『パトリオット・デイ』

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 皆さん、こんにちは女住人Mです。今回は4月にご紹介したメキシコ湾での原油流出事故を描いた「バーニング・オーシャン」に続いて主演:マーク・ウォールバーグ×監督:ピーター・バーグがタッグを組み、実録ドラマ&現実世界のヒーローはどこにでもいる普通の人だよシリーズな1本、6/9(金)公開『パトリオット・デイ』をご紹介します。
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 アメリカの祝日"パトリオット・デイ(愛国者の日)"に毎年開催されるボストンマラソン。このレースのゴール付近で3人が死亡、264人が負傷する爆弾テロ事件が発生します。ボストンの街は異常事態に陥るも、事件は4日間で解決。その裏には知られざる事実があったのです。本作はテロ事件に対峙することになった地元警察とFBIがわずかな手がかりから事件を解決に導くまでをドキュメンタリー映画さながらにスリリングに緊迫感MAXで描きます。
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 ボストンにおける"パトリオット・デイ"は街を上げての祝日で、その日はマラソンに出るか、それを見るか、地元球団のレッドソックスの試合を見るか、という街全体がお祭りムードなLOVEボストンな日。街中は応援の歓声が湧き、みんながリラックスしている空気が漂っている最中、無差別テロが起き街中は未曾有のパニックに陥ります。

 物語は序盤からこの事件に何かしらの形で関わることとなる登場人物たちの視点がそれぞれ描かれる、群像劇のような形で進行します。犯人たちがどのようにして当日行動し、事件を起こし、その後逃亡し、逮捕されるのか、事件に対しFBIと警察がどのように対処し、犯人を追いこみ、逮捕に至るのか、事件に巻き込まれてしまった人たちがどのようにその日を迎え、事件に遭うのか・・・。そういったいくつものシークエンスが丁寧にかつテンポよく語られるので臨場感この上なし。
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また、徹底的なリサーチによって再現される爆発現場や捜査過程のリアリティ度の高さは、この手の作品を撮らせたら、3本指に入るピーター・バーグ監督ならではの職人技が光ります。そして物語はとにかく犯人を早く見つけてほしい、怪我を負った人たちが少しでも軽傷であってほしい、パニックで離ればなれになった家族たちが早く再会してほしい、といろいろなどうか、どうかという願いの中で進行し、徐々に犯人たちの行動にフォーカスされていきます。
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 しかしそこに浮かび上がるのは組織化され訓練を受けたテロ軍団の影というより、ネットやSNSの普及によりある日突然テロリストになってしまった若者たち、という像なのです。
"絶対に犯人をあげてやる"という執念とは裏腹に逃亡する犯人たちの行動はとても感情的。途中、身内の喧嘩が始まったり、行き当たりばったりで動いたりと、あんなお粗末な精神性で行動したことが、あんなに多くの犠牲を出した事実を考えると、そのギャップでやりきれなさは倍増です。

 この手の作品なので、どうしても"アメリカ万歳"的な要素が一方的だと感じる方もいるかもしれませんが、ここで描かれることは最大の危機から見事に立ちあがって行く市民一人一人の姿、そしてそこから立ち直っていこうとする人々、一人一人の心の強さです。
"テロには屈しない"そんなアメリカの姿がこの映画には強く投映されていたのでした。

 そして群像劇映画として秀逸な本作はそれを支えるキャスト陣の演技にも注目!自らがボストン生まれなだけに製作陣にも名前を連ね、並々ならぬ思いでこの作品に取り組んだ地元警官トミーを演じるマーク・ウォールバーグ。常に冷静にクールに現状を見極めるFBI捜査官リックを演じるケヴィン・ベーコン。
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(ケヴィン・ベーコンの登場シーンが猛烈にかっこいい!!ので注目でぇす。)

この人が出る映画にハズレなし、本作ではボストン警察警視総監を演じるジョン・グッドマン。後半の山場、住宅街で起こる銃撃戦に居合わせるベテラン巡査役、「セッション」の鬼教官でお馴染J・K・シモンズと、登場する俳優たち全員がベストアクトを繰り広げ、それを観るだけでも価値ありな1本なのです。
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(ベテラン巡査部長を演じるJ・K・シモンズのイブシ銀的な演技も憎いね!)

 憎しみから生まれるものがあるとすればそれは"悲劇"だけ、ですよね・・・・

by.M
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