ウラシネマイクスピアリブログ

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『2023年総括の巻~MYベスト映画ランキング~』(男住人Aバージョン)

ご無沙汰しております。男住人Aです。
気付けば2024年も一月が過ぎようとしています。このスピード感、いったい何なんでしょう…。いっそ仕事も、その他の色んな雑事も、スピーディーに過ぎ去ってくれたらいいのですが、そうもいかないのが世の中ですね。今さらですが、今年もシネマイクスピアリをよろしくお願いいたします。

遅くなりましたが恒例の振り返り企画、女住人Mと男住人Aが昨年一年間の当館上映作品の中から選ぶ「MYベスト映画ランキング」<2023年版>を2週にわたってご紹介いたします!例年どおり偏ったセレクトですが、お付き合いくださいませー。


まず10位から6位!

10位 『イニシェリン島の精霊』
9位 『バーナデット ママは行方不明』
8位 『フェイブルマンズ』
7位 『ザ・ホエール』
6位 『首』
『イニシェリン〜』は観終わった直後は「何だこれー!不条理劇か?」と怒りに近い感情を抱いたのですが、不思議とジワジワくるタイプの作品だったことが後から分かりました。『バーナデット』は日本公開を待ち続けた作品がようやく観られた感激が大きかったですね。『フェイブルマンズ』『ザ・ホエール』はさすがの上質感。『首』はとにかく加瀬亮さんの織田信長にやられました!北野武監督は昨年から都内劇場でやっている旧作上映も大人気のようで、底力を感じます(僕も『ソナチネ』を観に行きました)

(バーナデットを演じるケイト様のややぶっ壊れたキャラはもちろんのこと、隣家の奥さんも良かったですねー)

続きまして、第5位 『逆転のトライアングル』
過剰に色々と繰り広げられる、前半の船上シーン。あれを心地よく観られる人は世界中に誰もいないと思いますが、あえて長々とやっちゃうところが感じ悪くてサイコーです。そして後半になると一転、エンタメサバイバル映画へと変貌。あれれ?今度は普通に面白い。結果、変な映画でした。好きです。

4位 『ザ・クリエイター 創造者』
こんなに良い意味で裏切られた映画は久々かもしれません。ごめんなさい、私、観る前は完全にあなどってました。特にラストに至るシーンは感動と興奮で堪らなかったですね。エモーショナルという言葉では足りないくらい。普段SFジャンルの映画は全然観ない僕ですが、良い作品はジャンルを飛び越えます。

――ここからベスト3!
3位 『The Son/息子』
暗い、重い、辛い。芸術と言われるものにはこの三重苦が欠かせないと思っている僕の志向にピタリとハマったのが、2023年ではこの作品。ラストに迎える地獄のような展開も、ある意味これがリアルなのかもしれません。人が人を救うのは、たとえ家族でも難しい。「(この病は)愛情だけでは治せない」みたいなセリフが劇中にありましたが、その残酷さに途方に暮れつつ、考えさせられた作品でした。

2位 『PERFECT DAYS』
まず最初に、僕はこの主人公の生活がタイトルどおりだとは別に思いませんでした。僕はもっと欲にまみれた人間なもので。それでも、この作品には不思議な説得力がある気がしました。気持ちよい朝の気配、箒をはく音、缶コーヒー、浅草の飲み屋、カメラやカセットテープ、仕事への矜恃。どれもがかけがえなく見えるのは、きっと本作の主人公がそこに幸せを見出して、大切に受け止めて暮らしているからこそですよね。ヴィム先生から「つまりはお前次第なんだよ」と諭された気分。個人的に、いま出会えてよかった作品でした。次々にちょっとだけ出演する役者さんたちもいい味出してますねー。

そして第1位! 映画『窓ぎわのトットちゃん』
とあるSNSユーザーさんの熱烈応援コメントに触発され、公開後しばらく経ってからようやく観た本作が2023年のランキングを最後にガラッと変えました。子供の頃から実家の本棚に原作本が並んでいたのに、今の今まで読まなかったことを後悔しました。
この作品のキモは小児麻痺を患うヤスアキちゃんだと思うのですが、事前情報は特にないにも関わらず登場シーンからなぜか泣けて仕方がない。もしかしたら自分でも思い出せないような、僕の中の古い記憶と何かリンクしたのかもしれません。そして物語の後半、大切な親友を失って、トットちゃんが哀しみの疾走をするシーン。いつの間にか街のあちこちには戦争の影が色濃く、出征を見送る行列や傷ついた兵士たちの中を駆け抜けるトットちゃん。もうこのシーンの描写がとにかく圧巻!これを見逃さなかっただけでも昨年の僕はラッキーでした。

以上、男住人Aによる2023年ランキングでした。

さて、ここでもう一つ、このランキングには入らなかった(=当館で上映できなかったので入れられなかった)作品をご紹介。旧作企画「キネマイクスピアリ」で3月に上映する『対峙』です。
高校の銃乱射事件で犠牲になった子どもの両親と、その後校内で自ら命を絶った犯人の少年の両親。事件から6年が経過し、ともに息子を失った被害者と加害者の両親が面会し、“対峙”する一部始終を描くのがこの作品。この映画がフィクションで良かった・・・と思いつつ、現実に劇中の両親と同じ想いを抱える人は確かに存在し、あるいは誰もが突然それと近しい立場に立つ可能性がある、ということからも目を背けてはいけないと思うのです。
上映は3/22(金)~28(木)の一週間限定。未見の方も、もう一度おかわりしたい方も、この機会にぜひ!

それでは、ハリウッドのストもどうにか収まった2024年が皆さんにとって映画三昧で楽しい一年になりますように。

By.A

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