ウラシネマイクスピアリブログ

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『ローマの休日 製作70周年4Kレストア版』

 ここ数年、過去の名作のデジタルリマスター版の上映が続いています。何十年も前の作品でも最新のデジタル技術を用いてスクリーンに復活し、想い出の1本や見逃していた名作と映画館で出会えるチャンスが巡ってくるのは素敵なことですね。今回ご紹介する作品は8/25(金)公開『ローマの休日 製作70周年4Kレストア版』です。

 ヨーロッパを周遊中のアン王女(オードリ・ヘップバーン)は公務に縛られ不自由な毎日にうんざりしていた。滞在中のローマでの歓迎舞踏会の夜、宮殿から抜け出した彼女は街をさまよい歩き偶然、新聞記者ジョー(グレゴリー・ペック)と出会う。ジョーは「大スクープ!」とばかりにアンが王女だと知らないフリをして彼女のガイドを買って出るが次第と二人の間には恋心が芽生え始める・・・

 当館でも昨年5月にドキュメンタリー映画『オードリー・ヘップバーン』を上映したばかりなので改めてオードリーに魅了された方もいらっしゃると思います。無名の新人だったオードリーが一躍大スターの階段を上ることになったのがこの『ローマの休日』でした。

アン王女がお忍びでローマを観光するというあらすじなので劇中ではこれぞ!という名所の数々が押さえられ、この映画を観た後にロケ地巡り的にローマを訪れる方も増えたとか。

 しかし製作から70年たってもこの映画が未だに愛され続け、なおも輝きを放っているのはなぜなんでしょう。前述したローマの街の魅力が存分に活かされているから?オードリー扮するアン王女の纏う衣装(アカデミー賞最優秀デザイン賞受賞)がどれも素敵過ぎるから?とにかくオードリーがアン王女にピッタリで可憐過ぎるから?どれも当てはまるでしょうが、やっぱり肝はそのエンディングにあると思います。

(映画をご覧になったことがない、という方はほぼネタバレしますのでご注意を!)

 王室という籠に閉じ込められていたアン王女が外の世界を知りそれまでの自分を捨て、主体性を獲得しどんどん魅力的に輝いていくその姿。そんな彼女と相思相愛的に惹かれるブラッドレーとの恋の結末が“身分を越えてのハッピーエンド”であることを観客が望むのは言うまでもありません。でもアン王女が選んだ道はお決まりのそれに非ず、彼女の選択は今を生きる我々にもその道筋を示す決断でした。

 70年も前に“自分の意思でもって自分の人生は選択出来る”というメッセージが発せられていたことがこの映画を不朽の名作と言わしめる所以ではないでしょうか?しかも幸せの着地点は恋愛だけでない、という提言。『ローマの休日』は今風に言えば、70年前から現代の我々に向けられた“エンパワーメントムービー”だった訳です。

 それでもやっぱり結ばれてほしかった、という方もいるかもしれませんが、ほのかな恋心が結実はせずともそれにより二人が永遠に秘密を共有する同士になった、つまり恋愛成就を越えたところにあるプラトニック・ラブに悶絶してみては如何でしょう?あったかもしれない出来事に思いを馳せることほど妄想を掻き立てるものもありません・・・ふふふ。

 公開から70年を越えてなお我らの心を揺さぶる本作は4Kでレストアされたことでより一層美しさを放ちます。今回、今は亡き「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」でお馴染み映画評論家の淀川長治さんの解説映像も本編前後に上映しますので名解説と共にお楽しみください☆

By.M