2012年3月アーカイブ

『ヘルプ〜心がつなぐストーリー〜』

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みなさんこんにちは。お別れと始まりの季節・春にちょっとおセンチな女住人Mです。
今回ご紹介する映画は本年度アカデミー賞作品賞ほか4部門ノミネート、助演女優賞受賞の『ヘルプ〜心がつなぐストーリー〜』です。

舞台は1960年代前半のアメリカ。公民権運動が盛んになった時期ですがアメリカ南部、ここミシシッピ州ジャクソンでは未だ人種差別がまかり通っています。作家志望のスキーター(エマ・ストーン)は白人社会で虐げられている“ヘルプ”(=黒人メイドたち)の境遇を知り「これおかしくない?」と違和感を覚え、メイドたちにインタビューをし、それに基づく本を書こうとします。最初は思うようにはなりませんが、スキーターの思いは次第とメイドたちの心を動かし、それは社会を変える大きなうねりへと変化していくことになります。
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(左:スキーター、中央:ミニー、右:エイビリーン)
本作は黒人メイドで心優しいエイビリーン(ヴィオラ・デイヴィス)と皮肉屋だけど料理上手なミニー(オクタヴィア・スペンサー)とスキーターの友情の物語でもあり、差別問題を扱うからと言って決して重苦しい訳ではなく、あけっぴろげでかつユーモアをふんだんに盛り込みながら物語は進みます。

メインテーマは黒人メイドに向けられる差別ですが、スキーターちゃん自身、若くして結婚して、家庭に入り、メイドに育児は丸投げして、社交にうつつを抜かす同性代の女性たちとは異なり、「恋人?結婚?うんや、仕事したい!作家になりたい!」と思っているキャラなので地元では浮きまくりです。スキーターちゃんの同級生でこの町のリーダー格ヒリー(ブライス・ダラス・ハワード)もそんなスキーターちゃんを蔑んで見てるし、自分の元彼と結婚したシーリアが気に食わないので仲間はずれにしたり・・・。誰かをいじめたり、誰かにいじめられたり、こういう差別問題と言うのは結局私たちの日常にどこにでもあるので、この映画は私たちにとっても決して遠くの物語ではないのです。

本作では、アカデミー賞で主演女優賞にノミネートされたメイド役のヴィオラ・デイヴィスや助演女優賞を受賞したオクタヴィア・スペンサー、ヒリーにいじめられるシーリアを演じ助演女優賞にノミネートされたジェシカ・チャステインの演技が見所であることはもちろん、次世代のコメディエンヌとしても注目されているスキーターちゃんを演じたエマ・ストーンや嫌〜な女ヒリーを演じたブライス・ダラス・ハワードの演技も抜群で、女優陣のアンサンブルの良さが光ります。
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(エマ・ストーン、ちゅ〜も〜く!!今後さらにちゅ〜も〜っく!)

個人的ではありますが、ブライスって何か嫌いだったのですが、前作の「50/50」に続き、私がブライスに求めている性根が悪い?!女性を嫌味たっぷりに演じ「わかっとるやないか」と言う所で逆に“信頼出来る女優”へとその存在を認める程になりました。(って、どれだけ上から目線なんだ。ブライスファンの皆さま、すみません!)そんな彼女が酷い仕打ちをしたメイドに逆襲されるシーンは映画史に残る爆笑シーンです。天晴れ!!
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(「私が性根が悪い女って、それ心外じゃない?」By.ブライス)

4月になると、新しい世界に踏み出す人も多いと思います。なんかちょっと怖気づくな〜、と言う時にこの映画を見ると、小さな一歩を踏み出す勇気が貰えるんじゃないかな、と思います。その一歩はきっとスキーターちゃんたちが踏みだした一歩のようにいつしか大きな変化を導いてくれるかもしれません。『ヘルプ〜心がつなぐストーリー〜』は3/31(土)公開です。

By.M
©2011 DreamWorks II Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

『マリリン 7日間の恋』

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みなさん、こんにちは。香水大好き女住人Mです。
今回は「あなたは寝る時に何をまとうのですか?」、「シャネルの5番よ」でお馴染みハリウッドスター、マリリン・モンロー(当時30歳)と23歳の青年との儚い恋を描く『マリリン 7日間の恋』をご紹介します。

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本作はマリリンも出演した「王子と踊り子」と言う作品の第三助監督を務めていたコリン・クラーク君が「撮影時に実はこんなことがあったんだ!」と暴露した告白本「My Week With Marilyn(マリリン・モンロー 7日間の恋)」を元に描かれた作品です。

当時既にスターだったマリリンはただのSEXシンボルとしてのイメージを払拭するべく演技の本場イギリスに渡り、ローレンス・オリヴィエ監督、主演(ケネス・ブラナー)で撮影される「王子と踊り子」と言う作品に挑みます。しかし、過剰なまでに「あたし頑張る!」と本作に賭けていたマリリンの気持ちは空回り。撮影前の本読みの段階から既にガチガチ。撮影が始まってさらにナーバスになってNGの連発。おまけに監督の演技指導そっちのけで自身が雇った演技コーチの意見ばかり聞いて、現場は微妙な空気になります。どんどん自分を追いこんでしまい精神不安定になったマリリンに同行していた夫(当時新婚ホヤホヤ)も愛想を尽かし先に帰国してしまう始末。どんどん悪循環の中にハマってしまうマリリンに「お前がちょっと面倒みとけ」とあてがわれたのが第三助監督と言う名のペーペーでパシリのコリン君(エディ・レドメイン)だったのです。コリン君はマリリンを前にドキドキしながらもマリリンの話をちゃ〜んと聞いてあげるんです。で、マリリンもそんな誠実な彼に心を開いていくんです。そして・・・・
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そんなマリリンとコリン君のひと時のムフフを描いた本作ですが、何と言ってもマリリンを演じるミシェル・ウィリアムズの演技、風貌そして雰囲気がもう本当可愛いのです。
マリリン自身はきちんと演技が出来る女優として認められたくて、マジメにいろいろ取り組んではいるのですが、何とも不器用で繊細過ぎるが故にカラカラカラカラ空回り。そして一人緊張に震え、泣いて、落ち込みます。場数も踏んでるハリウッドスターですよ、30歳ですよ、でもピュア過ぎるほどピュアなんです。でもそんなマリリンも天性の素質でドキっとするような演技や表情を見せるんです。この危うさと完璧さをミシェル・ウィリアムズが本当愛らしく演じるんです。本作を見ながら、マリリン自身の魅力にどんどん引きこまれると同時にそれを演じるミシェルの魅力にズボズボとハマっていく自分がいたのです。やっぱ人間可愛げって大事っすね〜、とマリリン&ミシェル的要素が皆無な私はいろいろなことを反省したのでした。
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(来日時のミシェル。君、きゃわいい〜ね〜)

本作でミシェル・ウィリアムズはゴールデングローブ賞主演女優賞(ミュージカル/コメディ部門)受賞、アカデミー賞主演女優賞ノミネート、ローレンス監督を演じたケネス・ブラナーがアカデミー賞助演男優賞ノミネートほか数々の賞レースも賑わせました。作品的にも愛らしい『マリリン 7日間の恋』は3/24(土)からの公開です。
By.M
(c) 2011 The Weinstein Company LLC. All Rights Reserved

こんにちは。中学生の頃からUK音楽にハマっている女住人Mです。
今回ご紹介しますのは、本年度アカデミー賞主演女優賞、メイキャップ賞を受賞した『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』です。演じるはご存知メリル・ストリープ。
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(は〜い!本作の演技でアカデミー賞17回の最多ノミネート、3回目の受賞よ〜♪)

そして本作はご説明するまでもなく、英国史上初、唯一の女性首相だったマーガレット・サッチャーの物語です。マーガレットは雑貨商の娘ですが、市長を務めた父の影響で政治家の道を進みます。34歳で保守党から議員選挙立候補当選、50歳で保守党党首、54歳で英国首相へ。強い信念により封建的な男社会の中でも強力なリーダーシップを発揮した彼女は“鉄の女”とも呼ばれます。本作では妻として、母として、国のリーダーとして戦い続けてきた女性・マーガレット・サッチャーの真実を描きます。

日本でサッチャーさんと言えば衰退していた英国を立て直し、米国レーガン大統領と共に冷戦を終結させたことで、わりと好意的に取られている人物だと思います。が、本国イギリスでは行き詰っていた経済を立て直したサッチャー政権の業績を評価する一方、それにより深刻な失業問題が発生し、国民の多くの生活が貧窮に陥り不満の声も上がりました。私が好きなUKバンド、ザ・ジャムやスタイル・カウンシルのボーカル、ポール・ウェラー先生もそんな労働者や庶民の声を曲にしたものです。なので、彼女の人生が悲哀をもって語られる本作に対し「おセンチになられても苦しんだのは君じゃない!」と不快感を表す観客も多かったとか。
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(サッチャーさん、国民に責められるの図)

でもそんな中で、この作品がアカデミー賞と言う舞台に名を連ねたのはやはり、サッチャーさんを演じたメリル・ストリープの存在でしょう。いや〜昔TVで見たことがある、サッチャーさんそのものです。

サッチャーさんが下した数々の政治決断がどうだったかはさておき、自分の決断に迷うことなく、反感を買うことも恐れずにひたすら自分の道に邁進したその力強い姿は、一人の人間として魅力があります。そんなパワフルな女性が晩年、夫を亡くし、自身は認知症に苦しみ、幻想の夫だけが支えとなってしまいます。男社会で孤立することが多かったサッチャーさんがその表舞台を去った後にさらに孤独な戦いを強いられていたと言うのは何の因果なのでしょう。彼女の人生に影を見るとしたら、それは国民からなじられた時や首相を退かなければならなかった時でなく、この晩年の日々だったのかもしれません。

人生って何だろうな〜と考えさせられたり、当時のイギリスの社会情勢を映画で知ることも出来て、エンタメでありながらお勉強も出来る一石二鳥の『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』は3/16(金)からの公開です。

By.M
2011 Path Productions Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute

TVドラマ「シャーロック・ホームズ」は、イギリスのグラナダTV版とBBC製作版、両方とも大好き!な女住人Mです。

我々日本人のシャーロック・ホームズ像と言えば、NHKで1980年代〜90年代に放映されていたグラナダTV版でジェレミー・ブレッドが演じたホームズがおそらく一番印象深いのではないでしょうか?陰なオーラをまとい、知的かつ繊細で神経質な香りがする紳士。しかし、2009年ロバート・ダウニー・Jr.(以降、ロバJr.)が演じる映画版の「シャーロック・ホームズ」が登場した時は度肝を抜かれました。
違う、全然違う!どちらかと言えば、ロバJr.が持つジェネラルイメージに近い、明るく、おちゃめでかしこく、時にシニカルでちょっと暴れん坊、でも憎めないのよね〜的なホームズに最初は戸惑いました。そして、これまでどこか頼りなくて、いまいち垢ぬけないイメージだった助手のワトソン君もジュード・ロウが演じ一変。これも何か違う!でもロバJr.×ジュード、男前×男前、そんな二人が劇中、仲良くキャッキャッしながらも、クールに時に大胆に事件を解決する様に私はたちまち魅了されました。そして今回、その続編『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』が公開です!
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ロバJr.とジュードが演じる、ホームズ&ワトソンのバディ感の相性の良さはそのままに、元嫁・マドンナと離婚して以降、吹っ切れた感が漂う、監督のガイ・リッチーの演出もテンポ良く、爆破、爆破でド派手に展開されるストーリーがまた楽しい〜!
しかも今回、ホームズ&ワトソンの敵はあの“モリアーティ教授”!!シャーロック・ホームズの因縁のライバル、あのホームズさえも凌駕する邪悪な才能の持ち主、モリアーティ教授が今回、事件の黒幕として登場です。(もちろん、出ますよ、滝!)
正義VS悪の図式は悪が魅力的であればあるほど、物語全体が面白くなるのはセオリーですからね。ホームズにとって最大の敵モリアーティ教授が登場する本作の品質は保証されたようなもんです。
「シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム」は3/10(土)から公開!是非、スクリーンでお楽しみ下さい。

<スペシャル・追記コーナー>
ワトソン役のジュード・ロウが来日した際に行われた記者会見に潜入してきました!!
ジュード自身、これまでにないホームズとワトソン像に魅力を感じているようで、「あれほど頭が切れるホームズの選ぶ相棒が頼りない男である訳がない、むしろ同等でなければ助言も出来ない。ワトソンがだらしないからホームズが引き立つようではダメなんだ」と言うことでジュード版ワトソンはこれまでにない魅力的なキャラクターになっているのです。
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(どうや、ジュードや。男前や。)
そして、来日直前にロバJr.に子供が産まれたことについて記者から尋ねられると「え〜、もう産まれたの?なんで君(記者)に先に連絡が言ってて僕にはないの。もう友情は終わりだよ・笑。あ〜後でメールしなきゃ(素に戻って小声)」とコメントするなど、会場を明るくしてくれるジュードに私はまたメロメロになりました。
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By.M
(C)2011VILLAGE ROADSHOW FILMS(BVI) LIMITED

『ヒューゴの不思議な発明』

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今年のアカデミー賞の予想は24部門中13部門が当たりだった女住人Mです。
さて、今回は4/7(土)公開の「アーティスト」と並んでアカデミー賞最多5部門を受賞したマーティン・スコセッシ監督の『ヒューゴの不思議な発明』をご紹介します。

物語は1930年のパリが舞台。主人公のヒューゴは唯一の家族である時計職人のお父さんを亡くし、駅の時計台に隠れ住んでいる孤独な少年です。そんなヒューゴの友だちはお父さんが残した壊れたままの“機械人形”。お父さんも修理出来なかった“機械人形”に命を宿すために駅内にあるおもちゃ屋の部品を盗んでいたヒューゴでしたがある日、店主のパパ・ジョルジュにそれが見つかり、修理方法が書かれたお父さんのノートを取られてしまいます。
ノートを返してもらうために、これまでに盗んだ部品代を弁償するためにパパ・ジョルジュの元で働くことになるヒューゴはパパ・ジョルジュに育てられているイザベルとも出会います。そしてこの出会いが“機械人形”の秘密を紐解き、別の秘密をも見出すことになるのです。

本作は「マーティン・スコセッシ最高傑作!!」とも称されている作品ですが、これまでのスコセッシ映画とはイメージが異なるファンタジーものですし、しかも3D、「スコセッシも3Dブームに乗っかったか?」と映画を見るまでは懐疑的だった私でしたが、映画を見てガッテンし、遥かNYの方角に向かって「すまんかった」と詫びることとなりました。
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(わいがスコセッシやで〜)

先ずは3Dブームに乗っただけではない、その出来映えはアカデミー賞の数々の受賞結果からもわかります。もう冒頭から「うわ〜」と声を上げてしまう程の素敵な映像。しかも技術だけではありません。これまで、「トランスフォーマー」のように映像を楽しむための表現方法として3Dが必要だった映画はありましたが、本作は物語を語る上で3Dと言う表現が必要だった、そんな新しい視点からの3D映画なのです。

映画はもともと“動く絵”としてリュミエール兄弟によって発明されその後、手品師でもあったジョルジュ・メリアスが“動く絵”にストーリーを持たせ、カット割を使用するなど新しい技術方法を取り入れ【世界初の職業監督】として今日の映画の原型を作りました。
本作ではその映画の歴史を振り返りながら、映画製作の舞台から姿を消してしまうジョルジュ・メリアスの隠された晩年の秘密をも追っていきます。昔、人々が“動く絵”から“ストーリーを持つ映画”と出会い、サイレント、モノクロの映画が、トーキー、カラーの映画になり、そして2Dの映画が3Dになっていく。『ヒューゴ』と言う物語を楽しみながら、その映画の大きな歴史のうねりまで体感することになります。
それを感じた時、映画を見て幸せになった記憶が走馬灯のように甦ってきました。
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(みんな大好き「キック・アス」のクロエ・グレース・モレッツちゃんも出てるよ)

映画の魅力、そして映画が大好きなスコセッシの溢れる映画愛を是非スクリーンで3Dでご堪能下さい♪
『ヒューゴの不思議な発明』はシネマイクスピアリにて3/1(木)より公開中です。

By.M

(C)2012 PARAMOUNT PICTURES.All Rights Reserved

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