『桐島、部活やめるってよ』

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 高校時代は帰宅部でした女住人Mです。
夏休みと言えば洋・邦問わず大作が目白押しで「どれを見ようかな〜」と迷いがちですが、今回ご紹介する作品はこの夏、見ておくべき映画のダークホース!?心からオススメします『桐島、部活やめるってよ』です。
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(本作は朝井リョウの同名小説の映画化!原作と比べて見るのも面白いよ)

 何だか変わったタイトルですが、成績優秀、バレー部のキャプテン、学校一人気者の桐島くんがまさに“部活やめるってよ”と言うニュースが伝令のようにかけめぐり、バレー部の部員や桐島と仲の良いグループの生徒たち、そして普段は桐島たちとは全く相容れない生徒たちまでもこのニュースによってソワソワ、ざわざわする11月25日金曜日を中心に物語は進行します。
 登場人物は帰宅部で桐島の友人グループや桐島とつきあっている女の子とその友だちと言った目立つ組や、そんな目立つ組とも仲良し風なバドミントン部の女子、優等生で周りからは一目置かれる吹奏楽部の女子、学校中でオタク扱いされている映画部男子とあらゆるタイプ&ジャンルの高校生たちが総出演。
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(“映画秘宝”を愛読する映画部の前田を神木くんが演じます。神木くんはNerdな役が本当お似合いだわ〜)

既に高校時代の記億が薄れている方が見ると、ほろ苦く、甘酸っぱいノスタルジーな思いを回顧すると共に、自分に似た誰かを登場人物の中に見つけては心を動かされ、まさに若者が見れば、閉塞感の中で生きている自分のリアルを見つけては心を動かされることに!
“桐島、部活をやめるってよ”と言うニュースで持ちきりな1日を何度も繰り返し、それぞれの立場からの視点で描くため、たくさんの登場人物各々の人物描写はとても深く、的確に伝わってくるんです。見ていくうちにドンドンこの物語に引き込まれていくんです。

 この映画で、グっと心を鷲掴みされるのは学生時代の<自分の世界はここしかない>感の描写。学生時代って今生きている日常や世界って本当にここだけしかない、ここがダメならもう他はない、としか思えないじゃないですか。
実は社会に出ればそれは1つの通過点でしかなくて、若い頃に良くても大人になってダメになってしまう人やその反対に学生時代にパッとしなくても社会人になってデビューしちゃう人とかざらにいますし、人生って一寸先は闇な事もありますし・・・
それを大人になればなんとな〜くわかっても、生きている世界が実際問題狭くてしょうがない学生時代なんかは、自分の世界は(大人からすればたかが)“桐島、部活をやめるってよ”程度でも全てが変わってしまうようなもので、そんな恐怖感や閉塞感で出来上がっているようなもんなんですよね。
ここだけでしか生きられない、生きていかなければならない、と思っていた若者たちが “桐島、部活やめるってよ”という事件をきっかけに、ここだけじゃないどこかの存在を知り始め、ちょっと変化の兆しが見えた時に、この映画が今の時代にピッタリフィットした人生賛歌のエールにも思えました!!

 泣けた!笑えた!と一括りの言葉ではなかなか伝え辛いタイプの映画ではありますが、本作は是非多くの方に見て頂きたい!
『桐島、部活やめるってよ』は8/11(土)からシネマイクスピアリにて上映します。
By.M

©2012「桐島」映画部 ©朝井リョウ/集英社

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