シネマイクスピアリ: 2014年10月アーカイブ

『美女と野獣』

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 皆さんこんにちは、女住人Mです。
今回はファンタジーの最高傑作にしてラブストーリーの金字塔11/1(土)公開の『美女と野獣』をご紹介します。
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 『美女と野獣』と言えば人を愛し、愛されなければ、人間の王子に戻れない野獣とバラを盗んだ父の身代わりに野獣の城に囚われの身となった美しい娘ベルのラブストーリー。もともとは1740年にフランスのヴィルヌーヴ夫人が数百頁に及ぶ物語を執筆。これが「美女と野獣」の誕生とされています。1756年に同じくフランスのボーモン夫人が30頁ほどの短縮版を完成させ、これが現在広く知られている物語の元に。映画では1991年ディズニーによる長編アニメーション「美女と野獣」が元祖と思われていますがその前に1946年フランスの芸術家ジャン・コクトーが監督した白黒映画の「美女と野獣」が映画としては最初、映画ファンにはこのジャン・コクトー版を贔屓にされている方も多いです。
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長きに渡って愛されている「美女と野獣」ですが、誰もが知っているこの物語には実はあまり語られることがなかったエピソード(秘密)が多くある、という所に着眼点を置いて映画化されたのが本作。そして、なぜ王子は野獣になったのか、いったい、どれほどの罪を犯してそうなってしまったのか・・・という謎を本作の監督が独自のエッセンスを加えて描きました。

 さて本作のキーとなる野獣を演じるはフランスを代表する役者の1人、ヴァンサン・カッセル。最近だと「ブラック・スワン」のバレエの先生が印象的でした。ゴシップ情報によるとプライベートでもヴァンサンは女性大好き、きっと「ブラック・スワン」の役はそのまんまじゃないか、と思われます。映画の中でも野獣の時より、素の顔になっている時の方がより野獣に見える!? 野獣が野獣を演じているのでこれほどのピッタリ・キャスティングはないと思います。誉めてます!世界的に見てもギラギラした男性が少なくなってきた昨今、こういう存在は大事ですからね。
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うぬぼれが強く、支配欲が強く、強引、だけどフっとした瞬間に寂しそうな眼差しになる野獣に次第と心惹かれていくベルを演じるのは「アデル、ブルーは熱い色」「ミッドナイト・イン・パリ」「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」といった作品に出ている今、フランスで一番勢いのある女優レア・セドゥ。演じる役によってガラリと印象が変わるのも彼女の魅力。実は祖父がフランスの映画会社の会長であり、大叔父も同じくフランスの映画会社の会長及びCEOという、フランス映画業界のセレブ。(本作もおじいちゃんの会社が製作しています。)「アデル〜」のような大胆演技もやってしまう彼女ですが、もともとの育ちの良さが本作のベル役にぴったり。そんな彼女が劇中で着こなすドレスの数々、どれも素敵過ぎる!!女性なら衣装やこの世界観を見ているだけでうっとりしちゃうと思います。
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 そして、前述したように「美女と野獣」はもともとフランスから生まれた物語ですが、ディズニー・アニメーション映画の「美女と野獣」があまりにも愛され過ぎていて、あれこそオリジナルだ!と思っている方も多いと思います。それ故、フランス人監督のクリストフ・ガンズさんは「ハリウッド版に負けないもの作るんだ!」という意気込みで本作に挑んでいますので是非その心意気もご堪能ください。アムール(愛)の国、フランスが作っただけあってファンタジー・ラブストーリーでありながらどこか大人の色気や豊かさまで感じられますよ。是非、スクリーンでお楽しみください!

なお、『美女と野獣』の公開を記念して、シネマイクスピアリとシガー&バー トルセドール(イクスピアリ4F)では『美女と野獣』をモチーフに期間限定のスペシャルメニューを販売しております。そちらも映画と共にお楽しみください♪
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(C)2014 ESKWAD - PATHE PRODUCTION - TF1 FILMS PRODUCTION ACHTE / NEUNTE / ZWOLFTE / ACHTZEHNTE BABELSBERG FILM GMBH - 120 FILMS

『小野寺の弟、小野寺の姉』

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 皆さん、こんにちは女住人Mです。今回はシネマイクスピアリからのお知らせから始めます。なんと個性派俳優・片桐はいりさんをお迎えした新イベント『片桐はいりの出張もぎりショウinシネマイクスピアリ』の開催が決定しました!!かつては映画館でチケットもぎりのアルバイトを経験ていた片桐はいりさんがシネマイクスピアリに初来館です。イベント内容は、先ずはいりさん自らがご入場の皆さまを熟練のチケットもぎりでおもてなし。その後トークゲストとして、新作主演映画『小野寺の弟・小野寺の姉』の西田征史監督も交え、「映画」と「映画館」への愛情あふれるトークライブをお届けします。さらにイベント後には、はいりさんの著書「もぎりよ今夜も有難う」など書籍の即売サイン会も実施。チケットは発売中です。詳しくは劇場HPのTOP画面をご覧下さいませ。と、言う訳で今回ご紹介するのは10/25(土)公開『小野寺の弟・小野寺の姉』です。
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 物語の主人公は早くに両親を亡くし一軒家で一緒に暮らしている小野寺進(向井理)と姉のより子(片桐はいり)。いい年頃のふたりの仲の良い日常生活は傍から見ればちょっと風変わりかもしれませんが、当人たちには至って普通。そんな二人に恋のチャンスが訪れます。
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 姉より子を演じるはいりさんはメガネ店に勤務、営業にくる浅野さん(及川光博)のことがちょっと気になってはいるのですが、弟・進が昔の恋を忘れられず、未だに元気がないことの方が気になっている、という役どころ。そして進は進で自分の幸せよりも親代わりとなって育ててくれた姉の幸せの方が気になっているという、お互いがお互いを思いやり過ぎて不器用な行動をとってしまう、どうぞ、どうぞな姉弟。そんなある日、小野寺家に誤配送で届いた郵便物を「本人に届けよう!」とより子が無理矢理、弟を連れだすところから物語が動きだします。
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 ラッキーなことに届けた先は可愛らしい女性・岡野さん(山本美月)宅。進の心にかすかな恋心が芽生えたことをより子は見逃す訳はありません。そこからのより子はあれやこれやと画策しまくり。コメディエンヌとしての才能がピカイチのはいりさんが演じるより子が必死になればなるほど笑いを誘い、それでいてなんとも愛らしい。
 そして、それと並行するように、より子が密かに想いを寄せる営業マン浅野さんとの距離も縮まっていき、そんなより子がだんだん乙女になっていきます。人は必死になればなるほど滑稽に見えがちですが、それはとっても愛おしい存在であることとイコールです。
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(小さい頃から変わらない髪型、普段のお洋服の基本ラインもベストにスカート。
冒険をあまりしないこの風貌もより子がどんなキャラクターかを表しています。)

でもより子は進のことを考え過ぎて、自分が二の次になったり、弟を幸せにしなきゃと思い過ぎて自分を消したり、自分を決めつけ過ぎて前に進めなくなってしまっていたりで、傍から見ているとちょっと切なくなってしまうことも。しかも進も同じような行動をとってしまうのでその思い、こじれる、こじれる。でもこういう行動ってしがちですよね。「自分はこんなんだから」と卑下したり、「私はこうしなきゃダメなんだ」と決めつけ過ぎて自分で自分の可能性の扉を閉めちゃったり。人は素直になればもっと楽に生きることも出来るのに・・・。良かれと思うことが空回ることほど、切ないことはありません。より子も進も根が優しいし、お互いを本当に想いやっているからこそ切なさ倍増。この映画を観ていると「二人とも幸せになって〜」とこっちも応援してしまうんですよね。
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 はいりさんと向井さんは同名タイトルの舞台で姉弟として共演されていたこともあるので息もぴったり。はいりさんには弟さんがいらっしゃるのでもともとのお姉さん気質も演技に活かされているのでしょうか。観ていてとても心地よい空気に包まれるのもこの映画の魅力です。と、そういったことも実際はどうなのか、『片桐はいりの出張もぎりショウinシネマイクスピアリ』の中でいろいろお話が伺えると思います!楽しみだな〜♪ 10/25(土)公開の『小野寺の弟、小野寺の姉』のご観賞と共に、是非このイベントへのご参加もお待ちしております★

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(C)2014 『小野寺の弟・小野寺の姉』製作委員会

 皆さんこんにちは、ザ・マペッツ大好き女住人Mです。
9月6日(土)からシネマイクスピアリにて公開していました『ザ・マペッツ2/ワールド・ツアー』も10月19日(日)の『ザ・マペッツ&ザ・マペッツ/ワールト・ツアー』二本立て上映を持ちまして終了となりました。初日に開催した映画解説者の中井圭さん、漫画家・イラストレーターの花くまゆうさくさんをお迎えしてのトークショー付き上映会から始まり、ファンの皆さまの熱い応援のおかげもあって、全国からたくさんのお客様に足を運んでいただきました。本当にありがとうございました!

それでは公開初日から開催していました“ザ・マペッツ総選挙”の結果発表です。
じゃじゃ〜ん!!!
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総投票数1865票、ベスト3の詳細は、3位ミス・ピギー236票、2位ウォルター281票、そして第1位はぶっちぎり531票獲得でカーミットでした。皆さんの投票したキャラクターは何位でしたか?「誰に入れようか・・・」と迷っているファンの皆さまをお見かけする度にザ・マペッツのみんなが如何にファンの方に愛されているかを痛感しておりました。ご参加ありがとうございました!

 次回作がまた作られますように。そしてその時はまたシネマイクスピアリで上映が出来ますように。
本当にいろいろありがとうございマペッツ!!!
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(スクリーンで再会出来ますように。〜最終日、ザ・マペッツファンの方々と〜)

By.M
(C)Disney,All Rights Reserved.Muppets

『イコライザー』

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 皆さん、こんにちは女住人Mです。
今回は“この人が主役を張るだけで映画の格も上がります”的な信頼出来る男、デンゼル・ワシントン主演『イコライザー』をご紹介いたします。
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 タイトルの「イコライザー」の本来の意味は平行、平準化、平衡化を意味しますが、ここでは社会の悪を抹消し平和を保つ仕事人の意味として使われています。デンゼルが扮するマッコールは昼はホームセンターで働く、気さくでまじめで人気者な男。でもその実態は元CIAのトップエージェント。自ら職を辞し、別人となって静かに暮らしていたマッコールですが、毎晩通うダイナーで娼婦テリー(クロエ・グレース・モレッツ)と出会ったことで、人生に夢を抱くことさえ出来ないこの無力の少女を救うべく、封印していた「仕事」を遂行し、彼女を支配していたロシア・マフィア組織を追い詰めていく・・・と言う物語。デンゼル=イコライザー。日本に置き換えると島忠やグッデイで働くおじさんが夜になると必殺・仕事人になる、そんな映画です!
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(ダイナーで少女テリーと出会い、他愛のない会話をしていたことからデンゼルに火がついた!
テリーを演じるのはクロエ・グレース・モレッツちゃん。ヒットガールなら自らやっつけたところですね。)

 さて、映画の中で悪をやっつける人たちはいろいろカテゴリーに分類出来ます。例えば、スパイダーマンのように“急にパワーをもってしまった”系、アイアンマンやバットマンのように“金持ちなのでヒーローになりました”系などなど。今回デンゼルが扮するのは昔スティーヴン・セガール、今はジェイソン・ステイサムに代表されるような“何だかむちゃくちゃ強かった”系ヒーローであり、かつ「96時間」シリーズのリーアム・ニーソンのように“怒らしてはいけない人を怒らせてしまいました”系ヒーローとしてもカテゴライズ出来ます。つまり、これらの映画が大好きな方には特に満足いただける1本となっています。
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(ありもので戦うマッコールさん)

 そして決して武器を常に携帯しないマッコールの流儀がこの映画をよりワクワクさせます。拳銃や武器を携行することで足がつくのを避けるマッコールは身の周りにあるものをすべからく武器にしていくのです。昔から特攻野郎Aチームや冒険野郎マクガイバーが大好きだった私はこのDIY(Do it yourself=自身で作りあげる)ものアクションが大好物なんです。日常で暮らしていてもすぐ戦闘態勢になることが可能な男。キッチン用品から掃除用具とあらゆるものが命綱に武器に大変身。急に悪いやつに襲われても、何かしらの危機に瀕してもこの人がいれば完璧に守って貰える感がたまりません。しかもマッコール、昼はホームセンターで働く男ですからね。DIYはお手のもの!しかも必殺・仕事人やAチームですら筋さえ通ればお金次第で仕事を請け負っていましたがマッコールは一切報酬を受け取らないところもまた痺れます。
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(優れたアクション映画には主要キャストが炎をバックに立ち去るシーン、キメのスローモーションシーンが必要ですが、
本作にはそれがバッチリあります!)

 本作はマッコールの働くホームセンターがロシアン・マフィアとの最後の決戦場に選ばれます。もうこうなればマッコールの独壇場であることは言うまでもありません。CIA時代に培ったスキル、身体能力、経験値を第二の人生の活躍の場、ホームセンターで遺憾なく発揮するデンゼルショーを心ゆくまでお楽しみ下さい。アカデミー賞主演男優賞受賞者だけあって昼の顔と夜の顔をばっちり使い分けるその演技力にも改めて惚れぼれです。

 この世に悪がはびころうとも、マッコールがいれば大丈夫!デンゼル無双が炸裂する『イコライザー』は10/25(土)からシネマイクスピアリで公開です。 

By.M
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

『めぐり逢わせのお弁当』

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 皆さんこんにちは、女住人Mです。今回ご紹介する作品は最近公開されることが多くなったインド映画です。これまでの作品は歌って、踊って3時間!といった典型的なインド映画が多かったのですが、そうでないものも増えてきました。と、言う訳で10/4(土)から当館で公開、しっとりと男女の物語が綴られる『めぐり逢わせのお弁当』をご紹介いたします。
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 もともとインドのムンバイでは"ダッパーワーラー"というお弁当配達の仕事があります。これは家庭で作られたお弁当を"ダッパーワーラー"(5000人いるそうです)がオフィスまで配達するもので、その数1日20万個!しかもこの配達にはほぼ間違えがなく、ハーバード大学が調査したところ、誤配送の確立は600万分の1だとか。この映画は主婦のイラ(ニムラト・カウル)が夫の愛情を取り戻すために腕をふるったお弁当がまさかの誤配送により早期退職を迎えた孤独な男サージャン(イルファーン・カーン)の元に届いたことで生まれた出会いを描きます。
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 この"ダッパーワーラー"と言うお仕事。
お弁当配達人は家庭からのお弁当を玄関まで取りに行き、自転車に何十個も括りつけ、天候に関わらず街を走り抜け、人もはみ出して乗車しているような電車に詰め込んだりして、最終的にはそれぞれのデスクまで運び届けます。
しかもご飯が終わると同じ経路を辿り、家までお弁当は配達される。温かいお弁当がドアtoドアで運ばれるとはなんと素敵なシステムでしょう! これがなければこの映画は成立しませんでした。

 主人公のサージャンは最愛の妻を亡くして以降、毎日仕事をただ黙々とこなすのみで同僚と会話をすることなく、子供に嫌われることがあっても近所付き合いをするでもなく、孤独に生きています。そんな彼の心を溶かしていくのが、"ダッパーワーラー"の間違いで届けられることとなるイラのお弁当とそれに添えられるようになった手紙。そしてそれはイラにとっても同じです。

可愛い一人娘がいながらも、娘が出来て以降、旦那さんは全く自分に興味を示してくれず、会話もほぼありません。腕によりをかけたお弁当も残すことはあっても感謝されることはなく・・・。それだけにサージャンがお弁当を綺麗に平らげてくれ、しかも心に止まる手紙のやり取りが始まり彼女の人生は彩りを得るのです。お互いの素性がわからないからこそ、手紙だからこそ、普段は言えないことを相談したり、伝えたりすることで二人の心の距離はどんどん近くなります。
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でも観客はこの二人にかなりの年の差があることを予め知っていて、それぞれの状況も知っているからこそ、この二人の関係性がスムーズにいかないことは一番よく知ることとなります。それでも、イラの生活が決して幸せなものであるとは思えないこと、イラからのお弁当が届くことをそわそわしながら待つようになるサージャンがとても健気なので、この二人の幸せを願わずにはいられないのです。それがどんな形であれ、せめて今より幸せになってほしい、幸せを見つけてほしいと。

 そして、サージャンの心の解放はイラとの文通だけでなく、シャイク(ナワーズッディーン・シッディーキー)という自身の後任となる男との出会いにも影響を受けます。誰とも特に親しくなるでもなく心を閉ざし続けていたサージャンですが、シャイクが無神経なぐらいにまっすぐ飛びこんでくることで、またシャイクの過去を知ることで、自分だけが辛い、悲しいと思っていたサージャンは彼に心を開くようになります。イラだけでなく、同僚とのこの出会いでさらにサージャンが変わっていくのがまた好感が持てます。
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 この映画ではシャイクのモットーでもある「人は間違った電車に乗っても正しい場所に着く」というフレーズが何度か繰り返されます。お弁当が間違った場所に届けられたことで出会った二人が辿りつくのは一体どんな場所なのか。その想像込みで是非本作をお楽しみください。

 イラの相談相手、声だけで登場する上の階に住むおばあちゃん。
まるで天の声のようなおばあちゃんの存在と彼女の物語がまたスパイスとなっています。2013年カンヌ国際映画祭批評家週間観客賞受賞を始め世界中の映画祭で評価されたのも納得な1本です。

By.M
© AKFPL, ARTE France Cinéma, ASAP Films, Dar Motion Pictures, NFDC, Rohfilm?2013

『ジャージー・ボーイズ』

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 皆さんにとっての秋は何の秋ですか?食欲の秋に特化しないよう気を付けたい女住人Mです。今回ご紹介する作品は今度85歳になるとは思えない、現役バリバリのこの方の新作。クリント・イーストウッド監督『ジャージー・ボーイズ』です。
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 この映画は1960年代、ビートルズよりも前に世界を席巻した4人組のポップス・グループ“ザ・フォー・シーズンズ”の物語。代表曲の「シェリー」「君の瞳に恋してる」は今もなお世界中で愛されている名曲です。ニュージャージー州の貧しい街で生まれ(だから本作のタイトルは『ジャージー・ボーイズ』)、成功から一番遠い場所にいた4人の若者が音楽という武器一つで栄光を勝ち取っていきます。でもその輝きの影で裏切り、挫折、軋轢、別離が彼らを襲う・・・。紆余曲折の音楽人生を経て1990年、ロックの殿堂入りを果たすまでを描いていきます。
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 本作はブロードウェイでロングランヒットを記録したトニー賞ミュージカルの映画化。それをジャズやブルースに対する造詣が深く、自身の映画の音楽を手掛けたりもするイーストウッドが手がけるとなると期待するな、と言う方が無理な話です。しかもここ10年ぐらい、イーストウッドの生み出す作品のクオリティの高さといったら、あなた!尋常ありませんからね。実は全米公開された時には、ここ最近のイーストウッド監督作品としては批評家の評価が然程高くなく、興行自体も大きくヒットしなかったのですが、本編を観て「アメリカの評論家と観客は何をしとるねん!もうイーストウッドの円熟味とそれ故の余裕すら感じられる、こりゃ傑作じゃないかぁぁぁ〜」と思った訳です。

 肝心な“ザ・フォーシーズンズ”ですが、その名前を、彼ら自身を、楽曲タイトルを知らなくても、その曲はいろんな人がカバーをしているし、CMやら映画やらドラマやらで使われている名曲揃いで耳馴染みあるものばかり。そんな音楽が映画全編を彩り、かつそんな馴染みある曲の裏にあるドラマも(一部脚色はあるもの)わかるので、どんどん引きこまれちゃいます。

主要メンバーを演じる役者陣もリーダー格のトミー以外は全員舞台版で同じ役を演じていた経験者。イーストウッドは本作を映画化するにあたってスター役者がほしかった訳ではなく、物語を真に伝えるキャスティングを重視し、敢えてほぼ舞台版と同じキャストにしています。この選択はイーストウッドの熟練故の潔さと言えましょう。リードボーカルとなるフランキー・ヴァリの独特のファルセットボイスを持つ役者なんてそういませんし、イーストウッドにとってもフランキー・ヴァリをこんなに完璧に演じられる役者がもう存在するならそれでいいじゃないか、ってことだとも思うんです。それぐらい彼(ジョン・ロイド・ヤング)の声は神業です。
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 そして貧困な街で育ったが故に若い頃は悪事を重ね、ショービジネスという水もので猥雑な業界で駆け上がっていく彼らの奇跡を描くテンポがまた良い。仲の良かった仲間たちが成功と共にほころび、軋轢が生じてバラバラになってしまう。そんなありがちとは言える展開もザ・青春!
とにかく、熟練のイーストウッドが手がけているので、ほしい時にほしい曲がなり、決めてほしい時に決まる画がある。ただでさえ、素敵な音楽が全編流れている上に、イーストウッドがいろんな形で映画の魔法をかけるので観ていて心地よいったらありゃしないのです。
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(フランキーの声に魅了され4人をサポートするギャングのボスを演じるのはクリストファー・ウォーケン。
若い頃にミュージカル俳優でもあった彼を活かした場面も用意されてますよ。)

 挫折があろうとも、一度袖を分かつ時があろうとも、同じ夢を持ち、苦労を共有していたボーイズたちが年を重ね、心のわだかまりも全てチャラとする瞬間。そんなフィナーレに向かう本作のラストに心踊らない訳がない!

人生の酸いも甘いも知ったイーストウッドが描くからこそ、物語が軽やかで瑞々しく描かれる、そんな『ジャージー・ボーイズ』は9/27(土)からシネマイクスピアリにて公開中です。

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(C)2014 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.AND RATPAC ENTERTAINMENT

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