇ~、と声に出しそうになりました。
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加えて、ケビンに誘拐されるヒロイン・ケイシーがまた良い!一緒に誘拐されてしまい泣き叫ぶだけの友達とは一線を画し、ケイシーだけは冷静で、時に機転を利かせ反撃に出たり、うまくケビンを丸めこもうと画策します。ケイシーを演じるアニヤちゃんの目がまたとても魅力的で、心を閉ざしているからいつも伏し目がちだけれど、目が大きくうるんでいるのでどこか謎めいているし、表情の一つ一つに悲しみがにじみ出るんです。
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そして物語が展開するにつれ、彼女が抱える闇の片鱗が徐々に想像出来るようになり、ケビンを始め、物語でキーポイントとなるキャラは全て"孤独"という共通点の中である意味繋がっていくのです。奥にあるテーマはとても切なく、悲しい・・・。

でもそこはシャマラン。そういう悲しみをストレートに描かない。それが終盤のまさかの展開へと広がりをみせて行くんです。
シャマラン、勝負に出たな!
挫折を経験し、一皮むけたシャマランの快進撃はまだまだ続くのでした。

★シャマラン監督&ジェームズ・マカヴォイ来日の模様もお届け★
 本作の公開を記念して監督とジェムズ・マカヴォイさんが来日!映画を観終わった後のお客様とネタバレ解禁トークを繰り広げるイベントに参加してきました。2年ぶり7回目の来日のシャマラン監督は「今回はコミック本を買いたいんだけどどこか良いところ知らないかな?」と観客に尋ねたり・・・。
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9年ぶり2回目の来日となったマカヴォイさんは来日中に誕生日を迎え、当日はロボットレストランに行ったそうで「これまでで一番クレイジーな誕生日を過ごしたよ。でも外国人ばっかりで、日本の人は行かないの?」とコメント。そして観客みんなでマカヴォイさんに「お誕生日おめでとう」と祝福され「Thank you、Thank You!」と笑顔で答えていました。
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マカヴォイさんは今回1週間近く日本に滞在されていたようで、シャマラン監督も大の日本好き、また私たちの予想を裏切る映画を作って来日してほしいですね。

By.M
©2017UNIVERSAL STUDIOS,ALL RIGHTS RESERVED.

『カフェ・ソサエティ』

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 皆さんこんにちは、女住人Mです。今回は今もなおハイペースで映画を作り続ける超人ウディ・アレン(今年82歳!)の最新作5/5(金)公開の『カフェ・ソサエティ』をご紹介します。
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 舞台は1930年代、主人公のボビー(ジェシー・アイゼンバーグ)は刺激的な日常を求めて映画業界の大物エージェントの叔父フィル(スティーブ・カレル)を頼ってニューヨークからロサンゼルスにやってきます。雑用係として仕事を始めたボビーですが、秘書のヴォニーことヴェロニカ(クリステン・スチュアート)にたちまち一目ぼれ、アタックするも彼女は道ならぬ恋に落ちていたのです。傷心のまま結局ニューヨークに戻ったボビーは兄のナイトクラブで働き成功、美しい女性(ブライク・ライブリー)と出会う・・・これまた彼女の名前もヴェロニカなのでした。
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 ウディ・アレンの作品と言えば、ファニーでロマンティック、時にシニカルだけど切なさがふっと訪れて、と人生の酸いも甘いも描いてくれる・・さすが人生を長く豊かに経験し、映画に生き、恋に生きたマスターの教えは!といった印象があります。「人生ってこんなもんだと僕は感じているけどね・・」と映画を通じて語られるウディ節は年を取れば取る程ダイレクトに胸に沁みて、若い頃よりどんどん彼の作品がしっくりくるのは大人になった自分へのご褒美なような気もしています。で、今回はひとりの男と二人のヴェロニカが織りなす物語。
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本作でもボビー演じるジェシー・アイゼンバーグがウディさながらにマシンガントークを繰り広げ(って、この人はもとからそういうタイプではありますが・w)、ブラックなユーモアで笑わせたり、はたまた30年代のゴージャスな世界観にうっとりさせてくれたり、と思ったら黄昏時のような寄る辺ない気持ちにもさせてくれたりと、ここに来てまたもやウディ映画の傑作が誕生しました。
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 この映画で個人的にグっときたポイントは "進める道は1つ"であることの描かれ方。ボビーは成功を夢見て、ロサンゼルスに行ったり、夢破れてニューヨークに戻ったり、はたまたヴォニーに恋したり、恋破れてヴェロニカと結ばれることになったりと、彼の人生には違った生き方もあったかも・・・というのがいくつか提示されます。
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でもこれはボビーだけのことでなく、人は誰しも日々どんな些細なことでも多くある選択の中から一つを選んで行動していて、それに満足しようが後悔があろうが「あの時こっちを選んでいれば」といった思いを必ずするものです。だって人生は1つしか選べないから。なのでどうしたって「あっちもあったな」と想いを馳せてみては堂々巡りになっちゃいます。
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 そしてこの映画が語られる時に大ヒット上映中の映画「ラ・ラ・ランド」みたい、という感想を持つ方がとても多いのはどちらの映画も「あったかもしれない人生」について描かれるから。「ラ・ラ・ランド」の描き方はファンタジーでドリーミングなあの映画にふさわしい表現でしたが、さすが82歳のウディが描くそれはまた一味違った、独特の余韻を私たちに残してくれます。それは結局"夢は夢"であること。あったかもしれない夢のようなことは考えてもしょうがないという諦めを感じさせられながらも、その一方で"そんな夢を見続けられるって素敵じゃないか"の両方を私たちに差し出してくれる。これが何とも言えずほろ苦いけれど温かい・・・。
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 人生の選択はたくさんあるようですが人は誰もが1つしか選べない、そして選んでいるようだけどそれは決まっているものと考える人もいるでしょうし、選んでいるのではなくただそうなっているだけ、と思う人もいるでしょう。"進める道が1つ"しかない私たちはそれに囚われ過ぎても損だけど、今ここにない人生を思い続ける、そう思わされる出来事があることが人生の彩りになる、「それも悪くない・・・」と映画を観終わってとても優しい気持ちになれるのでした。

★『カフェ・ソサエティ』公開記念メニューのお知らせ★
本作の公開を記念して、イクスピアリ4Fシガー&バー「トルセドール」では劇中の登場人物をイメージした4種のカクテルが、イクスピアリ3Fイタリアンレストラン「ピッタ ゼロゼロ」では映画の世界を皿上で表現した特別なデザートプレートが登場。
お会計時に映画『カフェ・ソサエティ』のチケットを提示するとさらにお得な特典も!
映画とあわせてお楽しみください♪

「トルセドール」のウェブサイトはこちら
「ピッタ ゼロゼロ」のウェブサイトは こちら

By.M
Photo by Sabrina Lantos © 2016 GRAVIER PRODUCTIONS, INC.

『ワイルド・スピード ICE BREAK』

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 GWに合わせてディズニー映画、ファミリー映画などなどいろんなジャンルの映画が公開されますが、ド派手なアイツと言えば、あれしかありません。今回ご紹介する映画は4/28(金)公開の『ワイルド・スピード ICE BREAK』です。
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 「ワイスピ」でお馴染のこのシリーズ、前作の「ワイルド・スピードSKY MISSION」も全世界的に大大大ヒット!!ただ、主人公のブライアンを演じたポール・ウォーカーが撮影途中に不慮の事故で他界。未だこの事実を受け入れられない「ワイスピ」ファンの方も多いと思いますが、それを受けての前作はこれ以上ないエンディングで締めくくられました。そして、その悲しみを乗り越えての新作です。

 「ワイスピ」と言えば"Join the Family"がスローガンなぐらい、固い絆で結ばれたファミリー映画。いえ、登場人物たちのほとんどは本当の家族ではないのに、敵対していても戦っているうちになぜか最終的にはファミリーになるという、ミラクルが起こる映画。
だって主人公のドミニク(ヴィン・ディーゼル)を追っていた警官ホブス(ドウェイン・ジョンソン)も今はすっかりドミニク・ファミリーの一員ですからね。ドミニクが仲間を大切にするから気付けば"人類みなファミリー"になるのが「ワイスピ」シリーズの特徴です。
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が、今回はなんとそのドミニクが仲間たちを裏切り、敵対してしまうのです。大黒柱を失ったドミニク・ファミリーたちは、何とかして彼を救うために、ファミリー最大の敵だったジェイソン・ステイサム扮するデッカート・ショウと手を組むことに・・・(あら、また"人類みなファミリー"の図式!?)
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 さて「ワイスピ」シリーズの最大の魅力と言えばド派手なカーアクション。本作ではなんと車VS巨大潜水艦で氷河チェイスまでやっちゃいます。どう考えてもそこに勝算なんて思いつきませんが、不可能を越えるのが「ワイスピ」シリーズです。今回も笑っちゃうぐらいどーかしているカーアクションのつるべ打ち!しかも実際に高級車たちを壊しまくって撮影しているシーンも多く、その迫力はスクリーンで観るべし!なのです。
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 そしてド派手すぎる展開に「ワイスピ」シリーズは一方で一体どこに向かっているのか?と思わなくもないですが(褒めてます!)、そのおおらかさもあってか、ハリウッドで活躍するスターの中でも「本シリーズなら是非、出演したい!」と言う人もたくさんいます。で、今回の敵役はオスカー女優のシャーリーズ・セロン!!このほかにもイギリスを代表するあの大女優もカメオ出演していたりとサプライズ満載ですので、そのあたりも心して観るべし!です。
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 今となっては車に全く興味がない方がご覧になっても心から楽しめるアクション映画になっているので「スカッとしたいな!」という方は是非映画館へGO! そして観たら最後、あなたも"Join the Family"なのです!

By.M
Ⓒ2017 UNIVERSAL PICTURES.


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