『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』

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 まもなく"夏休みも終わり"に近付いてきました。大人になるとそれは薄れた記憶でしたかありませんが、それでも街の至る所に"夏休みが終わっちゃう!"という気配は感じられますね。こんにちは女住人Mです。
今回は季節がゆっくりと次にバトンタッチするこの季節にお似合いな映画、8/22(土)公開の『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』をご紹介します。
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 舞台はスコットランド・グラスゴーのとある街。入院中のイヴ(エミリー・ブラウニング)にとってはピアノに向かい曲を作っている時が唯一の救いの時間。ある日、病院を抜け出した彼女はライブハウスでアコースティック・ギターを抱えたジェームズ(オリー・アレクサンデル)と出会い、さらに友人のキャシー(ハンナ・マリー)も加わって3人で一緒に音楽を作ることに・・・。本作は20代の若者たちの恋と痛みを音楽に載せて描く、ポップ・ミュージカル映画です。
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 監督・脚本のスチュアート・マードックはスコットランドを拠点にしたベル&セバスチャンのフロントマンでヴォーカル、つまり本業はミュージシャン。もともと自分のバンドのために曲をいくつか作っていたのですが、「これは女の子が歌った方が可愛いぞ」と思い付き、そんな女の子の物語を回想している内に脚本が出来あがってしまった、という変わり種の1本。たまたま「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」や「ライフ・アクアティック」で知られるウェス・アンダーソン監督作品のプロデューサー、バリー・メンデルの目に止まり、試行錯誤を経て、この映画は完成しました。
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 という紹介の中からうっすら漂っていますが、本作はギターポップ、ネオアコ系音楽、おシャンティ~なファッションが大好きな方、それこそウェス・アンダーソン監督作品がお好きな方には必然的にズキュンとくる1本。その昔、私が大学生時代には"シブヤ系"なるカルチャーがありましたが、そういったものに触れていた方は特にノスタルジーな感情と共にこの映画を好きにならずにはいられないかと・・・。マードック監督が作った曲はどれも心地よく、その音楽にあわせてイヴ、ジェームズ、キャシーが踊るダンスシーンは決してうまくないけれど、そのぼんやりダンスがまた愛おしい。センス抜群なマードック監督のお洒落エッセンスが随所に光ります。
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 と書くとルックスだけの映画に見えがちですが、そんなことはありません。実はマードック監督は20代の前半に慢性疲労症候群という病にかかり7年自宅で闘病、その後カレッジの音楽制作コースに通い、バンド"ベル&セバスチャン"を結成した経緯がありました。主人公のイヴも音楽だけが唯一の拠り所で、音楽と出会い、友達と出会ったことで人生が動き始めます。そう、まさにイヴはマードック監督とまんま重なります。
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 若い時は恋に友情に、生きることに悩みがちで今思えば何でもないことでもつまずいてしまいますが、たった1つの出来事や一人との出会いによって物事が大きく変わるものですよね。イヴは拒食症とうつ病の治療で悶々とした日々を過ごしていたのですが大好きな音楽が友を結びつけ、ちょっとした恋も生まれ、前へ進むきっかけを見い出していきます。この映画における可愛らしいルックスはシリアスな現実を包むオブラートのような気もします。
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 そして、ある出会いで人生が一変し、前へ進む人がいれば必ずそれを見送る人がいます。この映画でもイヴの旅立ちを淡い気持ちを抱えながら見送る人がいます。前向きながらもどこか切なさも漂う本作は、季節が変わろうとする気配が感じられるこの時期に観るのにピッタリ!ワードローブの大半がボーダーシャツというあなたに特にオススメですYO!!
By.M
© FINDLAY PRODUCTIONS LIMITED 2012

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