『フューリー』

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 皆さんこんにちは、女住人Mです。もうすぐで12月になりますね。
今週末ぐらいから年末〜お正月向けの大作映画がどんどん初日を迎えます。
今回ご紹介する作品は年末年始をにぎわす映画の1本11/28(金)公開の『フューリー』です。
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 舞台は1945年第二次世界大戦におけるヨーロッパ戦争終結4週間前。ドイツに侵攻し熾烈な地上戦を展開する連合軍のウォーダディー(ブラッド・ピット)率いる戦車隊。彼らは“フューリー”と呼ばれるシャーマン戦車に乗り組み過酷な戦争を生き延びていました。度重なる激戦を勝ち抜いてきた彼らのもとに戦場未体験の18歳の新兵ノーマン(ローガン・ラーマン)がやってきます。ウォーダディーと彼の3人の部下に手荒く迎えられたノーマンが目の当たりにするのは戦地の悲惨な現実。やがて想定外の事態により味方の戦車が次々と破壊される中、フューリーの乗員たちはわずか5人で敵のドイツ軍部隊300人を迎え撃たねばならなくなります。
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 「キック・アス」からオスカー作品「それでも夜は明ける」まで幅広いジャンルの作品をプロデュースし、そのプロデューサーとしての手腕も高く評価されているブラピの最新作が本作。もちろん今回も製作総指揮を兼ねています。そんなブラピが魅了された企画の発案者が本作の監督にして元軍人という異例の経歴を持つデヴィッド・エアー。目利きでこだわり屋のブラピと元軍人さんが作る戦争映画ということで、こういった類のものがお好きな(特にお父さん世代)にはたまらない1本になっています。
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 特に話題になっているのが88?o砲と頑強な装甲を兼ね備えたドイツ軍の戦車ティーガーと機動力で勝るアメリカ軍のM4中戦車シャーマンが激突する戦車バトルシーン。なんと当時1354輌しか作られなかったティーガー戦車が、15年もかけて自力走行可能なコンディションに修復され、現存するたった6台中、唯一動態保存されているティーガーがこの映画で実際に使われているのです。スピルバーグが監督した「プライベート・ライアン」はそれ以前と以降で戦争映画の歴史が変わったと言われる程、リアリティを追及した作品でしたがその「プライベート・ライアン」ですらソ連の改造車がティーガー戦車として登場していた程です。製造後70年以上も経っている本物のティーガー戦車が映画の中で走行するシーンは本当に圧巻。
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戦車の模型を作る趣味を私は持っていたことはありませんが、こういったものに興味がない私が見ていてもティーガーの凄さには圧倒されまくりです。もう映画館が戦場になってしまうほどのド迫力!ティーガーは2?`先のシャーマンを簡単に爆破出来るほどの強力な主砲を持ち、シャーマンが5台ぐらいかかってやっと1台のティーガーが倒せるほどだったらしいんです。ティーガーは怪物みたいなバケモンなのです。個人的には戦車VS戦車のバトルでこんなに恐怖感を覚えたのは私、初めてでした・・・ぶるる。
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 そんな映画なので、もちろん俳優たちの気合いも入りまくりです。撮影前にはブラピはもちろん、主要キャストは皆、役作りのためにブートキャンプに臨んでいます。中には「戦争に行っているのに怪我をしていないのはおかしい」と顔にナイフで傷をつけたシャイア・ラブーフみたいな役者までいたそうで。「それ今のメイク技術で充分表現出来るんじゃないか?」と思ってしまいましたが、それほどまでに役に没入したんでしょうね。

戦車は乗り込んだ兵士たちが連帯して動かすものだそうでそれ故、ブートキャンプまで一緒に体験したからこそ生まれた結束力が演技に確実に活かされていることもわかります。そして彼らにとって一緒に乗り込む戦車=彼らの家であり、それを指揮するブラピ扮するウォーダディーは父であり、部下は子供たちという関係性になっていくこともヒシヒシと伝わります。戦場という極限の環境の中でチームワークでしか生き残ることが出来ないため、重大な局面では信頼し合うしかない。だからこそ、そこにドラマが生まれていくのです。
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 とは言え、本作は戦争の善悪を描く、お涙ちょうだい的な戦争映画ではなく、アメリカで“勝利を収めた戦争”として位置づけられる第二次世界大戦であっても、実際には6千万人とも言われる多くの兵士の命が失われた、という事実がまざまざと描かれます。結局、戦争に勝ち負けや良い悪いはなく、それが引き起こすのは“死”という悲劇しかないということが痛烈に提示されます。それは軍人だったデヴィッド・エアー監督が描いたからこそより説得力が増すメッセージになっているのだと感じます。“本物”にこだわったからこそ伝わるものを是非スクリーンでご堪能ください!

By.M
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