ウラシネマイクスピアリブログ

映画を愛するシネマイクスピアリの宣伝担当者が
今後の上映作品を
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『ハウス・オブ・グッチ』

 新年があけました!本年もよろしくお願いいたします。
さて新春1本目にご紹介するのは豪華キャスティングでお届けするこの映画・・・  
 
 イタリアの世界的有名ブランドGUCCI、創業者一族の手で事業を拡大させ、世界中にその名を知られるブランド帝国。その一族に降りかかった衝撃の事件を描く1/14(金)公開『ハウス・オブ・グッチ』をご紹介いたします。

 貧しい家庭で生まれたパトリツィア・レッジャーニ(レディー・ガガ)。とあるパーティーで出会った男性に心躍る。彼の名前はマウリツィオ・グッチ(アダム・ドライバー)、世界的ファッションブランド「グッチ」創業者の孫。パトリツィアの積極的なアプローチから惹かれあった二人はマウリツィオの父・ルドルフォ(ジェレミー・アイアンズ)の反対を押し切って結婚。しかしパトリツィアは一族の権力争いもブランド事業をも自ら操るようになる。しかしそれが二人にとって、ブランドにとって破滅的な道を辿ることに・・・

 誰もが知るファッションブランド、グッチ一族の愛憎劇をレディ・ガガ主演でお送りします、という点だけでワイドショー的なノリで「ちょっとそれ観たいわ~」と好奇心がくすぐられちゃいます。ガガ様と言えば『アリー/スター誕生』で歌姫を演じ圧倒的歌唱シーンは言わずもがな、その演技力の高さも注目されましたが本作では演技1本で“人生叩き上げ姐さん”ことパトリツィアを演じます。

 パトリツィアのお相手マウリツィオは「スターウォーズ」シリーズのカイロ・レンでお馴染みのアダム・ドライバー。父ルドルフォが経営には興味がなく、奥さんにも先立たれ息子溺愛だったからかマウリツィオは絵に描いたような“いいとこのお坊ちゃん(パターンA)”です。お父さん同様、優雅に暮らしていたのですが、恋のお相手パトリツィアは向上心とガッツの塊。これまで主体性もなくはんなりと生きてきたと思しきマウリツィオ坊ちゃんも、狙った獲物はスピード感と入念な作戦でもって百発百中モノにするパトリツィア姐さんの手腕であれよあれよと彼女の人生の歯車の1つになり、導かれるまま稼業に邁進することになるんです。

 しかし当時、経営の事実上のトップはルドルフォの兄・アルド(アル・パチーノ)。パトリツィアは伯父アルド、そしてその息子パオロをも味方につけブランドを手中に収めるべく地固めをするのです。パオロを演じるのは一見誰かわからないジャレッド・レト。彼を知らない方はググってみたらたまげます。普段は細身のイケメンさんですが毎回6時間かけてのメイクとその演技力で巨漢の冴えないパオロに変身です。

才能には恵まれずでも名門一族に生まれてきただけでかなりのことを大目に見てもらえていた彼も絵に描いたような“いいとこのお坊ちゃん(パターンB)”。そんな放蕩息子ではあったけど父アルドは溺愛、でもパトリツィアの目論みで二人は険悪になってしまいます。そんな二人が親子喧嘩するくだりはこの映画屈指の見所シーン。だってお父さん、アル・パチーノです。壮絶な喧嘩シーンではあるのですが笑ってしまう・・・。当人たちにとっては必死なことは他人にとっては滑稽にみえるもの。そう悲劇と喜劇は紙一重だもの。

 パトリツィアは財産、地位、名誉のために家族やブランドをめちゃくちゃにしたと知られる女性ですが、手段はさて置き、身分格差も何のその、そのガッツは天晴れとしか言いようがありません。ただ姐さん、暴走し過ぎてしまった・・・でもそれも結局は彼女に対するマウリツィオの愛情がなくなったことがきっかけだったとすると何だか切なくもあります。

 本作の監督は“勢い衰えることない”の枕詞がお約束のリドリー・スコット(84歳)。実際に起きた石油王ゲティ家の孫、誘拐事件を描いた『ゲティ家の身代金』も監督しているので“富豪一族”の確執によって浮き彫りになる悲劇にただならぬ好奇心があるのか?有名な事件を題材にしているのでこの結末、ご存知な方も多いと思いますが、それでも見応えたっぷりです!

By.M