『プリズナーズ』

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 皆さんこんにちは、GWも映画館に通っていた女住人Mです。
今回はGWも終わり落ち着いたところでじっくりと見応えのある作品を・・・・
と言う訳でヒュー・ジャックマン×ジェイク・ギレンホール共演の『プリズナーズ』をご紹介します。
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 主演は「レ・ミゼラブル」の大ヒットを受け広くその顔を知られるようになったおヒューことヒュー・ジャックマン。オバマ大統領が寿司会談をしたすきやばし次郎をこよなく愛し、親日家というか世界中でいついかなる時でもナイスガイ、彼の聖人伝説はいろいろな所で転がっている程、本当に良い人!(いえ、会ったことないですけど・笑)そんなおヒューがそういった彼自身のイメージを真っ向から覆し挑んだのが本作のケラーという役。
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(いつものおヒューは始終こんな感じの子煩悩パパさん役なのですが・・・)

 家族で幸せな一日を過ごすはずだった感謝祭の日。ケラーの6歳の娘アナがひとつ年上の親友ジョイと一緒に外出したまま忽然と消えてしまいます。まもなく警察はアレックスと言う青年を容疑者として拘束するのですが、自白も物的証拠も得られぬまま彼は釈放・・・。担当刑事ロキの捜査に業を煮やしたケラーは、アレックスが漏らしたある一言から彼を犯人と確信し、自らの手で娘を助け出すために一線を越えてしまいます。ケラーはアレックスを監禁し拷問してしまうのです・・・家族思いで信仰心が厚い父親、それ故に愛娘の命の危機を経験することで常軌を逸してしまいます。一番大切なものを失う恐怖を知り、ダークサイドに堕ちてしまうおヒュー。普段のイメージ、これまでの役柄から一変しているが故に狂気が暴走する彼を見るのは本当に辛い、辛い。話が話だけに、ただでさえ胸が締め付けられる状態なのに・・・
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(こんなの私が知っているおヒューじゃないよ〜)

 そしてまた容疑者となるアレックスを演じるポール・ダノの安定の演技が拍車をかけます。彼は日本では「リトル・ミス・サンシャイン」の内向的なお兄ちゃん役から知られるようになりましたが、変幻自在、そして掴みどころのない役をやらせると本当にピカイチで29歳にして既に名バイプレイヤー。「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」「それでも夜は明ける」といったオスカー作品にも出演し、観客の気持ちを逆なでするような役を見事に演じます。そしてたいてい劇中で最終的にボコボコにされる役が多いという・・・ご多分にもれず本作でもおヒューにボコボコにされます。しかもポール・ダノ俳優人生最大のやられっぷりです。
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(「こういう役を演じるのも辛い・・・」と吐露していたダノ君に「ルビー・スパークス」みたいな役をたまにはやらせてあげてぇ〜)

「確かにこいつが怪しい。こいつは確実に何かを知っている。」と思わせるポール・ダノの風貌と演技ですが、果たしてケラーの行動を肯定してしまって良いのか?いやむしろ同じ行動を取ってしまうのではないか、と観客はますます追い込まれていきます。そして捜査は難航しつつも、ジェイク・ギレンホール扮するロキが新たな容疑者の糸口を見つけ、映画自体のミステリー性も色濃くなっていくのです。
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(ロキという人間がこれまでどんな人生を辿ってきたかも自然とわかる演技をするジェイク・ギレンホールの役作りがまた良いYo!)

 こんなヘビーな内容でありながら全米ではロングランヒットをしたのですが、それは失踪事件の核心に迫っていくサスペンス的要素、脇に至るまで完璧な役者陣の演技、父親のモラルを越えた行動をどう考えるかといった感情論、そしてアカデミー賞撮影賞に11度もノミネートされながらも未冠の巨匠ロジャー・ディーキンスが撮る画など、様々な見どころがあるからでしょう。そしてこの映画の冒頭からそのメッセージは明確だったのですが、事件の真相が明るみになるにつれ、この映画の背後には“信仰心”が強く影響していることもわかります。日本人にとってそれは縁遠いものですが、こういう状況になった時に「じゃあ“信仰心”のない我々は何をもって心を保つことが出来るのか・・・」と別の疑問も沸いてくるのでした。でも私がこの宗教的な香りを物語のテーマと結び付けられたのは2度目の鑑賞の時で、そういうもの抜きにしても初見時かなり惹きつけられたので、そう言う意味でもこの映画の深さには唸るばかりです。
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(本作の監督ドゥニ・ヴィルヌーヴの過去作でアカデミー賞外国語映画賞にノミネートもされた「灼熱の魂」がまたどエライ作品なので、この映画が気に入った方はこちらも是非!)

 様々な人が様々な状況で囚われる『プリズナーズ』は5/3(土)からシネマイクスピアリにて公開中です。
映画を観た後にこのタイトルがさらにジワジワきますよ。

By.M
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