お知らせ: 2014年5月アーカイブ

『WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜』

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 皆さんこんにちは田舎育ちの女住人Mです。
今回ご紹介するのはど田舎の山奥で繰り広げられる爆笑と感動と衝撃の大木エンターテインメント作品でありながら自然と人間という関係性についてもほんのちょっぴり気付きを与えてくれる『WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜』です。
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 お気楽に高校生活を送っていた勇気(染谷将太)がふと目にしたパンフレットの表紙の美女につられ1年間の林業研修プログラムに参加することになり、帯の電波も立たない神去村(かみさりむら)にやってきます。過酷な研修にドロップアウトしそうになりながらも、表紙の美女・直樹(長澤まさみ)が村に住んでいると知り、中央林業を経営する飯田ヨキ(伊藤英明)の家に住み込むことに・・・。本作は田舎どころか山のやの字も知らないような都会っ子の青年・勇気が林業の世界に入り込み揉まれていく様を描きます。

 監督は「ウォーターボーイズ」、「ハッピーフライト」の矢口史靖さん。矢口さんと言えばあまり知られていない世界の裏側を舞台にそこに巻き込まれていく主人公の成長物語を描くことを得意とする作風でお馴染み。本作は矢口さんの十八番展開なので安心して見ていられると言うのはもちろん、役者たちのこの映画に対する本気度が各キャラクターに活かされ、物語自体をとても楽しくしています。
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 映画を観る時に「こんな人いそう!」と思えることや、役者とわかっている人がまさにその役の人間にしか見えてこないことってとっても重要だと思うのです。特に邦画作品は洋画と違って言葉もわかるし、文化や環境、時代性もある程度わかった上で観るので映画における登場人物の実在感がないと何か白けちゃいますよね。そういう点において本作は「いる!いる!」感が完璧です。

 主人公の勇気を演じる染谷くんは22才でありながらベネチア国際映画祭で新人賞にあたる賞を映画「ヒミズ」で受賞している演技派の青年。普段は暗い役やちょっと狂った若者役が多いので矢口監督作品の主人公と言うのは意外でしたが、またこれが良い!
映画冒頭はいい加減だし、やる気もないし「この村、マジやばいっす」ぐらいの青年なんですが、研修を終え、中央林業にて住みこみで働くようになってからはすんなり林業の仕事をマジメにやっていくんですよね。きっかけさえあれば、自分が打ちこめるものさえ見つけられればそれに邁進出来る元来の素直さがある青年という役を染谷くんがやると本当にしっくるんですよ。きっと染谷くん自身がそういう子なんだと思います。(渋谷の単館劇場に行くと染谷くんが一人で映画を観に来ているのに遭遇するので、彼はきっと良い子です。余談・・・)

 そして、染谷くん扮する勇気に仕事を教え込む、山の男たちの面々がまた良い。
林業シーンはキャスト自ら吹替えなしで実践して、堂に入っていることもあり、本当に林業をやってそうな役者ばっかり。道端でたむろして麻雀をする村のばあちゃんたちも、なまりまくりの素朴な子供たちもみんな東京や大阪でのオーディションで選ばれたとか。こういうところは矢口監督のこだわりの一つでもあって、本当に現地調達してそうな人たちしか出ていないから、映画に説得力もあるんですよね。
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(見よこの“ずっと村にいついている”感を。)

さらに突出するは中村林業のエース、林業をやるために生まれてきたようなこの村生粋の山の男・飯田ヨキを演じる伊藤英明さんが本当に素晴らしい!もう登場してすぐ、その体つきで山の男だとわかるし、しょっぱなで手鼻をかむ、その演出がハマりすぎで爆笑もの。「海猿」シリーズ以降、肉体派俳優と言えば・・という冠がついた伊藤英明が映画「悪の教典」を経て、その恵まれた肉体美でもって、それを活かした演技を手に入れました!伊藤英明ファンの中には彼のその肉体美を愛でる人が多いと思います(?!)、その求められていること、望まれることを察知し、それを充分に活かした上でさらに求められる以上を提示する、実は日本の若い役者でそう言うことが出来る人ってまだいないと思うんですよね。いや〜、伊藤英明よくやった!(愛情込めて呼び捨てにしてしまう)
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(見よこの“山の男たち”感を。)

途中、この映画は伊藤英明主演映画ではないか、と思うぐらいのインパクトを与えながらも、しっかり勇気の成長を見せる、何とも爽やかな映画なのでした・・・・
と思ったら後半にまさかなのエロ展開があるのでそちらはスクリーンでお楽しみ下さい。
いや、エロと言ってもそれは人間の営みとしてとても普遍的な行為に基づくエロなのでそこは神聖な思いで受け取りましょう・笑
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(みなさん、ふんどしがお似合いよ〜)

そんなこんなで、勇気の成長を笑いを交え描き、でも「スローライフ良いわね」と暢気に構える人たちに田舎での暮らしの厳しさもきっちり伝え、何とも好感の持てる映画なのでした的『WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜』は5/10(土)からシネマイクスピアリにて上映中です。

By.M
(C)2014「WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜」製作委員会

『とらわれて夏』

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 GWに突入しましたね。もともとゴールデン・ウィークは映画業界の宣伝用語だったんですよね。皆さんこんにちは、女住人Mです。
今回は“私ごとですが、この監督の新作が常に楽しみでしょうがない”シリーズ、ジェイソン・ライトマン監督最新作5/1(木)公開の
『とらわれて夏』をご紹介します。
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 私が大好きなジェイソン・ライトマン監督は「ゴースト・バスターズ」の監督アイヴァン・ライトマンを父に持つ、現在36歳の若手監督。とは言え、長編映画監督デビュー作の「サンキュー・スモーキング」以降、「JUNO/ジュノ」、「マイレージ、マイライフ」、「ヤング≒アダルト」と現代的でユーモアのある作品を作り続け、既に2度もアカデミー賞にノミネートされている実力派。都会的な映画を得意とする彼の新作の舞台は1987年、アメリカ東部の静かな田舎町とこれまでとは全く違います。「なぜライトマンは(これまでとは全く違うタイプの)この映画を撮ったのか」個人的にはこれが一番気になるポイントではありますが、先ずはこの映画の魅力をお伝えします。
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 物語は心を病みスーパーに行くのもやっとな母親アデル(ケイト・ウィンスレット)に献身的な態度をみせる、13歳の少年ヘンリー(ガトリン・グリフィス)の目線で語られます。週末にレイバーデイ(労働者の日)の祝日を控え、月に一度の買い物のために母とスーパーへ出かけた二人。その時に偶然出会った逃亡犯のフランク(ジョシ・ブローリン)。家に匿うことを強要されながらも、「決して傷つけない」その言葉通りに二人に接するフランクに次第とアデルとヘンリーは心を許していき、そして二人の生活には欠けていたものをフランクが埋めていくようになります。逃亡犯と出会い、彼のことを次第と知っていくうちに気持ちが徐々に傾いていく母・・・
彼女のフランクへの想いはまさに犯罪者に恋をしてしまう人質の恋愛“ストックホルム症候群”。一見この無理がありそうな設定を説得力持って演じる逃亡犯フランクことジョシュ・ブローリンに注目!
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(この逞しく、うまそうな二の腕を見よ!)

逃亡犯でありながらもフランクはどこか優しさのある人物として描かれ、物語は彼の過去がフラッシュバック的に挿入される形でも進行するため、なぜ逃亡犯となっているのかが次第とわかるようにもなっています。決して心から悪い人間でなかったんじゃないかと思わせるフランクはアデルたちの家に来て決定的にここに欠けているものを即座に察知します。それは父性の欠如。ちょっと手を加えれば直る傷んだ家、車・・・フランクは家を修理し、車を直し、ヘンリーにもそのやり方を教えます。男性はおろか、人との関わりを避けていたアデルにとって心のどこかでは求めていた男性的な優しさに触れ、恋に落ちるにはそう時間は必要ありません。
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 そして13歳という多感な時期であるヘンリーにとっても母が抱くフランクへの想いはこの年の子が抱きがちな汚らわしいと言う感情ではなく、とても当たり前のものとして受け止めていきます。なぜなら彼にとっても男性的な優しさ、父性的なものが必要だったから。二人が心を許し、頼るようになると犯罪者として投獄されていたフランクの孤独な心にも久しぶりに温かい感情が芽生えるのです。そう、この三人が出会ったことでそれぞれがなかったもの、欲していたものを補い合ってしまうのです。

そして決定的だったのはフランクが手ほどきをして作るピーチパイ。「パイはレシピに従うのではく、本能で作るんだ」と言ってアデルの手をとりパイを作るこのシーンのなんと官能的なこと・・・物静かで手先が器用で子供にキャッチボールとかも教えちゃって、料理まで出来ちゃう、しかも演じるはジョシュ・ブローリン、犯罪者でも逃亡犯でもそんな細かいこと気にしまへん!アデルでなくともこの映画を観れば世の女性の多くはフランクと恋に落ちてしまうことでしょう・・・これを映画の説得力と言わずして何を言う。繰り返しになりますが、料理が出来て、修理も出来て、心も優しい、ジョシュ・ブローリン顔の人が突然家にやってきたら、例え犯罪者でも拒む自信があなたにはありますか?私にはありません!(キッパリ)
「レボリューショナリー・ロード」「愛を読む人」「リトル・チルドレン」と薄幸の人を演じさせたら右に出るものはいないケイト・ウィンスレットがアデルを演じたこと、ヘンリーを演じた少年ガトリン・グリフィス君の暗い眼差しがまたこの映画の説得力を高めるのでした。
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(パイ作りシーンは「ゴースト/ニューヨークの幻」のろくろシーン以来の映画史に残る間接的表現における官能シーンではなかろうか!)

 ともすればオーソドックスなメロドラマとも取れる題材の本作。でも過去にとらわれ過ぎたことで人生をうまく生きることが出来ない人物として描かれるアデルとフランクはこれまでジェイソン・ライトマン監督が描いてきた主人公と時代は違えどもどこか通じる人物だったのです。あ〜だからこの映画を撮ったのかな・・・・。

 これまでのジェイソン・ライトマン作品にあった鋭い視点、ユーモアは封印されていますが、これまで同様人物をじっくり描き、レイバーデイの時期(9月1週目)独特の空気感(暑さ)が官能的なこの物語をさらに濃密にしていきます。温かい余韻に包まれて下さい・・・
By.M

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