さて2週に渡ってお届けしています恒例の振り返り企画、今回は女住人Mが昨年一年間の当館上映作品の中から選ぶ「MYベスト映画ランキング」＜2023年版＞をお届けいたします。

早速、10～6位はこちら～
10位　 『シアター・キャンプ』
9位　　 『浦安魚市場のこと』
8位　　 『AIR／エア』
7位　　 『イニシェリン島の精霊』
6位　　 『ザ・ホエール』

　何気なく観た映画が想像以上に良くって映画館を出た後にHAPPPYな気分にさせてくれる映画との出会いは格別です。そういう意味でランクインしたのが『シアター・キャンプ』、『AIR／エア』です。『ドリーム・ホース』、『ダンジョンス＆ドラゴンズ／アウトローたちの誇り』、『グランツーリスモ』、『ザ・クリエーター』、『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』などもこの部類に入ります。

　また『浦安魚市場のこと』は2019年に閉場した浦安魚市場の最後の1年を追ったドキュメンタリー映画。地元を始め多くのお客様に足を運んでいただきロングラン上映となりました。コロナ禍より前に撮影された映画でしたがあのパンデミックで失ったものを想起させられるシーンもあって、撮影当時に監督が意図したものとはまた別の意味が生まれた作品になっていたように思います。映画にはそんな偶然が宿る瞬間があるんですよね。閉場から５年、3/29（金）～4/4（木）までの再映が決まりましたので未見の方はぜひお見逃しなく。

　そして去年のアカデミ―賞8部門ノミネートの『イニシェリン島の精霊』。小さな島に住むおじさん二人の痴話ゲンカ物語、と片付けてしまえばそれまでの話ですが、深読みすればするほど色々なテーマが隠されているし、田舎育ちの私にはこの小さな島の閉塞感がわかり過ぎるほどわかる！あとコリン・ファレルが着用しているセーターが可愛いのもポイントが高い！

　また、人生のどん底に堕ちた人間がラストチャンスをかけてワンスアゲイン！と奮起する映画が大好物なので『ザ・ホエール』も忘れ難い1本。本作でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたホン・チャウは『ザ・メニュー』、『ショーイング・アップ』と最近の出演作でも輝いているので今後も期待してます。

続きまして、5位　『生きる　LIVING』
黒澤明の名作『生きる』、舞台をイギリスに変えてリメイクされた本作。“リメイク映画、かくあるべし”のお手本と言っていいのではと思います。余命幾ばくも無いことを知った初老の男をビル・ナイが演じ、彼のチャームが遺憾なく発揮されていたことも加点ポイント。人生の限りを知った男が下す決断、パーティー券販売に忙しい政治家の皆さんにもぜひ観てほしいですね！

4位　『それでも私は生きていく』
こちらは＜キネマイクスピアリ＞で上映しましたが2023年公開の作品なので新作に交えてランクイン！自分の好きなように生きたい私にとって、自分を犠牲にしない生き方を選ぶ主人公サンドラの生き様が眩しかった。演じるレア・セデゥがまたレア史上最高に輝いている！

そしてベスト3はこちら～
3位　『別れる決心』
未解決事件を捜査する刑事と容疑者の女の辿り着く先は・・・官能的でドラマティック、構成は緻密ながらユーモアも忘れない。毎回、予想のK点越えをただき出すパク・チャヌク監督の新作はファーストカットからラストシーンまで悶絶の嵐！純愛のその先を描くことにおいて、私の心の1本成瀬巳喜男監督作『乱れる』の存在を脅かす1本でした。

2位　『フェイブルマンズ』
あまりの衝撃に2日連続で観てしまいました。映画を観る前は「スピルバーグ先生の映画愛を受け取っちゃうぞ！」と呑気に構えていた自分が本当に迂闊すぎて、粗忽者すぎて猛省した1本。光を見ていると思ったら、それは闇だった。光は闇によって生かされていた・・という映画の仕組みに準え人生そのものも描いてみせたスピ先生の怪作！

そして大賞は　『aftersun／アフターサン』
未だにこの映画を観て受け取った感情から立ち直れていません。悲しくもあり、寂しくもあり、でも確実にあった幸せの記憶とも共存している感情・・・。脆い父親を演じたポール・メスカルの次回作は大好きなアンドリュー・ヘイ監督による4/19公開『異人たち』、こちらも楽しみです！

今年も映画館で皆さんがたくさんのお気に入りの映画と出会えますように。シネマイクスピアリがそのお手伝いが出来れば幸いです♪

By.M

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