ウラシネマイクスピアリブログ

映画を愛するシネマイクスピアリの宣伝担当者が
今後の上映作品を
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『きっと、それは愛じゃない』

 2023年もシネマイクスピアリをご愛顧いただきありがとうございました。今年最後にご紹介する作品は年末年始にピッタリ、ハッピーで軽やかな気分にしてくれるラブストーリー、12/22(金)公開『きっと、それは愛じゃない』です。

 ドキュメンタリー映画監督のゾーイ(リリー・ジェームズ)は幼馴染のカズ(シャザド・ラティフ)が親の決めた相手と結婚することを知りビックリ!今の時代にお見合い!?と興味を持った彼女はカズが結婚するまでを追うドキュメンタリー映画を撮影することにする。そんな中で彼女はカズに対する自分の想いに気付いてしまう・・・

 最初に声を大にして言いたいことはこの映画は『ラブ・アクチュアリー』、『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』ほか名作のラブストーリーを作り続けるワーキング・タイトル製作なこと。大事なことなので2度言います。この映画はワーキング・タイトル印です。それを聞いて「おっ」と身を乗り出した方は間違いなくこの映画を好きになってもらえると思います。それぐらい安心と信頼なワーキング・タイトル映画なんです。(3度言っちゃった)

 長い間友だち付き合いをしていたゾーイとカズ。でもカズがお見合い結婚をすると決めたことで二人の関係性に変化が・・・と聞くだけで、まぁエンディングまでだいたいのことが想定されます。でもラブコメ、ロマコメはハッピーになりたくて観るんだもの。これまであまた作られた恋愛映画におけるハッピーエンド、そこに辿り着くまので映画的創意工夫を愛でる、楽しむために観るんだもの。そんな願望を満たされたい!それに100%で応えてくれるのが本作です。

 そして「青い鳥は身近にいましたとさ」的物語だけじゃなーい。舞台のイギリスは昔から移民を多く受け入れてきた国であることも反映され、カズはパキスタン系イギリス人の設定で(監督もパキスタン出身)お見合いに関してもパキスタン流のカルチャーが大きなポイントとなっています。それに興味をもったゾーイがドキュメンタリー映画を撮るという設定で“カズの結婚”を追うので、結婚にまつわるエトセトラや家族観といった馴染みないパキスタンカルチャーのあれやこれやをゾーイのカメラ越しに知ることも出来るナイスな流れなんです。

 映画の導入部分でもある“愛なく結婚が出来るのか?”、“条件で選んだ先に愛は生まれるのか”といったお見合い結婚の疑問やそこから派生する恋愛当事者たちの悲喜こもごもだけでなく、わが子に幸せになってほしい親の想いや親を喜ばせたい子供サイドの気持ちも描き、自分らしく生きることって何?という人生のサジ加減までも描いていきます。

そう、一つ“愛”をとっても恋人同士、家族、友だちと様々な愛情があるようにワーキング・タイトル印の映画ではカジュアルなラブストーリーを描いていると見せかけておきながら最終的に大きな“愛”を描いていくところが本当に憎いっ!

 その気が利いてる加減はちょっとした台詞の随所に反映されていて私は観ている間に何度も心のメモに走り書きをしました。人生と恋愛の教訓に満ちているところもポイントですYO! ワーキング・タイトルからまた新しいワンダフォーな映画が誕生したのでぜひお見逃しなく☆

By.M