ウラシネマイクスピアリブログ

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『LAMB/ラム』

 今、ある界隈でこの映画に出てくるキャラの虜になっている人が続出です。今回ご紹介する作品は10/7(金)公開『LAMB/ラム』

 山間に住む羊飼いの夫婦イングヴァル(ヒナミル・スナイル・グブズナソン)とマリア(ノオミ・ラパス)。ある日、二人が羊の出産に立ち会うと人間とも羊とも言い難い存在の誕生を目撃する。子供を亡くしていた二人はその子を“アダ”と名付け大切に育てることに。それは彼らに幸せをもたらすかに見えたがやがて想像し得ない結末が彼らに訪れる・・・

 本作はまたもややってきた“この時点で興味があればすぐ映画館にGOしてください”案件です。伝えようとすれば語るに落ちる状態になってしまうし、語ったとして色々な妄想も解釈も膨らみまくる上に色々インパクトあり過ぎるので、とにかく「観て!」としか言えない。

 かく言う私も「羊っぽいものが生まれて、それが夫婦の間に何かどえらいことを引き起こすんだろうなぁ」ぐらいの情報で観た訳です。高まる期待と何が起こるの?という妄想で身構えるから緊張感もハンパナイ。実は劇中で次々に事件が勃発する訳じゃないんです。むしろ何も起きない・・・表面上は!でも確実に色んな不穏な予兆を感じとれてしまうから終盤まで集中力が高まり、私ヘトヘトでした。

台詞は最小限、アイスランドの大自然の山間にぽつんとある一軒家が舞台なので画面上の情報量も決して多い訳じゃない。なのにそこから感じ取ることが出来る得体のしれない刺激の多いこと。その画力、表現方法、そして想像も出来ないエンディングですよ。もう「驚愕」という言葉はこの映画のためにあるような単語です。

 そんな中で冒頭触れたように観た人の心をもれなく奪っていくのが“アダ”です。アダちゃんは過去に子供を亡くすという悲しみに囚われた夫婦の元に天からの贈り物のように現れ、慈しみをもって育てられます。観ているこちらも最初こそ「何なんだ?」と思えど、花冠をするアダちゃん、もこもこセーター(それってウール!?)を着るアダちゃん、目にする初めてのものに戸惑いをみせるアダちゃんと色んなアダちゃんを知るにつけ愛着がどんどん沸いてきちゃう。

劇中でもイングヴァルの弟ペートゥル(ビョルン・フリースル・ハラルドソン)が突如夫婦の家に転がりこんで来てアダちゃんを大事に育てている二人を見るなり「おい、そいつ羊だぞ!」と敵意むき出しだったのに、気付けばアダちゃんにほだされ叔父さん面で和気あいあい、楽しく遊ぶまでに至る始末です。

まぁアダちゃん、めんこいからな~♪10人の子役、4匹の子羊、特性スーツを合成して誕生したアダちゃん、今やそのオリジナル映画グッズが高値のアイテムも即完するほどの人気だそうで、私の友人も「翌月のカード明細が怖い・・」と吐露するぐらい大人買いしておりました・笑

 物語自体は寓話的?神話的?民話的?宗教的?様々な示唆に富み、この映画を観るとしばらくこの世界観に引き込まれ、身を置くことになると思います。そして欲してしまうことでしょう、アダちゃんグッズを・・・

By,M