ウラシネマイクスピアリブログ

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『パーティで女の子に話かけるには』

 皆さんこんにちは、女住人Mです。まもなく今年の冬のお祭り映画が公開になりますが、その前に個性的なインデペンデント映画をご紹介します。12/1(金)公開『パーティで女の子に話かけるには』です。

 舞台は1977年、ロンドン郊外。パンクが大好きだけど内気な青年エン(アレックス・シャープ)は友達と忍びこんだ奇妙なパーティで美少女ザン(エル・ファニング)と出会いたちまち恋に落ちます。でも彼女は宇宙からやってきた女の子だったのです!本作はオフブロードウェイで上演され、その後映画化もされた「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」の生みの親ジョン・キャメロン・ミッチェル監督待望の最新作でもあります。(監督はアニメ「ユーリ!!!on ICE」のヴィクトルのモデルらしいですよ、奥さん!)

この外側のルックスからもわかるよう、この映画はオシャレで刺激的、でも懐かしく切ない、ちょっと風変わりな“ボーイ・ミーツ・ガール”もの。原作者のニール・ゲイマンは「異性が<異星人>に思えたあの頃の甘酸っぱい恋の物語」と称した映画なのですが、<異星人>に思えたどころか、本当に異星人に恋しちゃった!

そしてその異星人を演じるのがエル・ファニングなもんだから、もう可愛過ぎて“けしからん”映画になっている訳です。ディズニーファンの方におかれましては『マレフィセント』の純真なオーロラ姫を演じたことで出会った方も多いかもしれませんが、当館でも今年6月に公開した「20センチュリー・ウーマン」でもそのけしからんっぷりを遺憾なく発揮していたことも記憶に新しいところ。特に思春期の主人公を翻弄する女の子を演じたらエルの右に出る者はいない!というのはもう間違いない事実でしょう。リアルお人形さんのような容姿にちょっとアンバランスな独特な声、そして屈託のない笑顔でファン拡大中のエル。本作でもまたもやそのエル無双っぷりが甚だしい!(もちろん、褒めてます)

地球人との交流は禁じられていたのに、目の前のもの全てに興味津津なザンが、中でも一番興味をもったのは“パンク”。パンクの同人誌まで作っているエンにとって自分の一番好きなものに、好きな子が興味を示す、こんな嬉しいことはありません。もう自分が好かれたこととイコールなぐらいのテンションで恋も加速しちゃいます。

加えてエンは大好きだった父親に捨てられ、ザンも<保護者>に与えられる人生に嫌気がさしている。そんな大人の事情に振り回され、モヤモヤを抱えるという共通の苦しみを抱える二人にとって“パンク”がそれをパッションに変えてくれる。その喜びを知る過程で二人の恋が盛り上がらない訳がない。でも終わらないパーティはない、だからこそ、今を精一杯楽しもうとするかのような、二人本当に眩し過ぎるのでした!そして女の子はいつも男の子よりちょっぴり早く大人の階段を上がる、そんなラストに胸キュン(死語)です。

思えば映画『ヘドウィッグ~』が映画館で上映されていた時代は渋谷のインデペンデント系映画館の全盛期。この映画を観るとその時代にタイムスリップしたような感覚も思い出されて(個人的には)何だか涙が出ちゃいそうな1本でした。(いや、特になんもなかったですけどね・・・)あ~、こういう感想を持つあたり、年をとった証拠で、嫌になっちゃう!

By.M