『シング・ストリート 未来へのうた』

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 皆さんこんにちは、UKロック&ポップスが大好きな女住人Mです。
今回ご紹介するのは個人的には本年度暫定ベスト!な作品7/9(土)公開の『シング・ストリート 未来へのうた』です。
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 舞台は1985年、不況下のダブリン。両親は不仲、父親は失業、そのため転校を余儀なくされ学校でイジメられている少年コナー(フェルディア・ウォルシュ・ピーロ)が主人公。彼が唯一ハッピーになれたのは音楽好きな兄ブレンダン(ジャック・レイナー)とブリティッシュ・ミュージックを聴いている時。嫌なことは音楽がいつも忘れさせてくれた、そんなコナーが女の子に一目ぼれ!彼女の心をつかむため「僕のバンドのPVに出ない?」と誘ったことからバンドを始めることになります。
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 本作は「ONCEダブリンの街角で」、「はじまりのうた」のジョン・カーニー監督の最新作であり、もともとバンドマンでベースを弾いていた監督の半自伝的物語でもあります。過去2作が大大大好物だった私はこの映画が日本公開されると知った時から、期待度という名の打ち上げ花火を夜空にバンバン打ちあげていたのですが観た後の感想はと言うと・・・映画を観た後すぐ続けてもう1杯(回)
おかわりがいけるぐらい、涙・涙、そして大好き、大好きーーー!と心の中で雄叫びの連呼です。
これまでも"音楽"で救われていく人々の名作を作り続けてきたジョン・カーニー監督がまたもや"愛され系映画"の傑作を作ってしまいました。
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何てったって、この映画の舞台が80年代。劇中コナーとブレンダン兄弟が夢中になる音楽はデュランデュラン、a-ha、ザ・キュアー、ザ・ジャムと40代オーバーの方にはたまらないラインナップ揃い。しかもちょうどミュージックPVが音楽業界を席巻し始めた時代、PVを流すTV番組を見てうんちくを言ったり、「かっちょい~」と心奪われる様はまさにあの頃の自分と重なります。女の子にモテたいからと急遽バンドを始めることにしたコナーが音楽の師匠・兄貴ブレンダンから影響を受けまくり、兄貴が薦めるバンドにハマっていく、おまけにそのバンドの格好を真似してPVを作ったり(これまた最高!)、兄貴からの請け負い情報を友達に語るシーンなんかもたまりません。もうあの頃の自分の感覚が戻ってくるようで、懐かし過ぎて吐きそうになるぐらい!笑
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(本作のパンフレットがまたとっても充実!全使用曲解説、オリジナル曲歌詞掲載、コラムなど豊富な上になんとデザインがレコード風ジャケット!こんあに愛情たっぷりなパンフレットもなかなかありません、ズバリ買いです!)

しかも劇中、音楽を通して友達になった仲間たち、特に作詞:コナー、作曲:エイモン(マーク・マッケンナ)で作るオリジナル曲がどれも名曲揃い!!(また、エイモンがいいヤツ!)ジョン・カーニー監督作品に登場する音楽のセンスの良さには本当毎回度肝を抜かれますし、毎度サントラが買い&ヘビロテ間違いなしなとこもポイントですね。
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(暇な時は大抵うさぎの面倒を見ているエイモン(右)。
親友コナーの頼みなら二つ返事でマルっと全てを受け止めてくれるいいヤツ!)

かといって、この映画が"音楽好き"にだけ向けられた映画ではないことが"愛され系映画"な所以。だって、コナーにとってのいたたまれない現実からの逃避はたまたま"音楽"だったけれど、誰だってそれに変わる何かを持っているハズですし、ここではないどこかへ夢を馳せる、それは誰しも一度、経験することですもんね。

 そして、注目すべきはブレンダンことお兄ちゃん。親の不仲、景気の悪化などなど長男が故にダイレクトにその煽りを受け大学を中退、結果引きこもり。でも自分と同じように好きなものに支えられて踏ん張る弟のために、コナーが自分の二の舞にならぬよう、自分と同じ後悔をしないように、時に厳しく、先人としての道をいつも切り拓いてくれるお兄ちゃん。彼のサイドストーリーもしっかり描かれるので余計に感情移入しちゃう。前回ご紹介した「ブルックリン」と併せて"長子の悲哀を描く映画"として、長男・長女の方も必見!
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(お兄ちゃんを演じるのは「ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出」の好演も記憶に新しいジャク・レイナー。)

 子供でも大人でも現実世界を生きることはいつだって辛い、でもそんな人生だって決して捨てたもんじゃない。だって人生は"HAPPY SAD"!そんな想いを全編に渡って、キャッチーな音楽、ピュアな想い、ちょっぴりビターな出来事で綴る本作。この夏、いえ今年一番のオススメ映画と私が断言しましょう!2016年、この映画に出会えただけで私は幸せだった、と年末言える自信があります。
あ~、またおかわしたくなってきた~!!!

By.M
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