ウラシネマイクスピアリブログ

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『猫が教えてくれたこと』

 皆さんこんにちは、女住人Mです。だんだん寒くなるこの季節、、あの子の存在が愛おしくなります。今週ご紹介する映画は12/2(土)公開『猫が教えてくれたこと』です。

 本作の舞台はイスタンブール。そこに住む人々の人間模様を描きながら、個性的な7匹の野良猫にスポットを当てたドキュメンタリー映画です。11才までトルコ・イスタンブールで育ちその後アメリカで暮らしていたジェイダ監督が手掛けた本作はアメリカで公開された外国語ドキュメンタリー映画として史上3位の大ヒット、こちら日本でも一足先に公開している都内の劇場でも満席が出るなど大盛況と聞いています

 さて、イスタンブールと言えば、アジアとヨーロッパの2つの大陸にまたがるトルコ最大の都市にして、かつてローマ帝国、ビザンチン帝国、オスマン帝国という3代続いた大帝国の首都。イスタンブールの街の風景に猫を思い浮かべる方も多いと思いますが、この繁栄の地に世界各国の船が集まり、停泊した時に船に乗っていた猫がそのまま居ついたため、とも言われています。そう、船内のネズミ退治用だったんですね。

またイスタンブールで下水道が普及した際にネズミが大発生したので、街の人々は猫の存在を歓迎したとも。と、言う訳でイスタンブールでは昔から猫と人間の蜜月関係は続いている訳ですが、日本の風景と違うのはやっぱり、野良猫が多いこと。飼われている猫もいるのですが、どっちかと言うと居ついてしまったからそのまま飼っていると言えば、飼っている、というような互いがわりと思いのままな感じで生活しているのが見ていて心地よい。

中には猫と偶然という言葉では片付けられない運命的な出会いをした人、人と話すこともきつかったけれど野良猫に餌をやり続けることで猫を愛し、人をまた好きになれるようになった人もいて、そういう時には猫と人と言う関係性を越えた特別な何かを感じることも出来ます。職場に居ついている猫に「もうこいつ可愛くてよ~」とメロメロなおじさまもいたりして、その様々な距離感がとても温かく描かれていきます。

 そうやって日常にどっぷり猫と人との関わりが出来ているこのイスタンブールの地も、ビルが建ち、開発が進み、街はどんどん様変わりしています。猫が住みついていた商店は取り壊され、緑はなくなり、猫が安全に暮らせる場所も失われていきます。そんな猫を飼い猫にしちゃうのも可哀想と感じる人も多く、自分たちより猫の居場所を心配する人がたくさんいます。そして猫にとって住みにくい場所というのはある一面では人間にとっても同じことが言える。猫の生活を通して人間の生活のその先まで見えていくのでした。

 と、ちょっとマジメな感じになってしまいましたが、映画自体はいろんな魅力に溢れた猫たちがスクリーンに出ずっぱり!猫を飼っている人、猫好きな人にならわかる、わかると共感ポイントはてんこ盛りですし、日本ではなかなか見かけなくなった野性味ある猫たちの行動とその街の風景にちょっとノスタルジーも感じたり・・・
これから師走、慌ただしくなる日々をこの映画がきっと皆さんの心を和らげてくれると思いますよ♪

By.M