『アウトレイジ ビヨンド』

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 スポーツの秋、芸術の秋、読書の秋、皆さんはどんな秋を満喫されますか?やっぱり秋と言えば食欲の秋、女住人Mです。
今回ご紹介する作品は海外にも熱烈なファンを持ち“世界のキタノ”と言う呼び方もすっかり定着している北野武監督の最新作、2010年に大ヒットした「アウトレイジ」の続編『アウトレイジ ビヨンド』です。
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(“世界のキタノ”だぜ、バカヤロ〜!)

 昔堅気のヤクザと今風なヤクザとの世代交代をベースに暴力の連鎖が描いた「アウトレイジ」の舞台から5年後。
関東一円を仕切る山王会の会長となった加藤(三浦友和)は若頭・石原(加瀬亮)と共に勢力を伸ばしています。政治の世界にも裏から手を出せる程のその存在に警察も業を煮やし、組織犯罪対策部a.k.a.マル暴の刑事片岡(小日向文世)は関東進出を目論む関西最大の暴力団・花菱会に目を付けます。表向きには友好関係を保っている両者を対立させ内部から壊滅を図ろうと画策していくのです。そんな時に片岡がさらに目を付けたのは獄中で死んだと噂をされていた大友(ビートたけし)。警察が仕掛ける巨大な陰謀は、関東VS関西の巨大な抗争へと発展していくのですが・・・。
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 北野監督は「アウトレイジ」を作っている時からどんどんイメージが膨らみ、続編の台本を頭に描いていたそうですが、続編を作ろうとしていた矢先に3.11の大地震が起きます。さすがに今、こういったテーマの映画を作っている場合ではないと、製作をストップ。
そんな中、世の中が自粛ムードに染まっていた震災後、北野監督の心を本作に向かわせるものがありました。それは“絆”“愛”をスローガンにかかげ連帯、団結することを謳い、でもその反面、肝心な事は全てその影に隠し、結局何も解決されない現状への苛立ちだったそうです。本作を見ると多くの日本人、いや世界の人が抱える心の闇を昇華するべく本作に向かった北野監督の思いがビシビシ伝わってくるのです。

 そして今回は関東ヤクザVS関西ヤクザの抗争も描かれ、それはもう凄い怒号の嵐でバカヤローです。前作以上に物語をきっちり伝えたかった北野監督は前作より台詞を、いや怒号をもれなく増量。しかも普段だと涙もろくて、満面の笑みがトレードマークの西田敏行さんが関西一の花菱会の若頭として登場ですし、前作から登場の三浦友和さんにしろ、加瀬亮さんにしろ、強面な世界とは真逆なイメージを持つ俳優陣が総出で怖〜いことをやってのけます。このキャスティングが「アウトレイジ」シリーズの魅力でもあります。
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(加瀬くんが〜!加瀬くんが〜!)

 この手の映画、好き嫌いはあるとは思いますが、現代人が抱える苛立ちを見事にスカっとさせるエンディングで着地させた所やフィクションだからこそ成立するバイオレンス表現でエンタテインメントとして一級品の作品を完成させた北野監督の手腕が光ります。
さすが“世界のキタノ”です。
怒号の嵐にちょっとビビリながらも、映画が終わるときっと続きが見たくなる、そんな『アウトレイジ ビヨンド』は10/6(土)より公開です。

By.M
(C)2012「アウトレイジ ビヨンド」製作委員会

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