ウラシネマイクスピアリブログ

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『ゴジラ-1.0』

 『シン・ゴジラ』の人気が日本を席巻してから早7年、また伝説と興奮、そして感動のゴジラ映画が爆誕!!今回ご紹介するのは11/3(金・祝)公開『ゴジラ-1.0』(読み:“ゴジラマイナスワン”)です。

 日本を代表するアイコン、ゴジラは今年生誕70周年、国産実写ゴジラ映画通算30作目と大きな節目を迎え、満を持しての登場です!メガホンを取るのは『永遠の0』『STAND BY MEドラえもん』ほか日本の大ヒット映画にこの方あり、映画興行を牽引しているといって過言ではない山崎貴監督です。大ヒットを記録し、批評的にも大成功を収めた『シン・ゴジラ』を観た時に「次をやる人のハードルはとんでもなく上がってしまいましたね。」とコメントしていた山崎監督に思いっきりそのお鉢が回ってきちゃいました。

そもそも『ALWAYS続・三丁目の夕日』でゴジラを登場させていた監督。そのVFXだけで半年を費やしていたそうなので既に素地あり。ゴジラ愛もたっぷりです。

 公開まで情報を極力抑えて宣伝されているのでオフィシャルのあらすじも簡素・・・舞台は全てを失った戦後の日本。無(ゼロ)になった日本へ追い打ちをかけるように現れたゴジラがこの国を負(マイナス)に叩き落とす。人々は生きて抗う術はあるのか・・・というもの。

帰還兵・敷島(神木隆之介)は戦禍により両親を失い、家も焼かれ一人ぼっちになった状況で典子(浜辺美波)と出会います。戦争で全てを失ったもの同士が共に助け合い、なんとか前進しようとした矢先、東京にゴジラが上陸してしまうのです。

 怪獣王ゴジラに容赦はありません。空襲をかろうじて乗り切った人々も建物もむごいまでにゴジラの犠牲になります。ただでさえ全てを失くし無力な人間の前に絶望を具現化したような圧倒的な存在感としてのゴジラ、それを見事に山崎版で描きます。ゴジラが銀座の街を破壊し尽くす様のパニック描写は映画とわかっていても本当に恐ろしく、特にゴジラから放出される熱線で建物が破壊され人が吹き飛び暴風の吹き返しが起きるシーン、黒い雨が降る東京の図には心底、私震えました・・・

 また『シン・ゴジラ』ではセリフの応酬、スピーディーな展開、変形するゴジラと監督だった庵野さんの世界観が炸裂し“今までにないゴジラ映画”が誕生していましたが、本作ではエモーショナルなドラマ展開を得意とする山崎監督が市井の人々VSゴジラをこれまた見事に描いてみせます。ある者は戦争で大切な人を失い傷つき、ある者は戦地から生きて帰ったことの罪悪感を拭えず、またある者は仲間を守り切れなかったことへの悔恨に苛まされている、・・・登場人物誰しもが戦争で深く傷ついているけれど、新たに直面することとなるゴジラという大きな障壁の前で「今度こそは・・・」と奮起する姿が猛烈にドラマティック。でもそれが自己犠牲に向かうのではなく、あくまでも未来を生きるために今にかける行為になっていることが我らを感動の渦に巻き込むのです。

 未だ終わっていない自分と戦争との決着を巨大な敵ゴジラとの対峙で描く山崎版ゴジラはまごうことなき『シン・ゴジラ』と双璧の傑作ゴジラ映画と言えましょう。腹の底にくるゴジラの咆哮音をぜひスクリーンで体感してください!!

By.M