ウラシネマイクスピアリブログ

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『ボヘミアン・ラプソディ』

2018/11/17

『グレイテスト・ショーマン』の大ヒットに続き、またみんなの心を熱くする映画が公開されました。今回ご紹介する映画は11/9(金)『ボヘミアン・ラプソディ』です。

言わずと知れた70~80年代を席巻した伝説のバンド<クィーン>。メインボーカルのフレディ・マーキュリーは1991年に亡くなり益々このバンドは伝説となった訳ですが未だその人気衰えず、という訳もこの映画を観ればわかると思いますし、よく知らなかった、という方がご覧になっても胸が熱くなる1本であることは私が保証します。かく言う私は<クィーン>ライトリスナーだったのですが映画を観終わってすぐおかわりをする日程を友達に提案した程なので・・・。

映画はバンドの結成、成功、挫折、そして伝説のステージ<ライヴ・エイド>での圧巻のステージまでをドラマティックに描きます。コンプレックスを抱えながらも、類まれなる音楽の才能を持っていたフレディ・マーキュリー。彼がギターのブライアン・メイ、ドラムのロジャー・テイラー、ベースのジョン・ディーコンと出会いバンドを結成。フレディの圧倒的なカリスマ性とメンバーで作り上げる独自の音楽性でもってあっと言う間にスターダムに上り詰めます。

 劇中、耳馴染みのあるクィーンの名曲がどのようにしてどんな風に作られていったかといった誕生秘話を交えながら物語は進行するので<クィーン>ファンの方はもう胸アツでしかありません。でもこの映画が単にファンのために作られただけなら私のようなライトリスナーの心まで掴まれることはなかったと思います。確かに圧倒的に曲が良い!劇中に溢れる28曲の名曲を聴いているだけでテンションは上がります。でもそれだけじゃない。

 心を打たれるのは唯一無二の才能でもって多くの人の心を虜にしていたにも関わらず、フレディ自身は常に孤独でひとりぼっちであることに囚われていた、というその悲しみに触れる瞬間なんです。自身の出自や生い立ち、厳格な父との確執、セクシャリティ、様々なコンプレックスに悩み続けたフレディ。多くのファンから求められ、愛されれば愛される程、自分が一人であることを痛感するんです。夜、大きな豪邸で一人佇み、唯一心を許していた親愛なる女性との電話とのやり取り・・・もう泣かせる!切ない!

そしてそういう時に限って悪いやつが寄って来るのが世の常で弱った時に付け込んでくる人間との関わりで彼は自分を見失ってしまいます。家族同然だったバンドメンバーとの関係性にも溝が出来、才能と人気を得てしても充たされない想いを抱える。選ばれた人の宿命なのかもしれませんが、それでも本当にやりきれません。

でもそんな彼がまた復活の狼煙を上げるきっかけとなるのはやっぱりバンドメンバーからの赦し、彼らとの絆だったのです。この映画がフレディを中心に描かれながらも、その実メンバーがいたからこその<クィーン>というチーム感がきっちり描かれているところにさらに胸が熱くなるのです。

フレディは音楽があったからメンバーと出会い、彼らと家族にもなり、彼らと作り上げた音楽で世界と繋がる、その高まりが終盤に向けてどんどん加速し、全てのボルテージが<クィーン>の分岐点のステージとなる<ライヴ・エイド>、21分に渡る完全再現に集約されるのでもうラストは本当涙、涙。しかも歌詞(日本語字幕あり)がここまで描かれてきたフレディの人生にリンクするので、耳馴染みあった曲もこれまでにない程沁みて、「ここで俺を殺す気か~」と叫びたくなるほどの胸アツエンディングを迎えるのです。この映画に必要なのはペンライトよりハンカチです!

 こんなにも心高ぶる作品が完成するまでには実は主演俳優の度重なる変更、製作中断、監督降板と紆余曲折がありました。でもそれもまだ多くの人の記憶に残る<クィーン>の映画が妥協を許される訳がないからでしょう。そんな中で完成した本作、特にメンバーを演じた役者陣たちは一番に称賛されて良いでしょう。風貌やその動き、演奏シーンを完コピしただけに留まらず、彼らは本人に似せて演じたというより、この映画の中で彼らを生きてみせたのです。

 コアなファンの方におかれましては、ちょっとこのエピソードが違うな、と思うわれるところもあるやもですが、<クィーン>のマネージャーのジム・ビーチがプロデュースし、メンバーのブライアン・メイとロジャー・テイラーが音楽総指揮として名を連ねた本作。彼らのフレディに対する想いも加わった作品として愛でて頂ければと思います。つまり当事者監修なのでいろいろ言うのは野暮よ、ってことで!

 自身が一人ぼっちだったからこそ、同じ境遇にいる孤独なリスナーたちに向けて音楽を、メッセージを届けようとしたフレディのひた向きさ、それを支えたメンバーたちの愛に打ちひしがれてください。映画は冒頭から胸アツーーーー!

By.M

そして、感動をさらに高められる『ボヘミアン・ラプソディ』“胸アツ応援上映”開催も決定です。