ウラシネマイクスピアリブログ

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『ブリット=マリーの幸せなひとりだち』

 コロナ禍の自粛生活期間で自分のこれまで&これからのことを考えてしまった方も多かったのでは?そんな方にお届けしたい1本、7/17(金)公開『ブリット=マリーの幸せなひとりだち』をご紹介いたします。

 ブリット=マリーは63歳の専業主婦、完璧に家事をこなし夫を支え続けて40年。が、そんな夫に別の女性がいることが発覚!家を出ることにした彼女ですが職になかなかありつけず、やっと見つけたのは小さな町のユースセンターの管理人兼サッカーチームのコーチ。管理人業務はお手の物だけどサーカーはルールすら把握してないレベルだったので彼女の悪戦苦闘の日々が始まります。

 映画の冒頭では家事全般、何でも一人でこなすブリット=マリーの規則正しい生活が描かれます。これだけの事を完璧にやりとげる、しかも毎日、という労力がどれだけ大変か・・・自分の面倒すら見られない私は尊敬の眼差しでこれらのシーンを観ていたのですが、得てして身近な人への感謝はおざなりになるもの。

ご多分に漏れずブリット=マリーの旦那さんも温かい料理、整頓された部屋、折り目正しいシャツ、どれもが当然なことと思っていて大好きなサッカーを第一優先することはあってもブリット=マリーを大事にしている、という風には思えません。それでも彼女は「一日ずつ、一日ずつ・・・」を合言葉に変わらない日常の積み重ねを最も大切にしています。当たり前のことはとてもかけがえのないことだと知っているから・・・

 でも長年連れ添った旦那が浮気をしていたと知ったブリット=マリー、さすがに堪忍袋はプチっと切れ、一人新しい人生を見つけるべく自立の道を歩もうとします。が、働いた経験はなく、年齢もネックになり、仕事は全く見つけられず結果、ユースセンターの管理人の仕事をなんとかゲット!子供たちが集う荒れ放題の施設も彼女の手にかかれば整理整頓が行き届いた場所にはなったもの、子供たちとのコミュニケーションではてんやわんや。

これまでの彼女の人生、大抵のことは“重曹”で何もなかったようにピカっと片付いたけれど、人間関係となるともちろん簡単にはいきません。自分のことだけだったらTo Doリストで管理も出来ていたけれど、他者が介在すると思うようにいく訳がない。しかも彼女が相手をするのは遊びたい盛りの子供たち。ナメられるわ、言うこときかないわで振りまわされる彼女ですが、親切な町の人に助けられたり、無邪気な子供たちとの触れ合いで、思い通りにならないことの楽しさも知っていきます。

確かにコロナのせいで「なんてことない事がなんてことなく出来るのって幸せ!劇的なことなんていらない、平穏な日々でいい!」と思ったりもしますが人生、それだけでは味気ない。自分の思うようにコントロールして生きていくことは落ち着くけど、思いもよらぬハプニングが人生を潤したりしますもんね。そしてブリット=マリーにとってルーティーンの日々を重ねることが心の拠り所になっている別の理由も劇中では描かれますが、ルールから外れた行動が彼女自身に様々なサプライズを呼び込んだことで、ブリット=マリーは新しい一歩を踏み出す勇気を一つ、一つ手にしていくのです。

しかも何かを始めることに重要なのは早い、遅いではなく、それをやる、とにかくやってみること、というメッセージは多くの人の心に勇気パワーを注入してくれると思います。

 本作は日本の他に46カ国以上の国で出版されているスウェーデンの人気作家フレドリック・バックマンの「ブリット=マリーはここにいた」を映画化した作品。是非、原作と併せてお楽しみください。

By.M