ウラシネマイクスピアリブログ

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『透明人間』

 梅雨が明ければ本格的な夏が始まりますね。夏と言えばホラーにサスペンス!?予告編を観るだけでゾクゾクしちゃう7/10(金)公開『透明人間』をご紹介いたします。

 セシリア(エリザベス・モス)はある夜、計画的に恋人エイドリアンの元を去ろうとしていた。天才科学者で富豪の彼だったけれど自身の意のままに支配しようとするDV男だったから・・・脱出に成功するもエイドリアンが自殺したことが伝えられる。彼がそんな事をする訳がない!とその死に疑いを向けるセシリアだったがその後、彼女の周りで不可解な出来事ばかりが起きるようになり・・・

 DV男から逃げたらそいつがストーカーになった、そんな状況だけでも最悪なのにさらに“透明人間”になって執拗に追い詰めるって、その発想だけで人を恐怖に陥れるという点でこの映画は既に成功している、と言っていいんじゃないでしょうか。

これまでの概念だと薬を飲んで透明人間になってイタズラをするというのが定番だったと思いますが、エイドリアンが天才科学者設定なだけにあるものでもって透明になるというのが新しく、そのルックもなかなかいい感じです。(褒めてる場合じゃない!)

そしてエイドリアンの最低っぷりを熟知しているセシリアは彼の死が受け止められず不安におびえる日々。そんな時に彼の反撃はすぐ様始まります。でも「彼はまだ生きているのよ。気配を感じるもの。あれは彼の仕業よ!!」と言ったところで周囲から見れば精神を追い詰められた女性としか扱われない、という悲劇までもが彼女を襲います。見えない敵、自分にだけは感じる敵を前に為す術はなく、一方でエイドリアンの反撃はエスカレートするばかり。

巧みな罠もしかけられていてセシリアは絶対絶命!そんな精神的な圧に加え、透明人間となった彼がすぐ側にいるかもしれないというホラー的な恐怖感も加わって、観ているこっちもどんどん追い込まれていくのでした。でもそれで屈しないのがセシリア。後半、彼女の逆襲が始まります。

 ヒロイン・セシリアを演じるのは海外ドラマ『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』のエリザベス・モス。男性が絶対的なパワーを持つ近未来での女性たちの反乱を描いたこのドラマで一躍有名になっただけに、サシリアを演じるのにイメージもピッタリ!正気と狂気の狭間でどんどん精神を衰弱させながらも「泣き寝入りはするものか」と反逆に出るその姿はまさに今のヒロイン像です。

 本作は『ゲットアウト』『アス』、『ハッピー・デス・デイ』ほか低予算ながらもクリエイターの裁量重視で良作映画を作り続けているジェエイソン・ブラム率いるブラム・ハウスズ製作作品。脚本や設定の斬新さからヒット作が続いているこのブラム・ハウスで、今後は本作の監督リー・ワネル×ライアン・ゴズリング主演で『狼男』をリブートさせる話が上がっているので、そっちも楽しみ!ますますブラム・ハウス印に期待です。

 さて只今映画館は1席ずつ間隔を空けで映画をご覧いただいているこの環境下、隣に本当に誰もいない・・・とは言えないかもですよ。ふふふ。

By.M