『横道世之介』

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 皆さんこんにちは、女住人Mです。去年の邦画を語る上で「桐島、部活やめるってよ」が映画ファンの心を離さなかった代表格だと思うのですが、今年はこの映画がそう言う存在になるんじゃないかと思うのです。
今回ご紹介するのは2/23(土)から公開の『横道世之介』です。
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 主人公はのどかな港町で生まれ育った横道世之介(よこみち よのすけ)。大学進学で東京に出て来てきた彼は入学式で声をかけてきた倉持(池松壮亮)につられてサンバサークルに入部したり、高級ホテルのポーターのバイトをしたりとバブル真っ只中の都会の地に圧倒されながらも毎日を慌ただしく過ごしています。ある日、大学で知り合った友人・加藤(綾野剛)からダブルデートに誘われ、社長令嬢の祥子(吉高由里子)と出会います。本作は1987年長崎から上京してきた世之介の1年間を追う物語であり、かつ彼と関わった人たちの16年後を描きます。

 私と“横道世之介”との出会いは原作本から。「面白いし、きっと気に入ると思いますよ」と薦められて手に取り、その言葉通りこの本が、いえ世之介が気に入りました。なので映画化のニュースを聞いた時は正直「私の脳内で作り上げた世之介がいればそれで良い・・」と思いました。が、世之介を演じるのがこの若さでカメレオン俳優ぶりを発揮する高良くんだし、「南極料理人」や「キツツキと雨」といった日常を常に愛嬌をもって、おかしく、しかも丁寧に描くことが得意な沖田修一さんが監督だし・・・と次第に「動く世之介が見たいかも・・・」と思いながら映画を見たのですが、もうこれが本当愛すべき1本だったのです!原作好きというハードルが上がった状態で挑んだにも関わらず大満足だったのです!まさに本で「横道世之介」の残りページがどんどん少なくなって、「早く読みたい、でも終わらないで・・」と思いながらも最後の1ページを閉じた時に感じたあの時の想いと映画との感覚は同じだったのです。

 世之介は取りたてて、凄く目立っているとか、凄く何かに際立っているとか、そういうタイプの人間ではないのです。友だちに誘われれば全く興味のないサンバサークルにも入るし、(そして意外と満喫しちゃうし)ダブルデートもする(そしてちゃっかり彼女も作っちゃう)、家にクーラーがないから、友だちの家に入り浸るような、誰の周りにも一人はいたようなそんなタイプの人間なんです。でも、なんでもないようなことが〜幸せだったと思う〜私たちは、そういうものにこそ、大切な記憶を宿しているんだと思うのです。

本であれ映画であれ、きっと誰しも世之介を愛してしまう、なんでこんなにこの男は魅力的なんだ!彼に出会って運命を凄く変えられる?そんな大仰な存在でもないんです。でも何かの拍子に想い出し、優しい気持ちになれる、それが世之介なのです。世之介に出会えただけで何だか幸せになれるんです。 私の愛してやまない“横道世之介”に皆さんにも是非会って貰いたい、是非ご紹介したい。
2/23(土)より映画館で世之介に会えますよ♪
By.M
©2013『横道世之介』製作委員会

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