インデペンデント系映画: 2016年7月アーカイブ

『シング・ストリート 未来へのうた』

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 皆さんこんにちは、UKロック&ポップスが大好きな女住人Mです。
今回ご紹介するのは個人的には本年度暫定ベスト!な作品7/9(土)公開の『シング・ストリート 未来へのうた』です。
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 舞台は1985年、不況下のダブリン。両親は不仲、父親は失業、そのため転校を余儀なくされ学校でイジメられている少年コナー(フェルディア・ウォルシュ・ピーロ)が主人公。彼が唯一ハッピーになれたのは音楽好きな兄ブレンダン(ジャック・レイナー)とブリティッシュ・ミュージックを聴いている時。嫌なことは音楽がいつも忘れさせてくれた、そんなコナーが女の子に一目ぼれ!彼女の心をつかむため「僕のバンドのPVに出ない?」と誘ったことからバンドを始めることになります。
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 本作は「ONCEダブリンの街角で」、「はじまりのうた」のジョン・カーニー監督の最新作であり、もともとバンドマンでベースを弾いていた監督の半自伝的物語でもあります。過去2作が大大大好物だった私はこの映画が日本公開されると知った時から、期待度という名の打ち上げ花火を夜空にバンバン打ちあげていたのですが観た後の感想はと言うと・・・映画を観た後すぐ続けてもう1杯(回)
おかわりがいけるぐらい、涙・涙、そして大好き、大好きーーー!と心の中で雄叫びの連呼です。
これまでも"音楽"で救われていく人々の名作を作り続けてきたジョン・カーニー監督がまたもや"愛され系映画"の傑作を作ってしまいました。
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何てったって、この映画の舞台が80年代。劇中コナーとブレンダン兄弟が夢中になる音楽はデュランデュラン、a-ha、ザ・キュアー、ザ・ジャムと40代オーバーの方にはたまらないラインナップ揃い。しかもちょうどミュージックPVが音楽業界を席巻し始めた時代、PVを流すTV番組を見てうんちくを言ったり、「かっちょい~」と心奪われる様はまさにあの頃の自分と重なります。女の子にモテたいからと急遽バンドを始めることにしたコナーが音楽の師匠・兄貴ブレンダンから影響を受けまくり、兄貴が薦めるバンドにハマっていく、おまけにそのバンドの格好を真似してPVを作ったり(これまた最高!)、兄貴からの請け負い情報を友達に語るシーンなんかもたまりません。もうあの頃の自分の感覚が戻ってくるようで、懐かし過ぎて吐きそうになるぐらい!笑
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(本作のパンフレットがまたとっても充実!全使用曲解説、オリジナル曲歌詞掲載、コラムなど豊富な上になんとデザインがレコード風ジャケット!こんあに愛情たっぷりなパンフレットもなかなかありません、ズバリ買いです!)

しかも劇中、音楽を通して友達になった仲間たち、特に作詞:コナー、作曲:エイモン(マーク・マッケンナ)で作るオリジナル曲がどれも名曲揃い!!(また、エイモンがいいヤツ!)ジョン・カーニー監督作品に登場する音楽のセンスの良さには本当毎回度肝を抜かれますし、毎度サントラが買い&ヘビロテ間違いなしなとこもポイントですね。
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(暇な時は大抵うさぎの面倒を見ているエイモン(右)。
親友コナーの頼みなら二つ返事でマルっと全てを受け止めてくれるいいヤツ!)

かといって、この映画が"音楽好き"にだけ向けられた映画ではないことが"愛され系映画"な所以。だって、コナーにとってのいたたまれない現実からの逃避はたまたま"音楽"だったけれど、誰だってそれに変わる何かを持っているハズですし、ここではないどこかへ夢を馳せる、それは誰しも一度、経験することですもんね。

 そして、注目すべきはブレンダンことお兄ちゃん。親の不仲、景気の悪化などなど長男が故にダイレクトにその煽りを受け大学を中退、結果引きこもり。でも自分と同じように好きなものに支えられて踏ん張る弟のために、コナーが自分の二の舞にならぬよう、自分と同じ後悔をしないように、時に厳しく、先人としての道をいつも切り拓いてくれるお兄ちゃん。彼のサイドストーリーもしっかり描かれるので余計に感情移入しちゃう。前回ご紹介した「ブルックリン」と併せて"長子の悲哀を描く映画"として、長男・長女の方も必見!
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(お兄ちゃんを演じるのは「ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出」の好演も記憶に新しいジャク・レイナー。)

 子供でも大人でも現実世界を生きることはいつだって辛い、でもそんな人生だって決して捨てたもんじゃない。だって人生は"HAPPY SAD"!そんな想いを全編に渡って、キャッチーな音楽、ピュアな想い、ちょっぴりビターな出来事で綴る本作。この夏、いえ今年一番のオススメ映画と私が断言しましょう!2016年、この映画に出会えただけで私は幸せだった、と年末言える自信があります。
あ~、またおかわしたくなってきた~!!!

By.M
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『ブルックリン』

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 皆さん、こんにちは。ど田舎育ちで小3ぐらいから「都会で働きたい!」と思っていた女住人Mです。
今回紹介する作品は7/1公開『ブルックリン』です。
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 舞台は1950年代、主人公は故郷アイルランドを離れ、夢と仕事を求め、単身ニューヨーク・ブルックリンに移り住んだ少女エイリシュ(シアーシャ・ローナン)。高級デパートで働き始めるも、新しい生活に馴染めず、故郷に住む姉からの手紙を読んではホームシックに。そんな少女が次第と一人の自立した女性へと成長する一瞬、一瞬を丁寧に描いたのが本作です。
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 "アメリカにやってきたアイルランド移民少女の物語"と聞くと我々のような日本人からするとどこか遠くの話に思えるかもしれませんが、田舎育ちの少女が一人、知らぬ地での生活に戸惑いながらも、誰かと出会い、新しい経験を重ね、環境に次第と順応することで成長していく、となれば大学で、仕事でと田舎を離れ新天地で生活をした経験がある人なら共感せざるを得ないのがこの物語。かく言う私も都会という地に並々ならぬ期待をして地方からやってきた上京組。地方出身者なら自分を重ねてしまう度100%なお話なのです。
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先ずエイリシュは都会に出たい!と思う1つの理由に今のこの場所が嫌い、と言うのがあります。アイルランドでは小さな食品店で働いていましたが、そこの店主がまたとんでもないおばさんで、お金持ちの人には優先的に、そうでない人へは露骨な態度で嫌味な接客をします。世界はこんなに広いと言うのに、ここが全てと言わんばかりに、狭量な自分のものさしを振りかざすのです。こういう人はどんな所にもいるとは思いますが、やはり田舎には特にあるあるな人なんです。
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おまけに田舎だと誰がどこの大学に行っただの、就職しただの、結婚しただの、そういった情報が筒抜け、はたまた「○○ちゃんはこうするのよね」と閉ざされた共同体の中での常識をあたかも強要されるかのように、先のことを周りが固めていく雰囲気を作ってしまう、など。田舎には未だにそういう自分の意志とは反して外野がガヤガヤとあることないこと作り上げる雰囲気ってあると思うんです。

この映画を観ているとこういう"田舎あるある"のオンパレードで、大人になればそんな田舎のあるあるとも随分、折り合いをつけられるようになったとは言え、若い頃はそういうのは本当に嫌だった私なんかはエイリシュにとても共感してしまうのです。
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 そんな田舎からやっと解放されたとしても、都会ですんなりいく訳ではありません。都会には田舎よりもやっぱり洗練された人ばかりで自分が凄く恥ずかしい人間に思えるし、いろんな人がいる分、いろんなルールがある。狭い世界にいた時には想像もしなかったことが日々のプレッシャーにもなるし、ましてや単身で知らぬ地に飛び込んだなら、普通に生活するだけでも心は消耗していきます。そんな時に家から手紙が届いた日にゃ、田舎から出たくてここに来たのに、ホームシック!ここにもいられない、田舎に戻っても息苦しさは変わらない・・・これは相当参ります。
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(新しい地でエイリシュの心をほどいていくのはイタリア系移民のトニー(エモリー・コーエン)。また彼の可愛げといったら・・・)

でもこういう局面で支えとなってくれるのはいつの時代もやっぱり新しい友や新しい恋なんですよね。そういった出会いの数々で自分の居場所を見付けていくエイリシュ。そんな矢先、彼女にある悲劇が訪れ、物語の後半はブルックリンでの生活と故郷アイルランドの生活、どちらで生きるべきか、という選択に迫られることとなるのですが・・・・
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(後半登場する地元に住む紳士的なジムを演じるのはドーナル・グリーソン。トニーと正反対すぎて、こりゃ迷う!)

 朝ドラの主人公のような半生を描くエイリシュの物語。田舎に故郷を持つ方、今まさに地方にいる方、地元を離れようとする子供を持つ親御さん、そんな方々に是非観て頂きたい1本。エイリシュの洗練されていく過程が見て取れるそのファッションも見どころです♪
「エイリシュ、私はあなたの気持がよくわかるよ~!!」

By.M
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