『インポッシブル』

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 みなさん、こんにちは女住人Mです。
今回ご紹介する作品は出来るだけ多くの方に見て頂きたい1本、『インポッシブル』です。
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 本作は2004年、スマトラ島沖地震に遭遇したベネット一家の物語です。クリスマス休暇を過ごそうとタイのリゾートビーチにやってきたマリア(ナオミ・ワッツ)、ヘンリー(ユアン・マクレガー)・ベネット夫婦とその3人息子ルーカス、トマス、サイモンは滞在3日後、地震で発生した巨大津波に襲われます。マリアは重傷を負いながらも長男ルーカスと生き延び、一方、夫のヘンリーは二男トマスと三男サイモンと奇跡的に生き残りますが、家族は離ればなれに・・・目の前に広がるのは破壊的で絶望的な光景・・・・でも彼らは家族の再会を信じ、生き抜こうとする実話を元にした物語です。
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 映画ファンならユアン・マクレガーとナオミ・ワッツ共演と聞いただけで、迷わず「この映画観たい!」と思うでしょう。加えて監督が「永遠のこどもたち」(傑作!)のJ・A・バヨナだったので「きっと素晴らしい映画に違いない。」と私の本作への期待値は上がりました。でも映画はスマトラ島沖大地震に遭遇した家族の話であることを知り、すぐ日本での公開は難しいことを悟りました。3.11の震災があった後の日本です。いろいろな意味でのハードルを感じました。が、昨年の東京国際映画祭での上映が決まり、本作を観た私はこの映画をシネマイクスピアリでも上映したい、と強く思いました。

この映画を観終わった時、私は本当に席を立つことが出来ませんでした。映画を観て、体から魂がすっぽり抜ける経験をしたのは初めてのことです。物語の前半では津波描写があります。もう息も出来ずにただその状況をスクリーンのこちら側で見るしかない、それがスクリーンの中の作られた映像とわかっていても息が詰まる。この映画を見た日本人は3.11を思い出さない訳にはいかず、あの時の記憶が甦り、心が痛くなる。正直、映画を観ている途中もずっとこの映画を上映すべきか考えました。でもこの映画には圧倒的な力がありました。実話を描くからこそ、起きたことに目を背けない強い想いに惹きつけられました。
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(この映画を語る上で役者陣の演技力の素晴らしさは外せません。
ユアン&ナオミ・ワッツは言わずもがな、3人の息子たちの演技はその域を超えています。)

 ナオミ・ワッツ演じる主人公のモデル、マリア・ベロンさんが来日された時にこうおっしゃっていました。
「被害に遭った者、それで生き延びた者は何でこんな目に合うのか?なぜ私が生きているのか?と悩みます。そして辛いことはなかったことにしたいと願います。でも、人はただ忘れることは出来ないんです。それと一度正面から立ち向かわない限り、前に進めないんです。だからこそ、この映画を見てほしいのです」と。

 本作では家族の再会を決して諦めなかった彼らがもたらすある奇跡を描きますが、助かった人、助からなかった人の間に違いはなく、ただその事実があるだけです。ベネット一家が経験する、思いがけない人生のめぐり合わせは本当に奇跡なのですが、我々はそういった奇跡の中で常に生きていることに気付かされます。
観た人の心に必ず残る1本、 『インポッシブル』は6/14(金)よりシネマイクスピアリで公開中です。

By.M
(C)2012 Telecinco Cinema, S.A.U. and Apaches Entertainment, S.L.

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2015年9月

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