『ヘルタースケルター』

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 写真を撮るのが大好きな女住人Mです。
今回ご紹介するのは写真家であり映画監督の蜷川実花さん2本目の長編映画『ヘルタースケルター』です。
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 主人公は完璧なスタイル、美貌を持ち、日本中の若い女性から羨望の眼差しを一身に受けているトップスター・りりこ。そんな彼女の身体は全身整形によって作られたもの。その美しさで芸能界の頂点に立ってはいますが、度重なる美容整形の後遺症で心も身体も危うい状態になっています。そんな時に美しく若い後輩モデルこずえ(水原希子)が登場し、ますます精神の均衡が崩れていくりりこ・・・・と女性ならではの地獄絵図がセンセーショナルに展開する本作。
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(“美”とは?“若さ”とは?欲望渦巻くモデル世界の申し子のようなこずえと言う存在がまた恐ろしい。そして可愛い過ぎるぜっ・・・)

 印象に残るのはやっぱり沢尻さんの演技。“お騒がせ女優”と言うレッテルを貼られてはいますがまだ26歳。このまま埋もれていく訳にはいかない彼女の「スキャンダル?スクープ?なんぼのもんじゃ〜」と言う叫びが聞こえてきそうな入魂演技。しかも彼女が演じるりりこはマスコミから世間から「可愛い、綺麗」ともてはやされ、チヤホヤされ、一方スキャンダラスなネタが露呈すれば、一気に方向転換して叩かれる。まさに沢尻さんの歩んでいる人生そのもの。商品としてのりりこは消費されるだけであり、それは今の彼女と何ら変わらない。りりこは自分の風貌が衰えてしまうことに過剰なまでの恐怖心を抱き、子供がおもちゃに飽きるよう、世間も自分に飽き忘れられる日が来る、それに怯え続けている。沢尻さん自身、自分が“若さ”、“美しさ”の象徴としての商品で、それはあかの他人の一過性の好奇心と言う所でしか成り立っていないことをわかっている。
無神経で無責任な世間に対して吠えまくるりりこと沢尻さんが重ならない訳がない。自分がどう見られるかも全て計算づくでりりこを演じているとしか思えない彼女にただ天晴れとしか言いようがありません。

沢尻さんは本作の演技に陶酔し過ぎて困憊し、事前の上映会の舞台挨拶にも顔を出していません。それぐらい彼女の入魂な本作が話題性優先だっとしても、怖いもの見たさでも興味本位でも構いません、一見の価値ありです。
そして沢尻さんだけでなく、りりこにやられ放題のマネージャー羽田を演じた寺島しのぶさんの演技がまたさらにインパクト大で、本作に限らずこれまでも凄まじい役を数々こなしている彼女からすると「沢尻エリカ、まだまだね」とか思っていてほしいぐらいです。
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(一番の女優はやはり寺島しのぶなのであった)

 このウラブログで「意外と女性の友情はありだよ」と言い続けてきた私ですが、こういう映画に出会うと「やっぱり女、怖い〜」と思っちゃいます。
『ヘルタースケルター』は7/14(土)からの公開です。
By.M

(C)2012映画『ヘルタースケルター』製作委員会

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