ウラシネマイクスピアリブログ

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『引っ越し大名!』

 今回は“お引っ越し”を題材にした映画をご紹介いたします。
8/30(金)公開の『引っ越し大名!』です。

 “お引っ越し”と言っても今回は江戸時代にあった藩の国替えのこと。藩主とその家族総勢10,000人にもなる大移動になったそのお引っ越しは桁はずれの費用と労力のかかる超難関プロジェクトだったそうで、この映画で幕府より姫路(兵庫)から日田(大分)への引っ越しを言い渡されたのが姫路藩主・松平直矩(及川光博)。それを成功させるために総責任者、引っ越し奉公になったのが本作の主役・片桐春之介(星野源)です。

前任の引っ越し奉公が亡くなったために白羽の矢がたった春之介は書庫にこもってばかりの“ひきこもり侍”でしたがそれならさぞかし知識が豊富であろう、とこのお役目に大抜擢!でも肝心な春之介は人と話すのも苦手・・・。そんな春之介が過酷なミッションに挑戦することになります。

 今をときめく日本一の人気者と言って過言ではない星野源さんの6年ぶりの主演映画という事で色めきだっている方もたくさんいらっしゃるかと思います。しかも彼が演じるのが文化系侍、望んでもないのに頼りにされ神輿にかつがれてしまう、という人柄の良さが出る役ってのも何だかピッタリ。無茶ぶりされて「え~そんなの出来ませーーーーん!」と叫ぶお源さん、申し訳ないけど絵になります(笑)

「“国替え”に失敗したら即切腹!」と上司に脅され、もうやるっきゃない状況に追い詰められた春之介ですが、幼馴染で武芸の達人・鷹村源右衛門(髙橋一生)や前・引っ越し奉公の娘・於蘭(高畑充希)が助けに加わり、藩士とその家族全員、その数総勢10,000人での大移動が始まります。

 と言う設定を聞くとなかなかのファンタジーですが、引っ越し奉公になった春之介の上司は仕事を丸投げしたり足を引っ張ろうとするなかなかのパワハラ揃い。そこには現代社会でも「あるある」な光景が広がっていて、春之介を自分と重ねて、「頑張れ!」と心の中でエールを送ってしまうかも!?

 内気な春之介が率先して陣頭指揮を取ること自体は無謀ではあったのですが、髙橋一生扮する源右衛門が持ち前の明るさと腕っ節でもって場を盛り上げ、春之介の心の支えになる様子、その友情もとても微笑ましいし、国替えの手順を指南してくれるしっかり者の於蘭も加わり、チーム感も増していきます。

現実でも「嫌だなー、自分には向いてないよ」なんて尻込みしてしまう仕事のお鉢が回って来る、というのもよくあること。そう言う時に周りの協力や自身の特性をプラスに変えることで、乗り越えられる山もあるかもしれぬ!と思わせてくれるのがこの映画でもあります。そう、つまり本作は“THEお仕事ムービー”なのです。

 パッケージとしては時代劇ですが、溢れるユーモアとちょっぴりの悲哀、そして今、勢いある俳優たちのキャスティングで今と昔がとてもうまくMIXされた1本になっているので家族揃って楽しめると思いますYO♪

By.M