シネマイクスピアリ: 2014年4月アーカイブ

『ブルージャスミン』

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 皆さんこんにちは、NYに住んでみたい女住人Mです。今回は本年度アカデミー賞主演女優賞を受賞したケイト・ブランシェット主演作にしてウディ・アレン監督44作目の作品『ブルージャスミン』をご紹介します。
ちなみに今回はブログの最後にプレゼントキャンペーンのお知らせもありますよ!
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 ケイト・ブランシェットが演じるのはかつてはNYのセレブ界で輝いていた女性、ジャスミン。しかし今は裕福でハンサムな夫ハル(アレック・ボールドウィン)との結婚生活も財産も全て失い、人生のどん底にいます。再出発を図るべく、サンフランシスコに住む妹ジンジャー(サリー・ホーキンス)の庶民的なアパートに身を寄せるのですが、贅沢が板に付き、過去の栄華を捨てられないジャスミンはさらに精神のバランスを崩していきます。ドン詰まった所で理想的な独身男性ドワイト(ピーター・サースガード)と出逢い再びセレブな生活に返り咲くチャンスが到来するのですが・・・。物語はセレブ妻ジャスミンの転落っぷりを彼女の華麗なる“過去”と痛々し過ぎる“現実”とを対比させながら描きます。
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(ケイト・ブランシェット演じる元セレブ妻ジャスミンのファッションスタイリングも見どころの1つ。全身ブランド服という鎧を身にまとっていますが品があるんですよね。)

 この映画、もういろいろ上手過ぎて何も言えない感じですが、際立つは、1にケイト・ブランシェットの演技、2にウディ・アレンの脚本の巧みさがあげられます。先ず冒頭から圧巻。
NYからサンフランシスコに飛行機(しかもファーストクラス)でやって来るジャスミンは隣の席になった品の良い老女に自分の話ばかりをしゃべり倒します。もう誰も何も聞いていないのにペラペラペラペラ。そして身に付けるはシャネル尽くしの完璧ファッション、カバンはエルメス、旅行用バッグはヴィトン。老女はうんざりしてあっと言う間に立ち去る・・・その時のジャスミンの表情ったら・・・・。
このわずかなシーンでジャスミンがどんな人間でどんな生活をしていて、どんな精神状態でいるのか一発でわかります。つまり冒頭だけでこの映画の際立ち2大要素が完璧に噛み合っているんです。

 虚飾の世界で生きてきたジャスミンは心機一転を図ろうと思ってはいるのですが、虚栄が邪魔してこの後も何も出来ません。もう空回り、空回り。ジンジャーの彼氏に今度の身の振り方を聞かれても、「・・・(無言)え〜っと、大学に戻ろうかしら」と自身の現実が全く見えていない、観客も呆れる総ツッコミの回答をし、「お姉さんはセンスがあるから資格を取ってファッションやインテリアの仕事とかどう?最近、ネットで資格も取れるわよ」と妹に励まして貰う始末。でもパソコンが出来ず、パソコン教室から通い始めるという・・・・あ〜、痛い、痛い、痛すぎる。ウディ・アレンは金持ちでスノッブな人間が本当に嫌いみたいで(私からするとそんなウディは充分金持ちでスノッブだと思うんですが・・・)そういうDisり表現がピカイチなので、まるでケイト・ブランシェットに恨みがあるかのごとく、ジャスミンの転落ぶりを皮肉とユーモアを交えて描きます。
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(現実を見ることが出来ないジャスミンは嘘に嘘を重ね、現実逃避を繰り返す・・・・)

 そしてそれに応えるケイト・ブランシェットが本当に素晴らしい。セリフまわしや表情、動作もさることながら、なんと汗でそれを表現。精神が崩壊してきていて、独り言が多いジャスミン(またこの演技が秀逸!)は首元に、額に、わきに汗をかく、かく、汗をかく。汗をかくからマスカラも落ちる。40女の悲哀と言えば、わき汗と目の下につく落ちたマスカラですよ!40女が一番みすぼらしく見えるこの2大要素を完璧なブランドファッションを身にまとったケイト・ブランシェットが体現するんです。いや〜見事なコラボレーションです。

 悲劇なのに最後までなぜか喜劇としても成立している本作はウディ・アレン版「欲望という名の電車」とも言えます。そして、セレブから一転、落ちるところまで落ちて途方に暮れるジャスミンの姿はリーマンショック後のアメリカの現実をばっさりと斬った1本とも言えるのでした。
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(サンフランシスコで出会ったドワイト(ピーター・サースガード)は果たしてジャスミンの白馬の王子様になるのか?)

 ケイト・ブランシェットの演技とウディ・アレンの脚本だけでなく、妹ジンジャーを演じたサリー・ホーキンス(アカデミー賞助演女優賞にノミネート)やその彼氏チリ役のボビー・カナヴィエルの実在感、役のハマリ具合と細部に至るまでいろいろ唸ちゃうことを保証します!他人の不幸は蜜の味・・・と言ってはいけないけれど言葉では何とも言えないジャスミンのラストショット、是非スクリーンでご堪能下さい。

さて、突然ですがここで・・・

★★★★★ プレゼントキャンペーン! ★★★★★

ブログを最後まで読んでくださった皆さんの中から抽選で1名様へ超豪華プレゼント!
賞品はウディ・アレン監督の近作3作品のブルーレイセットです!

官製ハガキにクイズの答えと必要事項を記入して、ご応募ください。
あ〜、太っ腹!

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<ジャスミンクイズ>
セレブ生活を送ってきたジャスミンは贅沢がやめられず、全てを失った今もブランド品を身に付けています。予告編の中でもそんな彼女のファッションを男性が指摘しているシーンがあります。
彼女が身に付けているのは“〇○〇〇のベルトと〇〇〇〇のバッグ”
さて、〇〇に当てはまるブランドは何でしょう?

<応募宛先>
〒279−8529
千葉県浦安市舞浜1−4−270
シネマイクスピアリ『ブルージャスミン』プレゼント係

<記入必要事項>
・ジャスミンクイズの答え
・住所
・お名前
・電話番号
・年齢

<応募締切>
2014年5月25日(日)当日必着

※当選者の発表はプレゼントの発送をもって代えさせていただきます。
※ご記入いただきました個人情報は、当キャンペーンの抽選およびプレゼントの発送以外には使用いたしません。
※ご応募はお1人さま1回限りでお願いいたします。

クイズのヒントとなる『ブルージャスミン』の予告編はこちらからご覧ください!

By.M
(C)2013 Gravier Productions,Inc

 皆さんこんにちは。ストレス発散アイテムは映画とビールな女住人Mです。
今回は私の中のボンクラ魂が揺さぶられた作品4/19(土)公開の『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』をご紹介いたします。
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 主人公ゲイリー・キング(サイモン・ペッグ)は40歳になっても学生気分が抜けきれないダメダメ男。
彼は20年前に果たせなかった“4人の親友たちと1晩で12軒のパブをはしごする<パブクロール>”をするべく、故郷であるイギリス郊外の街“ニュートン・ヘイヴン”に無理矢理4人の仲間を集めます。集結した5人はゲイリーを除いて皆渋々パブを回るのですが、街の様子がなんだかおかしいことに気付きます・・・ひょんなことから街が何者かに乗っ取られていることを知るのですが、下手に逃げると殺(ヤラ)れると思いそのまま<パブクロール>を続け、反撃のタイミングを見計ります。さてアラフォー男たちはどうなってしまうのか?地球を救う救世主になるの?そして<パブクロール>は達成されるの?と言う奇想天外なSFコメディが本作です。
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 監督・脚本・製作総指揮はエドガー・ライト。彼は本作主演のサイモン・ペッグ(本作の共同脚本家であり、「スタートレック」や「ミッション・インポッシブル」シリーズにも出演する売れっ子)とニック・フロスト(本作の製作総指揮にも名を連ねるメガネをかけた巨漢のナイスガイ!)と3人で「ショーン・オブ・ザ・デッド」、「ホット・ファズ-俺たちスーパーポリスメン!-」を手掛け、コアな映画ファンからは既に絶大な支持を得ています。本作を含めこれらは3部作と言われていますが、3部作だからと言ってもモチーフは全く異なるので過去作を観ていなくても問題ないですが、通して言えるのは彼らがいつも“世界と俺”、しかも“世界とダメな俺”をテーマにしていること。(因みに4/18に40歳の誕生日を迎えた監督のエドガー。「40歳とか信じられないよ!若者のような格好してても良い?大人が着るような服を持ってないよ。」とつぶやいていた。安定のボンクラ感がたまらない)

本作でも主人公のゲイリーは人生のピークだった高校生の頃から全く変わっていません。酒好き、嘘つき、女好き、威張りんぼうで調子いい、と彼にチャームがなければ本当とんでもないヤツです。でも彼も自分の状況がわかっているから、20年前、一番自分が輝いていた時代に成し遂げられなかった<パブクロール>をコンプリートすることで自分の人生の起死回生を狙うのです。一番イケてた時に出来なかったことが出来れば、次の一歩を踏み出せるんじゃないか?と。それが12軒ものパブを1晩で親友と回ることって、どんだけボンクラなんだ・・・と言うのがまた泣かせるけれど・・・。

 なんか切ない感じになってきましたが、とは言え映画の前半は男たちが冗談を言い合いながらビールを飲みまくっているだけなのですが、それがなぜか実は街が何者かに乗っ取られていた・・・というSF展開になってからは映画の加速度は止まりません。
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(ネタばれします!ネタばれ回避の方は映画観賞後にご覧ください)

 なんと街を支配していたのは宇宙人。人間は頭がカラッポのロボットへとすり替えられていたのです。5人はロボットにされないように闘うこととなるのです。一人、また一人、犠牲になる仲間たち。でもゲイリーは<パブクロール>を止めません。そしてビールを飲みながらもロボットたちと闘います。「俺は自由に生きたいんだ!カラッポな人間になんてなりたくないんだ!まっとうな人生なんて俺は送られないけど、自分の思う通りに生きたいんだ!」とまでセリフでは言ってはいませんが(笑)そんなゲイリーの心の声が私にはビシビシ伝わってきました!!そう、世の中的にはボンクラ扱いされようと、これが自分で選んだ道。「宇宙人は(世間は)ロボット(周りと同じような人間)になれと言うけれど、自分らしく生きたいんだ!こういう生き方しか出来ないんだ!」なんて、もう、負け犬の遠吠えの何ものでもありませんが、ボンクラな私は号泣メ〜ンです。そして、一番の親友であるアンディ(ニック・フロスト)が「もういい加減に飲むのは止めろ!」とゲイリーの腕を取るシーン、(そのゲイリーの腕にあるものは・・・)何度観ても泣ける・・・コメディ映画なのに、泣いてるよ私・・・。

 エドガー・ライトとサイモン・ペッグ、ニック・フロストはプライベートでも本当に仲良しでいつもいちゃいちゃしていて、それはこれまでの3部作(サイモン&ニック共演の「宇宙人ポール」でも)全部そんな感じでとても微笑ましい上に3人は映画が本当に大好きなので、本編にはたくさんの映画のオマージュが溢れています。映画が好きな人は彼らの作品を観ればそのこだわりっぷりに、絶対嫌いになれないし、そんな知識がなくても「あ〜この人たちは本当に楽しんで映画を作っているんだな」と言うのはバシバシ伝わります。そういう作り手の意識って実は凄〜く作品に出るんですよね。だからもう愛さずにいられない。
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(「SHERLOCK」や「ホビット」シリーズとドラマ、映画に大忙しのマニキことマーティン・フリーマン(右)も3部作に皆勤賞出演。)

コメディでありながら、SFアクション映画、そして負け犬たちのリベンジマッチを描く本作は私のようなボンクラ人生を送っている人の心を鼓舞し、とても温かく、爽快な気持ちにしてくれます。そして何より、12軒も<パブクロール>をするんですよ。映画を観たらビールが飲みたくなってたまらない!お酒好きな人には必見映画です。是非、本作を観て、美味しいビールを飲んでHappyになりましょう。

 そして今回は本作の公開を記念して、イクスピアリではいろいろな企画をご用意しておりますので、そちらも併せてお楽しみ下さい★詳しくは劇場HPのTOP画面をご覧下さいね♪

By.M
(C)2013 UNIVERSAL STUDIOS

『あなたを抱きしめる日まで』

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 みなさん、こんにちは女住人Mです。
今回ご紹介する作品は本年度アカデミー賞作品賞、主演女優賞など4部門にノミネートされた『あなたを抱きしめる日まで』です。
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 主人公のフィロミナ(ジュディ・デンチ)には隠し続けていた秘密がありました。それは彼女がまだ10代の頃。未婚のままに妊娠してしまったフィロミナは修道院に入れられ、過酷な労働を強いられながらも男の子を出産します。そして3年後、修道院は金銭と引き換えにアンソニーを養子に出してしまいます。この事を口外することも、息子を探すことを禁じられたフィロミナ。当時、絶対的権力をもっていたカソリック教会にはむかうことも出来ず、月日は流れ・・・。そして50年の時を経て、娘に紹介された元ジャーナリスト、マーティン(スティーヴ・クーガン)と共にフィロミナは息子を捜す旅に出ます。
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 本作はノンフィクション本「The Lost Child of Fhilomena Lee」を元に(マーティンを演じたスティーヴ・クーガンらによって)脚本が書かれました。原作には“カトリック教会による人身売買”の事実が綴られています。アイルランドは昔からカトリック信仰が深く沁み込んでいる国です(現在でも国民の8割はカトリックを信仰していると言われています。)。そんなアイルランドにおいて婚外子を身ごもると言うことは「堕落した女」の烙印を押されたも同然で、こういった女性が修道院施設に追いやられ、強制労働を強いられた上に子供は3歳で裕福なアメリカ人に「寄付」と称し金銭と引き換えに養子に出されてしまう。このほぼ人身売買と変わらない行為に政府も関与していた事実が公表されたのが2013年2月!この映画の主人公のフィロミナもまさにこの悲劇の被害者なのです。
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 が、こういった物語がベースにありながらもユーモアに溢れ、むしろ笑いさえおきてしまうところがこの映画の魅力。それは前述したフィロミナの同行者マーティンを演じたスティーヴ・クーガンの脚色センス、そしてフィロミナを演じたジュディ・デンチの演技力、いや人間力です!フィロミナは30年間看護婦をしながら質素で地味な生活をしてきましたが、少女がそのままおばちゃんになったような人であまり世間のことは知りません。好きなものはロマンス小説とお得なものと、言ってみれば田舎の純粋なおばちゃんなのです。片やマーティンはBBCのジャーナリストを経て政府の広報担当として働いていたものスキャンダルで職を奪われ、フィロミナとのことを機に再起を狙っているぐらいのヤツです。そうスノッブでちょっと嫌なヤツなんです。

つまり共通点が全くない二人の旅はもはや珍道中でしかなく、マーティンの皮肉を直球で返すフィロミナとの会話は噛み合わなさ過ぎ!(笑)だからこそ、重たいテーマを描きながらも観客はまるでチャーミングなフィロミナと一緒に旅をしているような気持ちでこの物語を追っていけるのです。そして、そんな二人の旅もある衝撃的な事実で幕を引くことになるのですが・・・

 本作は社会問題をきっちり根底に描きながらも、フィロミナと息子の物語、フィロミナとマーティンの物語、マーティンがフィロミナと出会ったことで得る成長物語までも描き、最終的にはフィロミナの選んだ最後の決断が“信仰”とは一体何なのか、“信仰”を特にもたいない日本人が見ても“赦す”ことの重さを改めて思い知らされるのです。
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 ジュディ・デンチは本年度のオスカー発表の当日、本作で主演女優賞にノミネートされていながらも「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」の続編撮影のために授賞式を欠席。その際、主演女優賞を受賞したケイト・ブランシェットはそんなジュディ・デンチに向けて「あなたみたいな女優になりたい。私もあなたみたいにこの仕事をやっていきたい」と賛辞を述べたのでした。素敵過ぎる・・・・そんなジュディ・デンチの女優としての魅力が満載な本作、『あなたを抱きしめる日まで』は4/12(土)からシネマイクスピアリにて公開です。

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© 2013 PHILOMENA LEE LIMITED, PATHÉ PRODUCTIONS LIMITED, BRITISH FILM INSTITUTE AND BRITISH BROADCASTING CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED

『アデル、ブルーは熱い色』

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 皆さんこんにちは。女住人Mです。春は出会いと別れの季節ですね。
今回ご紹介する作品も衝動的なある出会いから始まる愛の物語、4/5(土)公開の『アデル、ブルーは熱い色』です。
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 物語の主人公アデル(アデル・エグザルコプロス)は勉強もマジメにし、上級生トマに想いを寄せる、普通の高校生です。トマとは一瞬うまく行くのですが、何かしっくりこない自分の気持ちが気になり、すぐに別れてしまいます。そんなある日、道ですれ違っただけの髪をブルーに染めた女性に一瞬にして心奪われ・・・。偶然、再会を果たしたその女性は画家をめざす美大生エマ(レア・セドゥ)。
アデルは一途に彼女にのめり込んでいきます。
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(エマを演じたレア・セドゥちゃんは「ミッション:インポッシブル/ゴーストプロトコル」や「ミッドナイト・イン・パリ」などにも出演している現在28歳の売れっ子女優。おじいちゃんも親戚もフランスの大手映画会社の会長やCEOと言うセレブです。そんな彼女がこういったまさに体当たりな映画に出るあたり、さすがフランス女の肝は違いますね。)

 本作は2013年カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを審査員全員一致で受賞した作品で審査委員長だったスティーヴン・スピルバーグが「偉大な愛の映画、その一言に尽きる。」とも評した程です。
本作がカンヌ映画祭でパルムドールを受賞したのは愛を最も重要視する国、おフランスの関係者の心を突いたこと、それが女性同士の恋愛でありながらも、二人の激しいラブシーンをダイレクトに描いたこと、そしてそれを演じた女優の渾身の演技の3つが上げられると思います。特に劇中かなりの尺をとって描かれる二人のSEXシーンは激しく、そのショッキングな話題性が先行したのも事実です。でも、じゃあなぜパルムドールを受賞したのか、審査員の心を鷲づかみにするぐらいこの映画が受け入れられたか、例えアムールの国おフランスが日本よりも偏見がないとは言え、そういったものを飛びこえ支持されたか・・・と言うのはやっぱりこれが“愛”(そのもの)を描いた映画だからだと思うのです。

 初めて男の子と結ばれたもの「なんか違う」と別れを告げ、道ですれ違っただけの人に一目ぼれをする感覚的なアデル。街でたまたま見かけたその人を勇気を持って追いかけ、アピールをするアデル。受け入れられ周りにも公認の仲に・・・。時は流れ、それぞれ仕事にも就き、それぞれ違う世界が広がり始めると次第と関係性にホツレが出始め、一つ狂うと、全てが狂って行く・・・ちょっとした寂しさのために間違いを冒し、さらに亀裂が入る二人の関係。これは別にアデルが愛した人がエマと言う女性でなくとも、相手が男性だったとしてもこういう流れは恋愛によくあることです。
本作はそういうよくあることを、じっくりと丁寧に真っすぐ描いているため、どんな人にも起きている、起きうるリアルがどんどん浮き彫りになっていくのです。
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(アデル(左)を演じたアデル・エグザルコプロスちゃんはまだ20歳!この半開きの唇でこの役をゲット!)

 それが印象に残るシーンが劇中いくつかあり、そんな中でもアデルがエマと大喧嘩になり、一緒に住んでいた家をアデルが追い出され、泣き叫び途方にくれるシーンが印象的です。アデルは翌日、職場に行きその日の仕事は(浮かない表情ながらも)いつも通りこなします。そして一日が終わり、一人になった時に初めて感情をあらわにするのです。恋愛におけるある出来事が例え当事者にとって天変地異がひっくり変えるぐらいの事でもそれを普段の生活にまで引っ張る訳にはいかないのが、我らの日常です。

この時のアデルの心の揺れは「わかる、わかる」と多くの人が共感するのではないでしょうか?そういった表現の積み重ねが描かれる本作はまさに誰でも経験しうることを捕えているからこそ、多くの人の心に入りこんだのだと思うのです。結局、人間と人間の間に生まれる愛情の一つが恋愛なだけにアデルにとってそれがたまたまエマでエマにとってはアデルだっただけなのです。

 とは言え、かなり衝撃作であることも否めません。シネマイクスピアリでは珍しい、レイティングR18+です。でもこの映画で描かれていることは全くもって普遍的なことのように思えるのです。

By.M
© 2013- WILD BUNCH - QUAT’S SOUS FILMS ? FRANCE 2 CINEMA ? SCOPE PICTURES ? RTBF (Télévision belge) - VERTIGO FILMS

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