ウラシネマイクスピアリブログ

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『ザ・サークル』

 皆さんこんにちは女住人Mです。今回ご紹介する作品はSNSと人の関わり方を描く11/10(金)公開『ザ・サークル』です。

 世界No.1シェアを誇る巨大SNS企業“サークル”に入社したメイ(エマ・ワトソン)は経営者ベイリー(トム・ハンクス)の目に留まり、小型カメラにより自らの行動を24時間世界に公開する実験モデルに抜擢。彼女のフォロワーは爆発的に増えアイドル的人気を得るのですが、それが予期せぬ悲劇を引き起こしていきます。

 あっと言う間にSNSが生活の一部に入り込み、SNSで友達が増えたり、疎遠だった人との関係が復活したり、便利にプラスに物事が運ぶこともある一方で個人のプライバシーが可視化されることで、思わぬ悲劇が生まれてしまっているのも事実。

メイも“サークル”に入社した時は「あなたの日々の行動は“サークル”で開示して!」、「他人の行動にも興味を持って!いいねして!」と半ば強制されることに戸惑いながらのスタートでしたが、これまでの冴えない日々と180度違う新しい環境の魅力に囚われ、どんどんそっちの世界の人間に変わっていきます。これまで他人にも自分にも興味がなかったけれど“サークル”で他人と繋がり、他人から“いいね”と肯定されることで自信も持ち始めます。

 また“サークル”の経営者ベイリーはまさにカリスマ経営者でまるでスティーブ・ジョブズのごとしなので「この人についていきたい、気に入られたいかも~」みたいな感情を皆に植え付けます。そんな彼に評価されたことでメイはさらに自分の内側をオープンにしていきます。この辺はどっちかというと悪徳商法やカルトのやり口か?!と思える程のデフォルメ感も漂い、ちょっと恐くもあるのですが・・・

とにかく何でもシェアすることを求められるこの会社、「隠し事は罪!全てを透明化出来れば世の中はより良くなる」と“全人類透明化”の理念を進めたいベイリーはある事件を機に、超小型ワイヤレスカメラを24時間、身に付けることをメイに決意させてしまいまいます。確かに悪事は “不透明”であること、周りの人には知られていないハズ、そんな感情が起こしていることも多いのですが、全てがクリアになれば、それはそれで別の問題が起きてしまいます。グレーな部分があることで全体がまるっと納まることもありますし、正義を振りかざし過ぎて、歯止めが効かなくエスカレートしてしまったり・・・・そんなメイも「全ての知識や経験をシェアするのは基本的人権です」てなことを言ってしまうほどに。

この映画の中ではSNSが次のステップに向かうとしてもここまでのことは起こらないよ、と感じさせられる展開はあるもの、それでも人はすぐに周りや自分が見えなくなるものなので、何事も良い面と悪い面があるのでほどほどが一番だわ、と改めて思ったり・・・。

 そしてメイを演じたエマ・ワトソンは言わずもがな「ハリー・ポッター」シリーズの大ヒットで世界中が彼女を知る、そんな存在なだけに彼女がこの役を演じるのはとても説得力あり、なのでした。

By.M