ウラシネマイクスピアリブログ

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『NOPE/ノープ』

 公開前から楽しみにしていたのだけれど観終わってもなお、この映画のことを考える日々です。今回は8/26(金)公開『NOPE/ノープ』をご紹介いたします。

 田舎の広大な牧場を父と経営するOJ(ダニエル・カルーヤ)。ある日突然空から降ってきたコインのせいで父親は不可解な死を遂げる。寡黙なOJとは反対に目立ちたがりの妹エメラルド(キキ・パーマー)、二人は共に牧場を引き継ぐが、OJは未だ父の死を受け入れられずにいる。そんな中、OJはある不可思議な現象に気付いてしまう。謎の飛行物体が牧場の上に潜んでいることを・・・

 はい、この映画は私がたまに発令する“私のオススメなんてどうでもいいので一刻も早く映画館にGO”案件です。ネタバレを踏んでほしくないというのが一番ですがそれは登場人物たちが遭遇する謎の飛行物体の正体が何なのか?というのをうっかり知ってしまわないように、ということだけではありません。とにかくフレッシュな脳みそでもって楽しんでほしいんです。だって予告やあらすじを知る限りで「きっと『NOPE/ノープ』はこんな映画」と皆が想像するストーリーと絶対違うと思うんです。(映画の冒頭からどんな話になるか全く予想が出来ない!しかも不穏!!)

 “未確認物体との遭遇”と言われると安っぽいトンデモ映画を想像してしまうかもですが、決してそういう映画ではありません。でもある意味トンデモ映画かもしれない。どうやったらこんな話を思い付くのか!というぶったまげる意味でのトンデモです。だから予告編も見ないで映画館にGOしてほしい、いや興味を持ってなかった方にこそ観ていただきたいのがこの作品です。

 この映画の特異性は監督のジョーダン・ピールの作家性が大きく影響しています。元はコメディアンとして活躍していた彼がこれまで手掛けた作品は『ゲット・アウト』(長編映画初監督にして手掛けた脚本はアカデミー賞受賞)、『アス』とこれで3作目。作風は基本的にはホラーとカテゴリーされますが、それらの名作が根幹に強い社会風刺やメッセージを表現していたようにジョーダン・ピール作品も格差、人種差別、分断といった“今”の社会が抱える問題をあぶり出します。でもその表現が唯一無二と申しましょうか、独創性&オリジナリティの塊!なのでカテゴライズするのもちょっと違う気がしないでもない。

伝えたいメッセージを映像や脚本に織り込む圧倒的なテクニックに毎回度肝を抜かれるし、彼の映画はメタ構造にもなっているので、妄想すればするほどその世界観は広がっていくので私みたく観終わった後にまだまだこの映画のことを考えてしまう、そんなするめ系な味わいに虜になる人も多いハズ。

 そして過去2作はどちらかと言うと通好みな作品だったかもしれませんが、未確認物体VS農場の兄妹という大筋だけでもハラハラドキドキのエンタメ映画なのに、サイドストーリーとして描かれる物語までまぁよく練られていること。アンサンブル映画としても秀逸ですし、感動パートまで用意されていて胸アツどころじゃありません。

 先入観なしで観ていただきたいので「だからどんな映画なんだ?」と突っ込まれそうなコメントしかしていませんが、毎週のように映画を観ている私でも「まだこんな驚きを与えてくれるの?」という歓びに狂喜乱舞だったので、兎にも角にも映画館で早々にご覧いただくことをオススメいたします。『NOPE/ノープ』は必ずやあなたの想像の遥か上を越えてくる!

By.M