『ブルックリン』

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 皆さん、こんにちは。ど田舎育ちで小3ぐらいから「都会で働きたい!」と思っていた女住人Mです。
今回紹介する作品は7/1公開『ブルックリン』です。
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 舞台は1950年代、主人公は故郷アイルランドを離れ、夢と仕事を求め、単身ニューヨーク・ブルックリンに移り住んだ少女エイリシュ(シアーシャ・ローナン)。高級デパートで働き始めるも、新しい生活に馴染めず、故郷に住む姉からの手紙を読んではホームシックに。そんな少女が次第と一人の自立した女性へと成長する一瞬、一瞬を丁寧に描いたのが本作です。
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 "アメリカにやってきたアイルランド移民少女の物語"と聞くと我々のような日本人からするとどこか遠くの話に思えるかもしれませんが、田舎育ちの少女が一人、知らぬ地での生活に戸惑いながらも、誰かと出会い、新しい経験を重ね、環境に次第と順応することで成長していく、となれば大学で、仕事でと田舎を離れ新天地で生活をした経験がある人なら共感せざるを得ないのがこの物語。かく言う私も都会という地に並々ならぬ期待をして地方からやってきた上京組。地方出身者なら自分を重ねてしまう度100%なお話なのです。
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先ずエイリシュは都会に出たい!と思う1つの理由に今のこの場所が嫌い、と言うのがあります。アイルランドでは小さな食品店で働いていましたが、そこの店主がまたとんでもないおばさんで、お金持ちの人には優先的に、そうでない人へは露骨な態度で嫌味な接客をします。世界はこんなに広いと言うのに、ここが全てと言わんばかりに、狭量な自分のものさしを振りかざすのです。こういう人はどんな所にもいるとは思いますが、やはり田舎には特にあるあるな人なんです。
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おまけに田舎だと誰がどこの大学に行っただの、就職しただの、結婚しただの、そういった情報が筒抜け、はたまた「○○ちゃんはこうするのよね」と閉ざされた共同体の中での常識をあたかも強要されるかのように、先のことを周りが固めていく雰囲気を作ってしまう、など。田舎には未だにそういう自分の意志とは反して外野がガヤガヤとあることないこと作り上げる雰囲気ってあると思うんです。

この映画を観ているとこういう"田舎あるある"のオンパレードで、大人になればそんな田舎のあるあるとも随分、折り合いをつけられるようになったとは言え、若い頃はそういうのは本当に嫌だった私なんかはエイリシュにとても共感してしまうのです。
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 そんな田舎からやっと解放されたとしても、都会ですんなりいく訳ではありません。都会には田舎よりもやっぱり洗練された人ばかりで自分が凄く恥ずかしい人間に思えるし、いろんな人がいる分、いろんなルールがある。狭い世界にいた時には想像もしなかったことが日々のプレッシャーにもなるし、ましてや単身で知らぬ地に飛び込んだなら、普通に生活するだけでも心は消耗していきます。そんな時に家から手紙が届いた日にゃ、田舎から出たくてここに来たのに、ホームシック!ここにもいられない、田舎に戻っても息苦しさは変わらない・・・これは相当参ります。
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(新しい地でエイリシュの心をほどいていくのはイタリア系移民のトニー(エモリー・コーエン)。また彼の可愛げといったら・・・)

でもこういう局面で支えとなってくれるのはいつの時代もやっぱり新しい友や新しい恋なんですよね。そういった出会いの数々で自分の居場所を見付けていくエイリシュ。そんな矢先、彼女にある悲劇が訪れ、物語の後半はブルックリンでの生活と故郷アイルランドの生活、どちらで生きるべきか、という選択に迫られることとなるのですが・・・・
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(後半登場する地元に住む紳士的なジムを演じるのはドーナル・グリーソン。トニーと正反対すぎて、こりゃ迷う!)

 朝ドラの主人公のような半生を描くエイリシュの物語。田舎に故郷を持つ方、今まさに地方にいる方、地元を離れようとする子供を持つ親御さん、そんな方々に是非観て頂きたい1本。エイリシュの洗練されていく過程が見て取れるそのファッションも見どころです♪
「エイリシュ、私はあなたの気持がよくわかるよ~!!」

By.M
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