『メッセージ』

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 皆さんこんにちは、女住人Mです。前回はネタバレ厳禁シャマラン監督最新作「スプリット」をご紹介しましたが、今回も伝えたいことは山ほどあるけど、核心には触れられない、でもどうしても・・・的な5/19(金)公開の『メッセージ』をご紹介します。
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 突如、世界中12か所に現れた謎の飛行体。大学で言語学を教えるルイーズ(エイミー・アダムス)は軍から"彼ら"の言語解読を依頼されます。"彼ら"が地球にやってきた目的を探るために・・・。
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 日本ではその形状から(お菓子の)"ばかうけ"と一部で名付けられている、この謎の飛行体。その中に入り込んだ言語学者のルイーズ、物理学者のイアン(ジェレミー・レナー)ほかスタッフはタコとクラゲをどうにかしたような2匹の物体と出会い彼らをヘプタポッド(七本脚)と名付け、コミュニケーション方法を必死に探ります。地球上の様々な場所に現れたため、この危機的状況をなんとか打破しようと各国が協力し合います。そんな中でルイーズは「急がば回れ」とイアンと共に出来るだけ自分たちのやり方で彼らとの接触を図り・・・・と前半は至って王道のファーストコンタクトもの。
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 2体のヘプタポッドはアボットとコステロ(由来は昔のアメリカの漫才師の名前らしいです)と名付けられ、やっとこさコンタクトの足がかりを掴むもの、解読には時間を要し、徐々に「やっぱりあいつらは侵略しにやってきたんじゃないか?」といった不安に駆られる人たちも増えていきます。交戦の構えを今にも取りそうな国も出てきて、ルイーズたちが一刻も早く彼らとコンタクトを取らねば・・といった一触即発な流れにもなり、緊迫感は増幅していきます。
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その一方、この映画は冒頭からルイーズの私的な物語がフラッシュバックのように挟みこまれていきます。そこからは一人娘の成長の記憶が時間軸もまばらに断片的に登場します。ヘプタポッドとの流れとは何の関係もない所で、ルイーズはこのフラッシュバックに襲われ、悩みます。観客はルイーズが傷を抱えた人であることを何となく認識していくのですが、後半、この展開が映画全体の流れをググっと変えて行くのです。あ~、もうこれ以上は言えない・・・
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(エイミー・アダムスの演技がまた素晴らしい!!)

 この映画の魅力はズバリ、入口と出口のギャップにあると思っています。導入は地球人が宇宙人と出会うファーストコンタクトものというとてもSF的なものなのに、語られるテーマ(出口)が観た人のパーソナルな部分、その人の柔らかい場所に留まるところ。
この映画の謎が解けた時には想像もしていなかったところに自分を持って行かれ、とても不思議な感覚を得ると思います。それは人によっては悲しいと感じたりするかもしれませんし、むしろ生きていくこと、誰かを愛することの強さを感じる人もいるかもしれません。
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こう説明すると、ばかうけ襲来からどこに着地するのだ?と増々疑問の??を増やしてしまったかもしれませんが、そのギャップこそがこの映画の醍醐味なので、下手な情報を入れてしまう前に映画館にかけつけて頂くのが一番だったりします。もしかしたら"あなた"の人生の物語になりうる1本かもしれません。
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 こんな素敵な映画を作ってしまったのは「SF映画を作るのが夢だった」と語るドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。新作を出す度に期待と評価を高め(「プリズナーズ」「複製された男」「ボーダーライン」ほか)、今後の活躍が最も期待されている映画人の筆頭であり、今最も声に出して言いたい名前を持つ男、それがドゥニ・ヴィルヌーヴです。次回作にはSF映画の金字塔「ブレードランナー」の新作『ブレードランナー2049』(ハリソン・フォードと「ラ・ラ・ランド」のライアン・ゴズリング主演よ~)の公開を11月に控えるほか、これまた話題作「デューン 砂の惑星」のリブート版の監督に決定するなど、ヴィルヌーヴの名前をサラっと言えるとかっちょいい局面が増えますので、今のうちから名前を覚えておいて下さいね。
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(「シン・ゴジラ」の樋口真嗣監督(右)もヴィルヌーヴ監督の大ファン。
サインをもらって映画少年に戻ったような樋口監督の表情が何ともナイスです。)

配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
By,M

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