話題の新作映画: 2015年4月アーカイブ

『シンデレラ』

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 もうすぐGWが始まりますね。GWもやっぱり映画館と家の往復になりそうな女住人Mです。
さて今回は多くの皆さんが楽しみにされていること間違いないこの作品、4/25(土)公開『シンデレラ』をご紹介します。
今回は4/8(土)に開催されたジャパンプレミア スペシャル舞踏会&レッドカーペットを取材した際の写真も交ぜながらお届けいたします!
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(世界的な写真家アニー・リーボヴィッツが手掛けたポスタービジュアルも素敵!)

 言わずもがな時を越えて愛され続けてきた珠玉のラブストーリーである『シンデレラ』をディズニー・スタジオが総力を結集し実写化したのが本作。誰もが知っている『シンデレラ』のロマンティックなイメージはそのままに、シンデレラの勇気と優しさから生まれる奇跡の愛が描かれます。

監督は俳優としても有名なイギリス出身のケネス・ブラナー。舞台俳優として高く評価される一方、数々のシェイクスピア劇の演出も手掛けその後、映画界にも進出。コスプレ劇の演出に定評があるケネス・ブラナーがメガホンを取ったのでもう観る前から安心感ありありです。かぼちゃの馬車、ビビデバブデブ~♪の変身シーン、素敵なドレスに王子様との舞踏会、午前零時の鐘とガラスの靴などなど"シンデレラ"を愛する皆さま、そしてハッピーなラブストーリーをこよなく愛する皆さまには「これが観たかった『シンデレラ』!」と思って頂ける1本になっていると自信をもってオススメ出来ます。
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(シンデレラを演じたリリー・ジェイムズさん(左)とケネス・ブラナー監督(右)。
ケネス監督は俳優でもあるのでかなりのイケオヤジですね。)

特に何と言っても、王子様との舞踏会でのダンスシーン。森で出会ったエラ(掃除をしていてススだらけになったエラを見て姉が"灰だらけのエラ"="シンデレラ"と名付けます)に一目ぼれした王子は素性もわからない彼女と再会するために国中の独身女性全てをお城での舞踏会に招待します。城は「王子様に見染められるチャンス!」とばかりに美しくカラフルなドレスで着飾った女性たちに溢れ、舞踏会が開かれる大広間はシャンデリアが眩しい豪華絢爛な空間(CGではなくセットで撮影されています!)。そこに登場するのが女性なら誰もが一度はあこがれるようなブルーのドレスをまとったシンデレラ。きらびやかな空間に、たった一人シンデレラが登場しただけでそこにいる者全てが息をのみ、王子様が「そう、この人だ」と思う。その一連の流れが説得力をもって描かれます。
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(ピンク色のナイトドレスがとても素敵なリリー。
この日は4月とは思えない気温3℃の極寒の夜でしたが始終笑顔を絶やさないリリーはまさにシンデレラ♪)

そしてシンデレラと王子様の夢のダンスシーンはディズニーファンが愛して止まない「美女と野獣」のダンスシーンを思い起こさせる程の素敵シーンになっています。もう溜息もの!その後、皆さまのご存知の通り、フェアリー・ゴッドマザーの魔法は零時を過ぎるととけてしまうので、シンデレラは急いで家路に着くことになるのですが・・・・その後の展開は是非スクリーンでお楽しみ下さい。
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(本作の日本語版声優を担当する高畑充希さん(シンデレラ役)と城田優さん(王子役)も揃ってプレミアに参加。
お二人とも若手ミュージカル俳優としてもその才能が認められているだけあって、日本語版声優としてもピッタリ!!)

と、本作はいい意味で王道"シンデレラ"、まんま"シンデレラ"です。皆さんが観たい"シンデレラ"と出会うことが出来るのですが、それだけじゃつまらないわ~、という方もいるかもしれません。でもそんな方もご安心を。それはシンデレラに劣らず、いや勝っているといっても過言でない継母の存在です。演じるは「ブルージャスミン」でギリギリ妙齢女性を演じてオスカー主演女優に輝いたケイト・ブランシェット。ケイト版継母は意地悪な完璧な継母でありながらシンデレラに対抗するにふさわしい美貌を兼ね備えています。彼女の初登場シーンはシンデレラのそれより力入りまくり、シンデレラの舞踏会シーンとはまた違った意味で溜息が出る程に美しい・・・彼女の冷酷さ、気高さ、冷たいまでの美しさが表現されています。
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でもそんな彼女は前の夫を亡くし、女一人で生きることが難しかったこの時代、二人の娘を育て上げなければなりませんでした。そのために資産のあるエラの父親と結婚するのですが、彼の愛は亡くなった前妻の記憶とエラに注がれています。お金目当てでの結婚だったかもしれませんが、継母も一人の女性、愛されたいという思いがエラへの嫉妬へと変貌していったようにも思えます。二人の娘には過剰な愛情を注いでいた継母なので、本当は愛情深い人だったのかもしれません。愛し方、愛され方を知らない継母はそれ故にエラへ素直な愛情を向けることが出来なかったのでは・・・・。そんな愛情表現下手な母の元で育った姉妹2人だったから、彼女らもエラをイジメることしか出来なかった??
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(海外ドラマ「ダウントン・アビー」ファンの皆様にはお馴染のメイドのデイジーことソフィー・マクシェラちゃん(左)が姉のドリゼラを演じています。リリーも「ダウントン・アビー」組なんですよね。)

ケイト・ブランシェット演じる継母があまりにも素晴らしかったので私は幸せを一つ一つ自分のものにするシンデレラよりも、強欲で冷酷で、でもどこか寂しさが漂うケイト版継母により心奪われてしまいました。
さすがオスカー女優やでぇ~。
 王道にしてこれまでより深みも加わりさらにパワーアップした『シンデレラ』、是非スクリーンでお楽しみください。
同時上映短編アニメーションは『アナと雪の女王/エルサのサプライズ』ですからね~★
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(「ミテネ!」 by.リリーさん。)

<おまけ>
ジャパン・プレミアで開かれたスペシャル舞踏会。
ステージ上で踊るダンサーさんのドレスが一瞬に変わる、そんな魔法も!
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(同じ色を着ていたダンサーさんのドレスが・・・)
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(カラフルなドレスに早変わり!)
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(いつもお世話になっているLiLiCoさんを巨大スクリーン越しに発見!)

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By.M

 春の嵐でしょうか?変な天気が続きますね、女住人Mです。今回は本年度アカデミー賞作品賞ほか最多4部門を受賞し、映画ファンが日本公開はまだか、まだかと待ちうけていた作品『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』をご紹介いたします。
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主人公はヒーロー映画「バードマン」で人気を博したかつてのスター、リーガン(マイケル・キートン)。結婚に失敗し、娘のサム(エマ・ストーン)はドラッグに溺れ私生活もボロボロ。過去の人となりさがった今、その状況から抜け出すために自身の主演・演出・脚本で初めてブロードウェイの舞台に立とうとしています。ところがプレビュー公演の前日に共演者が降板。共演者の一人レズリー(ナオミ・ワッツ)が人気・実力もあるけれど人としては問題児なマイク(エドワード・ノートン)を代役にと話を持ってくるのですが・・・
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 この映画は特に3つのポイントについて語られることが多いでしょう。先ずは現実とフィクションが入り混じったキャスティング。本作の主演リーガンはヒーロー映画で一躍人気俳優となったもの、今は一時期の人気に影が差す役者という設定。演ずるは自身も過去「バットマン」を演じ、リーガンと同じようなキャリアを進んでいるかのようなマイケル・キートン。本作でも「俺のキャリアの頂点は1992年だったんだ」というようなセリフがあり、それはキートンにおいては「バットマン リターンズ」が公開された時になります。それ以外にもナオミ・ワッツは長い下積みを経験し、やっと念願のブロードウェイの表舞台に立つことに全てを賭けているレズリーを演じますが、彼女自身デビッド・リンチ監督の「マルホランド・ドライブ」で脚光を浴びるまで時間がかかり、その時32歳、遅咲き女優と言われたものです。
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(リーガンのマネージャーを演じるはザック・ガリフィナーキス(右)。
「ハングオーバー」シリーズのあの迷惑な彼です・笑。いつもの役のイメージとは異なる、知的で腹黒い男を演じましたがすぐに彼だと気付いた方は少なかったのでは?)

 癖のある人気俳優マイクを演じるエドワード・ノートンも映画と舞台両方で活躍する役者で、ハルクを演じていたことも。主演・脚本・演出も手掛けたのにギャラ交渉でスタジオと決裂し降板したという過去も。そんな所もマイクの設定とも被る?!思えば、娘役のサムを演じるエマ・ストーンも「アメイジング スパイダーマン」でスパイダーマンの彼女グゥエンを演じながらもシリーズはまたもやリブートされる予定。キートン、ノートン、エマ・ストーンといい感じで韻が踏める3人は実際のキャリアにおいてもヒーロー映画に振り回されている、そんなところにキャスティングの妙が伺えます。
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(先週ご紹介した「マジック・イン・ムーンライト」に続き、コメディエンヌとして抜群にセンスがあるエマ・ストーン。
本作ではちょっと影のある女の子の役ですが、そんな役もきゃわいい!)

 そして語られるべき2つ目はまるで全編ワンカットで撮影したかに思える撮影と編集。「ゼロ・グラビティ」における13分間の長回しで冒頭から瞬時に我らを宇宙に誘った撮影監督エマニュエル・ルベツキのテクが今回も光ります。初めて観た時はそのあまりの画力にストーリーよりも「もうどうやって撮っているんだ!」と気になりまくりでしたが、この映像でドン詰まっていくリーガンの心情がまるでこちらにも迫ってくるような感覚になっていきます。

 そしてドンドン追いこまれるリーガンの内面をもう一つ表現する、3つ目の語られるべき要素がドラマー、アントニオ・サンチェスのドラム・スコア。映画の中では一部、クラッシク音楽が使われるものほぼ全編をサンチェスのドラムがリーガンの心情に合わせてリズムを刻みます。私にとっては本作を観た時に一番印象に残ったのがこのサンチェスのドラムによるリズム、ビートでした。ジャズの素養は全くない私ですが、ジャズにおけるスウィングを感じるってこういうことなのか?と。

 と、この3つのポイントはきっと雑誌や新聞、ネットの映評をご覧になったら誰もが指摘していることだと思います。この3つが合わさり何とも言葉で表現出来ない高揚感を本作で経験出来ます。映画を見まくっている私ですが「今まで全く感じたことがないドキドキ体験をまだこんな風にさせてくれるのか!」と嬉しくなったのが本作です。実はこの映画の良さがどうだ、こうだとうまく語れる言葉を私は持っていません。とにかくこの映画を観ている間ずっとドキドキしていたことだけは覚えています。この手の映画は観た人がそれぞれに感じて貰うに限ります。
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 本作でオスカー前哨戦の主演男優賞を総なめし、アカデミー賞でも受賞が確実視されていたマイケル・キートン。しかしご存知の通り主演男優賞は「博士と彼女のセオリー」の演技でエディ・レッドメインが受賞。エディの名前が呼ばれた時に、キートンはスピーチが書かれていたと思われる小さなメモを静かにポケットに仕舞っていたと言われています。どこまでが虚構で現実なのか。このエピソード込みでこの映画が成立しているようにも思えます。
全てを手に入れ全てを手放した男はもう一度羽ばたくことは出来るのか?
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』は4/10(金)よりシネマイクスピアリにて公開中です。

By.M
© 2014 Twentieth Century Fox

『マジック・イン・ムーンライト』

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 花見の季節も終わり、早くポカポカした日が多くなってくれると良いですね。こんにちは、女住人Mです。今回は過ごしやすくなるこれからの季節に軽やかな気持ちで楽しめる1本、ウディ・アレン監督最新作4/11(土)公開『マジック・イン・ムーンライト』をご紹介します。
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 ウディ・アレン監督作と言えば前作はケイト・ブランシェット主演の「ブルージャスミン」。虚栄心に囚われ現実逃避する女性を描き、ケイトはアカデミー賞ほかこの年の主演女優賞を総なめにしました。あのギリギリGirlならぬ、ギリギリ悲痛妙齢女子を描いた作品の翌年に作られたのが軽やかでロマンティックな本作。1920年代の南仏を舞台に理論家で皮肉屋の天才マジシャン・スタンリーと明るく魅力的な女性占い師ソフィという相反する二人の恋のかけひきを描きます。
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 ウディ映画の中にはウディ・アレンの分身とも言える皮肉屋で理屈っぽい人間がよく登場しますが、今回はコリン・ファース(「英国王のスピーチ」ほか)演じるスタンリーがまさにその役回り。自身はマジシャンで夢を売る商売をしながらも、日常では一切イリュージョン的なものを信じない彼はスピリチュアル・パワーでもって霊視をする占い師ソフィ(エマ・ストーン)の正体を暴いてやろうと意気揚々。この論理的人間VS感覚的な人間という図式は我々の人間関係の中でもよく登場しますよね。相反する価値観を持つ者同士、特にこれが男女間となるとややこしくなりがちですが、良い方向に作用すると「自分の知らないこんな見方や世界があった!」という喜びになることがあるのは不思議ですね。

そして、全てのことにトリックはあるんだと疑ってかかるような男が、ソフィのパワーにすっかり翻弄され、説明不可能なことを信じ出し、それと同時にどんどんソフィに惹かれていく感じの滑稽さといったら。だって、あんなに皮肉屋でリアリストだった彼がソフィに心奪われていくとどんどんほわほわした男になっていくんです。日常で現実に起きることは理論立てて説明がつくものなのかもしれないけれど、恋の始まりは決してそうじゃない。「なんでこの人にこんなにも心惹かれる?」という気付きは本当に説明が出来ずに不可解ですね。
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 またスタンリーみたいに非科学的なものを否定していても、恋をするとあたかもそれを信じる人のように、相手を受け入れてしまう。この一種の皮肉めいた感じがウディ・アレンらしさでもあります。そして、恋の前では全くもって別の人格になっちゃうスタンリーは本当に可愛い。しかももともと理屈っぽい男だから、自分の気持ちに気付いてもソフィに素直な感じでないところもまた可愛い。それをコリン・ファースがやるからなお可愛い。相手役にコメディエンヌとしての才能に溢れるエマ・ストーンを持ってきているからさらにそれが引き立ちます。白い透き通る肌、大きなお目目、ちょっとハスキーな声、どれをとってもエマも可愛い!  mimsub2.jpg
(1920代を舞台にしている本作、エマの衣装も見どころです)

この映画を観ていると、我らが生きている日常は退屈で味気なく本質的には悲劇ではあるけれど、恋をすることで説明も出来ない感覚に人は陥り、喜劇が訪れる。恋の訪れこそが生きる上でのイリュージョン!!と今年79歳!のウディが我らに語りかけているような気さえします。

 実生活では恋愛絡みでいろいろいろいろあったウディがこの年になってなおそれを踏まえ、こんなロマンティックでマジカルな映画を作ってくれたということは、やっぱり恋をするということは楽しいことなんですね。春になったことですし皆さん、恋でもしてみますか!
なんつって。

By.M
Photo: Jack English © 2014 Gravier Productions, Inc.

『ジヌよさらば~かむろば村へ~』

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 皆さんこんにちは、女住人Mです。ここのところ、英国関連映画のご紹介続きましたので、今週は邦画をご紹介します。
"お金恐怖症"の男がジヌ=銭(ぜに)と決別して生きる姿を描くコメディ作品4/4(土)公開の『ジヌよさらば~かむろば村へ~』です。
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('ジヌ'とは東北地方の方言で'銭'、'お金'のことを指します)

 主人公の高見武晴=通称タケ(松田龍平)は銀行マンとして働いていた時のトラウマで現金に触るだけで失神してしまう"お金恐怖症"。 「1円もお金を使わない!」と心に決め田舎の小さな村"かむろば村"にやってきましたが、そんなに人生甘くなく、何度か生命の危機にさらされながらも村長の与三郎(阿部サダヲ)や与三郎の妻・亜希子(松たかこ)に助けて貰ってなんとか生活し始めます。タケの無知と無鉄砲さに呆れていた村の人々も次第とタケを受け入れていき、村での平和な生活が続きそうに思えたある日、不気味な男(松尾スズキ)の出現と迫りくる村長選挙を機にかむろば村に不穏な空気が漂い始めます。

 本作の監督・脚本は(劇団)大人計画主宰の松尾スズキさん。それもあって今回は大人計画の看板俳優・阿部サダヲさんがメインキャストの一人村長の与三郎を、その妻・亜希子を「夢売るふたり」以来の夫婦役、「アナ雪」の吹替でもお馴染の松たか子さんが演じます。
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 主演のタケを演じるは松尾スズキ監督作品「恋の門」から10年ぶりにタッグを組む松田龍平さん。松田さんは飄々とした佇まいの中にジワジワ面白みが滲み出ているタイプの方なので本作でもオドオドとした感じと真剣なのに、素っ頓狂なキャラがもうかなりいい塩梅です。もうこのメイン3人が揃っただけでガッツリです!という感じですが、加えて与三郎の経営するスーパーあまので働くパートさんに片桐はいりさんや、"かむろば村"の住人に荒川良々さんほかTVドラマや映画、お芝居といろんな所で活躍中のひと癖もふた癖もある大人計画所属俳優が揃い組!さらに過疎化が進んだ村の貴重な若者・青葉に二階堂ふみさん、そして村の"神様"に西田敏行さんと、もう脇まで固められまくった芸達者衆がこの小さな村に集まっていると思うだけでなんだか笑っちゃいます。
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 タケはお金にかかわりたくなくて"かむろば村"にやってくる訳ですが、田舎だからお金がかからない、ってことは全くなくて、田舎だからこそ手間もかかって不便でお金もかかる。田舎だから自給自足が出来るとタケは思っていますが、それは長年その地で住み、自然や田舎の厳しさを知っているからこそやれることですが、タケはヒートテックを重ね着すれば寒さはしのげるぐらいに思っている天然くん。

観ているこちらも最初はそんなタケにイライラしちゃうのですが(笑)タケ本人は至ってマジメだし、どこかほっておけない感じなので「しょうがないな~」と周りがなんだかんだで助けちゃう。田舎はそんな明け透けな関係性が築ける場所ではありますよね。ただその半面、閉鎖された社会だからこそ、いろんなことが筒抜けだったり、凄~くグレーな人間関係が暗黙の了解的に周知の事実だったり、誰もそれを見て見ぬふりをしていたり、そういう陰な傾向があります。
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(片桐はいりさんの本作におけるコメディエンヌっぷりも最高~♪)

 この映画はコメディなのですが、田舎のそういう嫌~な感じも笑いで全面的で描いている所がなんともミソなんです。凄く笑ってしまうけども、その笑っちゃう要素が人間の闇だったり、病みだったりして・・・そんなダーク要素もありつつ、タケを見ていると"一人で生きる"ということは一人で生きていけるように周りに支えて貰っていることなのか、とも思ったり。なかなか深い。深い。
 松尾スズキ監督が仕掛ける小ネタやくすぐりで始終爆笑しながら明るい!けどディープ!みたいな独特な世界観をご堪能ください!

By.M
©2015 いがらしみきお・小学館/『ジヌよさらば~かむろば村へ~』製作委員会

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