『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出』

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 皆さんこんにちは、中学の頃からずっとイギリスに行きたいと思っているのに未だその地に足を踏み入れていない女住人Mです。
今回ご紹介する作品は若き日のエリザベス女王が生涯たった一度非公式に外出した一夜を描く6/4(土)公開『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出』です。
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 物語は1945年5月8日、ヨーロッパ戦勝記念日の夜。今年生誕90周年を迎え、イギリス史上最高齢・最長在位の君主エリザベス女王がまだ19才だった頃、(「英国王のスピーチ」でお馴染み)国王ジョージ6世(演じるは元祖英国男子・ルパート・エヴェレット)の許しを得て、国民と共に終戦を祝うために妹のマーガレット王女と共に街に繰り出します。

 もうこのあらすじを聞いただけで何だかウキウキしちゃいます。何せやっと戦争が終わったんです。イギリス中が祝賀ムードに溢れ、歓喜の渦。そんな街にエリザベスはマーガレットと共にお出かけです。付き添いの近衛兵が2人監視に付くも、記念すべき夜を妹と共に国民と祝える。それは束の間許された自由な時間です。国民がどんな気持ちでいるのか、どんな生活をしているのか、そして年頃の女の子でもある二人はちょっとした出会いもあるんじゃないか、と天にも昇る気持ちだったと思います。
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(エリザベス(右)を演じるのはサラ・ガドン、マーガレット(左)を演じるのはクルクル眼が愛らしいベル・パウリー)

一方、世間知らずの二人に外出を国王が許可する下りも描かれますが、既に次期女王になることが規定の事実だったエリザベスのために、最初で最後の自由なひと時をプレゼントする。国王とて娘を前にすると一人の父親であることが描かれるシーンにも胸がいっぱいです。でも親の心配をよそに二人は深夜1時までの門限を無視して夜通しの冒険を繰り広げることとなるのです。

 本作は実話に着想を得て作られた物語。実際は16人のお付きを従えての外出で、門限を守っての帰宅だったそうで、この映画ほど羽目を外すことはなかったようです。でも束縛された日々を送っていたエリザベスにとって"お忍びでお出かけをした"この出来事はその後の行動に大きな影響を与えることとなったハズです。

だって、ロンドンオリンピックでもダニエル・クレイグ扮するジェームズ・ボンドとの寸劇を繰り広げ、ヘリコプターからダイブしたり(もちろんダイブしたのはご本人ではありませんが・・・)、映画にドラマにとサービス精神旺盛なままにエリザベス女王というキャラクターが登場しますが、この映画を観るとこの一夜があったから、国民が王室に何を求めているか、とか国民といつも近くに・・・といった思いが若い時分に植え付けられたんじゃないか、なんて深読みしたくなるんです。たった一夜のめくるめく時間がエリザベス女王に与えたものは生涯忘れることが出来ないものだったんだろうな、と。
映画にはたった一日、たった一時期の出来事が決定的にその人の何かを変えた瞬間を描く名作がたくさんありますが、この映画もまさにそんな様がとても清々しく描かれています。
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 そしてエリザベスは出かける前から仄かに期待していた、男性との"出会い"を経験します。でも将来が約束された彼女にとってそれは淡い想い出にしかなりえないところが切なくなる一方、妹のマーガレットはそんな重圧がないため好き勝手にこの夜を謳歌する、その対象的な過ごし方がまた心に残ります。エリザベスとは違ってのびのび育てられたと思しきマーガレットがその天真爛漫さをこの一夜で発揮しまくり、「もう楽しくてしょうがない!」感が溢れていて彼女を見ているだけで朗らかな気持ちにもなれるのでした。そしてマーガレットはこの後、一般人男性とのゴシップで賑わせ、それが後の名作「ローマの休日」の元ネタになったのでは?との憶測も・・・。
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(エリザベスと出会うジャックを演じるはクリス・プラット似のジャック・レイナー。いい演技してる!)

ときめきが溢れる本作はいろいろな方に観て頂きたいのですが、正直なところエリザベス女王に一番観てほしい!あの頃を想い出し、きっと笑ったり、泣いたりして楽しんでくれるんじゃないかな、そう思えるのでした。

By.M
(C)GNO Productions Limited

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