ウラシネマイクスピアリブログ

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『ローズ家~崖っぷちの夫婦~』

 女心と秋の空、なんて昔の人は言っていたものですが人の心なんて秋の空、ということで心の移り変わる様は諸行無常です。さて今回ご紹介するのは10/24(金)公開『ローズ家~崖っぷちの夫婦~』、タイトルからも仄かにのっぴきならない感が漂ってますね。

 建築家のテオ(ベネディクト・カンバーバッチ)と料理家のアイヴィ(オリビア・コールマン)は子供たちと幸せに暮らす夫婦。誰もがうらやむような生活をしていた。が、記録的な嵐が発生した一夜を機にテオは無職に。一方アイヴィは人気シェフへと変貌を遂げる。嵐の到来が二人の人生を一変させたことで夫婦の関係性にも嵐が巻き起こる・・・

本作は90年代に公開された『ローズ家の戦争』を元ネタにオリジナルに敬意を払いつつ、今的にアップデートしたブラックコメディです。

 しかし、この映画を観ているとわかり味の嵐です。夫婦喧嘩は犬も食わないと言うぐらい、はたから見ればとるにたらないことが原因ですが、その些細なことが日常の中で蓄積されると、“幸せそう”、“幸せだった”夫婦の関係性がどんどん荒れていく・・・。それを実際に経験したり、そんな二人を見たりしたこと、多くの人があると思うんです。我慢という火種を溜めるとそれはいつしかマグマに成長し爆発しちゃいますからね。「あー、そこで素直に言わないと」「それ言っちゃダメー」と心のツッコミをローズ夫妻に投げまくってしまいました。コミュニケーションって本当大事!

 加えてこの夫婦は建築家として成功していたテオが主夫となり、長いこと主婦業メインだったアイヴィが一家の大黒柱へと役割の逆転が起きたことがきっかけで歯車が狂ってしまいます。テオ自身もこれまで全てをアイヴィに任せっきりにしていたことを顧みるし、そんな姿を見て旦那の自信回復のためアイヴィも力になろうとはするんですが、そこでむくむく湧き上がってきたのが互いの“プライド”。これがむちゃくちゃ厄介!

 夫を奮起させるためにアイヴィは土地を買い、そこにテオのこだわり成分が凝縮された家を設計してもらうのですがそれがまた火に油を注いじゃう。テオがこの家にみせる執着は自分の損なわれたものも取り戻す執念のようで滑稽に見えちゃう。だから夫婦仲がどんどん荒んだ果てにこの家を舞台に勃発する夫婦喧嘩が彼らの心の崩壊っぷりを象徴していて、もう笑うしかない。わからんでもないけれど、身近な人にこそ思いやりの心と敬う心を忘れてはいけませんな。

 そして最後にバッチさんことベネディクト・カンバーバッチ好きの私からはバッチさんの魅力が遺憾なく発揮された作品であったことも忘れずにお伝えしたい。イケボから繰り出される意地悪なジョーク、その鋭さ。コメディからエモ、そのほか様々な感情を完璧に表現するその確かな演技力。こういう映画こその才能が問われますからね。それはオリビア・コールマン然り。また二人がプライベートでも仲良しということが相乗効果となり、やりたい放題やってる感が最高!

 建築家、料理家という二人の職業もエッセンスになり、ハイセンスな絵作りにも心躍ります。そういったところもとっても大人な映画なので、こういう映画こそ、大切な人と観に行ってはどうでしょう。むふふ。


 ・・・さて、ここから先は男住人Aが先日都内で行われたトークイベントの模様をご紹介。登壇ゲストは小田井涼平さんと、映画コメンテーターである我らがLiLiCoさんご夫婦。

まずは映画の感想から!

小田井さん:とにかくテンポ感がすごく良かったのと、本来は悲しいシーンなのにちょっと笑えたりもしました。確実に言えるのは、映画を観終わった後に家族や友人、恋人に思わず感想を言いたくなるような映画でした。

LiLiCoさん:ラストが本当に衝撃的で「ウソでしょ」って思いました。ドタバタコメディな感じかと思いきや、すごくリアルでしたし。喧嘩のシーンもエンターテイメントとして見るとすっきりしますし、全体的にポップですごく気に入っています。女性が成功することの難しさもリアルに感じました。けど、とにかくエンディングがすごいです。


(映画のタイトルに合わせてローズの赤を効かせたファッションで登場したお二人)

小田井さん:普段赤を着ることがなくて、ちょっとテンションや基礎体温が上がっている感じがします。

LiLiCoさん:新しい気持ちでこの秋を迎えたいなと思って、今日のために買いました。なかなか一緒に舞台挨拶をすることはないので、気合を入れました。


(劇中の二人はロンドンのレストランで瞬く間に恋に落ちる設定ですが、LiLiCoさんと小田井さんはどんな風に?)

LiLiCoさん:惚れるっていうよりも「あ、この人と結婚するんだろうな」っていう勘が働いたんです。そのドライな感じが良かったなと思っています。映画の二人もものすごく燃え上がるように見えるんですけど、実は結構ビジネスライクだと私は思っていて。だからそこを同じに感じて面白いなと思いましたね。

小田井さん:歌のイベントで初めてお会いした時は、芸能界の大先輩という気持ちが強かったです。その後でご飯を食べに行きましょうみたいなことがあって、そこからのスタートですね。

LiLiCoさん:ご飯に行った時にすぐに本音でお話してくださったのがすごく印象的でした。あとは夫婦って「嫌に感じるところが同じ」っていうのが合うとすごくいいんですよ。美味しいものが合うとかよりも、自分が世の中で「こういうのってあまり良くないよね」ということが同じな方が関係が持ちます。

小田井さん:嫌なところが一緒というのは、うちの場合は夏の暑さが苦手でエアコン設定が寒い方がいい、というのもポイントです。もううちの家は南極か北極かぐらいです。笑
(部屋はキンキンに冷えていても二人の関係がホットに持続する秘訣は)奥さんがいつも言うことなんですが、とにかくコミュニケーションです。夫婦関係に限らず、友達、家族も全部そうだと思うんですけど。僕は夫婦だからこそ目と目で通じ合うみたいなのが理想だと思っていたんですが「分かんないよ、会話しないと伝わらないよ」って普通に言われました。実際にそれを実感することもありまして、夫婦円満の秘訣ですね。

LiLiCoさん:大事な話の時はテレビやラジオを切って、ちゃんと向かい合ってお話をすることがすごく大切。家族会議はいいこともいっぱいあります。コミュニケーションが一番大事です。

(ここで映画にも出てくるように、お互いが好きなところを10個ずつ挙げるコーナーへ)

◆小田井さん→LiLiCoさん

(補足:⑤自分の趣味を理解してくれるところ)

小田井さん:ポトフが美味しいところ。スウェーデンの人なので、うちの奥さんの手料理は食べたことがないものが多かったんですよ。日本人の、特にうちの実家では絶対出てこないような料理でした。そんな中でポトフは知っている料理だった安心感があって、しかも自分の知っているポトフよりはるかに美味かったんです。ほかの料理も実際美味しいんですが。
4番目の「笑顔と寝顔が可愛いところ」はだいたい僕の方が遅くまで起きているんですが、寝室のテレビに反応して寝ててもピクッてするところが可愛いなって。あと寝ている時にちょっといたずらもしてます。笑

◆LiLiCoさん→小田井さん

(補足:⑤整理整頓がうまい)

LiLiCoさん:変なプライドがないというのは、お互いに仕事をリスペクトしながら「LiLiCoの旦那です」って普通に言えることでしょうか。あとは変わった音楽を聞くところ。ヒット曲じゃなくても本当にいい歌を教えてくれて、そこからハマることも多いです。


(映画の中では夫婦が豪邸の所有権をめぐって戦うことに。「これだけは絶対相手に渡せない」というものは・・・)

LiLiCoさん:彼が集めたフィギュア以外は何も渡さないですね!笑

小田井さん:同じです。自分が集めているものだけは譲れないですね。あとは母親から預かった、自分のへその緒ですかね。

LiLiCoさん:(結婚の時にお義母さんから)預かったのは私だけど!へその緒のほかにも若い時の写真と、あと一番感動したのは、どういう名前にしようかと字画を計算したりした名前の候補。今は芸名なので、いただいた本名を全く使っていないのは私も一緒ですが。


(ここ最近でケンカされたことは?)

小田井さん:ケンカの場合は100%自分が悪いんです。奥さんはほぼパーフェクトなんですよ。僕はどちらかというと不完全人間なので。例えばトイレの便座を上げたら下ろさない。電気は点けっぱなし。玄関の鍵を閉めずに出かけてしまう。洗濯家事、皿洗い、料理も含め何もしない。昼まで寝てる。・・・そんなでケンカしてます。笑

LiLiCoさん:不思議なのが、片付けておいてって言ったら、最初は箱の中に入れるんです。そこから何か袋に入れた物をその横に置く。また別の紙袋に入れたものも置く。結果何も片付いてないけど、袋の中に入れたから片付いてるっていう意識みたいですね。

小田井さん:僕は前世がリスかもしれない。どんぐりをひたすらほっぺに溜めていく感覚。笑

楽しいイベントの最後には、LiLiCoさんから「映画を観た後、家に帰ってハグしました。パートナーの好きなところを一緒に考えることにもなると思います。」とメッセージ。

そしてサービス精神旺盛なお二人からはこんなサービスショットも♪ さすがです。笑

By.M&A