『パパが遺した物語』

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 暑さ寒さも彼岸まで・・・ということですっかり秋の気配に街が包まれてきました。ちょっとおセンチな秋が大好きな女住人Mです。これからはそんな季節にぴったりのジンワリ系映画の公開が増えてきます。今週ご紹介するのは10/3公開『パパが遺した物語』です。
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 主人公は過去のトラウマから自暴自棄な日々を過ごしていたケイティ(アマンダ・セイフライド)。そんな彼女が作家だった亡き父ジェイク(ラッセル・クロウ)の大ファンという青年キャメロン(アーロン・ポール)と出会い恋に落ち、新しい出会いの中で過去と向き合おうとします。本作は小説家の父親とその娘との関係を過去と現在を交錯させながら描いていきます。

 たまに本編を観た後に予告編を観るとそれだけで思い出し泣きしそうになる映画がありますがまさに本作はそれです。子供の頃は大好きな両親とこの上なく幸せな日々を過ごしていたのに、ある事故をきっかけに父ジェイクと二人っきりになったケイティ。心身共にダメージを受けた父はそれを機に長期入院をし、ケイティは母親の姉エリザベス(ダイアン・クルーガー)の裕福な家に預けられます。

大好きな娘と離れたくはないけれど精神的・経済的にも苦しいお父さんの苦渋の選択。心は千切れそうですがケイティとの生活を立て直すために一旦、離れることを決意したのです。でも現実は厳しく、お父さんの病状はなかなか完治せず、再びケイティと暮らせるようになっても前のようにはいかないのです。でもどんなことがあってもケイティにとってお父さんはお父さん。とにかく一緒にいられればそれだけで幸せなのに、またもや辛い現実が重なっていくのです。
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どんなに大好きな人も自分の元から去ってしまう・・・そんな経験を幼い頃にしてしまったケイティは大人になってもその感情がトラウマとなって彼女をむしばむのです。大学院で心理学を専攻し、自分と同じように幼くして一人ぼっちになった少女を救おうとしますが、自分がそうであるように少女の心は頑ななまま。ケイティ自身も未だ誰かを心から愛することが出来ない・・・。自分のことをまっすぐ見てくれるキャメロンに出会ってからも愛する人が不在になる恐れが彼女を襲い、心から向き合えない・・・そしてそれは結局、自分ばかりでなく大好きな相手も傷つけることに。はぁ~、人生ってうまくいかない。前に進むための行動や良かれと思った行動が裏目に出たりすること、これほど切ないものはありません。この映画を観ている時も「神さま、お願いだから幸せにしてあげて~!」と懇願してしまうことしばしで本当に苦しくなります。
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 そして、本作がこんな風に胸に迫る作品になっているのは何と言ってもキャスト陣の演技力による所も大きいと思います。オスカー俳優ラッセル・クロウは言わずもがなですが幼少期のケイティを演じたカイリー・ロジャースちゃんはその愛くるしさ、演技力共に「アイ・アム・サム」のダコタ・ファニングちゃん級!娘さんを持つお父さんが本作をご覧になったら自分と重ねておいおい泣いちゃうんじゃないでしょうか。大人になってからのケイティは「レ・ミゼラブル」そして最近では「テッド2」に出演のアマンダ・セイフライドちゃんが演じ、これまたピッタリ。大きく綺麗な目は「テッド2」で笑いのネタにもされていましたが、本作では彼女の演技力の武器にもなっています。
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脇を固めるキャスト、例えばダイアン・クルーガーが演じた幼いケイティを預かるエリザベスなんかも、彼女目線でもう1本映画が作れるんじゃないか、というぐらいしっかり描かれています。彼女の演技力があったからこそですね。良い脚本に良い役者が揃った映画、もう間違いありません。

 父と娘の思い出の曲、カーペンターズの「Close to you」が流れるとさらに心に沁みてくる、『パパが遺した物語』は10/3(土)からの公開です。

By.M
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