ウラシネマイクスピアリブログ

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『孤狼の血 LEVEL2』

 東映実録路線映画と言えば『仁義なき戦い』シリーズや『県警対組織暴力』『北陸代理戦争』(オススメ!)が有名ですが、そのDNAを復活させる!と令和に蘇ったのが映画“孤狼の血“シリーズ。今回ご紹介するのは8/20(金)公開『孤狼の血 LEVEL2』です。

 映画『孤狼の血』は柚月裕子の同名小説を原作に、警察と暴力団、それらに関わる様々な人間模様を描いたヒット作。市民を守るためなら暴力団も警察組織も駒として扱う大上刑事(役所広司)、そして彼とコンビを組むこととなった新人刑事日岡(松坂桃李)の死闘の日々を描きました。原作の続編は『狂犬の眼』ですが、前作から3年後を舞台にしたオリジナル脚本で映画“孤狼の血”シリーズ2作目が誕生です。

 大上の遺志を受け継いだ日岡は暴力団と渡り歩き今や裏社会を治める一匹狼。しかし刑務所からある男が出所したことで暴力団同士の危うい均衡が崩れていくことになります。

元々はキャリア組未来のエリート刑事候補だった日岡も暴力団抗争の手打ちを仕切り3年後、立派なアウトロー刑事に成長。前作からの変わり様は「大上ぱいせんを継承してます!」感に溢れ、すっかり別人です。

 しかし、彼の前に現れたのは鈴木亮平扮する極悪非道にして鬼畜・上林。悪魔のようなこの男、出所後自分が所属していた五十子会亡き会長の仇をとるべく、それを影で操った刑事を見つけ出し復讐するため、手段を選ばないってもんじゃない。冒頭から目を覆いたくなるようなバイオレンスシーンでさすが“孤狼の血”、さすが東映ヤクザ映画!とその世界観に身震いです。

 本作は日岡を演じる松坂桃李を筆頭に前作からの連投組、本作からの参加組と様々な個性的な役者たちが結集、誰もがその魅力を輝かせているのですが、上林(=鈴木亮平)劇場のインパクトたるや!丁度、鈴木亮平さんは地上波ドラマで正義感溢れる爽やかな救命救急医を演じているので番宣などでお見かけしますが、すぐに上林の極悪っぷりな所業の数々がフラッシュバックで浮き上がるので、もうこの人がまともに救助してくれるのか?と不穏で仕方ないぐらいです。敵役がいいとその映画自体のテンションも高まるのセオリー通り、彼の存在でもういろいろぶち上がっていくので覚悟してご覧あれです。

そして「警察じゃけん、何をしてもえぇんじゃぁ」とその存在感が今もなお脳裏に焼きつく役所広司が演じた大上。本作を観るにあたってどうしても大上の、役所さんの不在が気になります。が、劇中で日岡が大上の遺志を継承したように、役所さんがいない“孤狼の血”シリーズを松坂さん始め若手役者たちが自身を追い込んで本作に挑んでいる、そんな心意気まで垣間見られより気持ちも高まってきます。

 そんな中でも特に村上虹郎扮するチンタがいい!日岡を慕い、ある夢を叶えるために上林組にスパイのような形で潜り込むチンタ。そんな思惑を感じ取ったか上林はチンタに揺さぶりをかけてくる、しかも尋常じゃないやり方で・・・。好意を逆手にチンタに無理を言う日岡、目論みがバレたら最後生きては帰れないと板挟みになり精神のギリギリまで追い込まれるチンタ。私の中ではこの役が村上虹郎史上ベストアクト認定です。

 日岡VS上林のタイマン全面戦争を主軸に、脇キャラたちも魅せまくるのでこの映画、
一瞬たりとも油断は禁物です!怖がらないで観てね♪

By.M