ウラシネマイクスピアリブログ

映画を愛するシネマイクスピアリの宣伝担当者が
今後の上映作品を
ウラからナナメから眺めてそっと語るオフィシャルブログ

『ジェントルメン』

 英国×スーツ、この2つが揃っただけでテンションが上がってしまうのはなぜかしら・・・今回ご紹介する作品は5/7(金)公開の『ジェントルメン』です。

 舞台はロンドン。大麻ビジネスで財をなしたマリファナ王ミッキー(マシュー・マコノヒー)が早期リタイアを決め、引退!というニュースがかけめぐる。利権総額は500億円!それに群がるのはユダヤ人大富豪、チャイニーズ・マフィア、私立探偵、ゴシップ紙の編集者、ストリート系のワルたち。くせ者たちが集結し、巨額の利権をめぐるコンゲーム(騙し合い)が始まります。

 コロナ禍の影響を受け、洋画を渇望していた皆さん、お待っとさんです。ポスターを見て「おっいいね」と思ってくださる方はきっとキャスティングの良さやガイ・リッチー監督作品であることで引っかかっている人も多いと思います。そうガイ・リッチーと言えば『シャーロック・ホームズ』シリーズ、最近では『アラジン』を大ヒットさせましたが、40~50代映画ファンにとっては『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』と『スナッチ』のガイ・リッチー。「こんなガイ・リッチー(映画)がまた観たかったんだ!」と評する人が続出ですがまさにそんな映画です。

“こんなガイ・リッチー”とはロンドンの下町を舞台にちょい悪なやつらが事件を起こす系映画。大概それに敵対する組織が加わり、ハプニングやアクシデントがどんどん起きていく、というのをスタイリッシュにかっちょよく描くのが十八番。セリフ回しもスピーディー、編集も斬新、音楽使いもセンス抜群な上に登場人物たちのファッションもイカしてる。カルチャー好きな方にはこのセット、コンボでご飯がすすむと思います。

 今回はマリファナ事業に関わる利権争いに有象無象が大集結、ということでたくさんの登場人物たちのストーリーが絡み合っていく、しかもそれをヒュー・グラント扮する私立探偵にしてゆすり屋のフレッチャー(大の映画好き)がこの闘争を映画化しようとしているという設定で狂言まわしのように語っていく、その展開がまた面白いんです。

ヒュー・グラントと言えば若い時はロマコメ・キングとして活躍していましたが、持ち前のコメディセンスと癖のある感じが年々いい塩梅に役に反映されて、年を重ねるごとに魅力増し増し。(最近だと『パディントン2』における悪役も最高!!)本作みたくゲスな役でもどこかチャーミングだし、彼自身がコメディリリーフ的な役を嬉々として演じている様がまたいい!

事件の中心にいるミッキーもマシュー・マコノヒーが「オーライ、オーライ」と(は言ってないけど・笑)余裕たっぷりに演じていて魅力的。こういう役が本当にうまいんですよね~色気もあって出来る男、しかも愛妻家という役をこんなにナチュラルに演じられる人もそういませんよ。

 そしてやっぱりファッションが憎い!雑誌「GQ」の特集ページですか?といいたくなるような仕立てのいいスーツ、トラッドなジャケット、そしてメガネや帽子といった小道具に至るまで英国紳士(ジェントルメン)の粋が光るスタイリングがテンコ盛り。特にYou tuber系ストリートギャングたちが着用しているトラックスーツは激ヤバなんです!あ~英国万歳!!

 本作でガイ・リッチーはルーツに立ち戻った感はあるのですが、イキった若者たちがおっさんたちをギャフンと言わせようとしていた初期作とは異なり、かつてイキった若者だった彼らがおっさんになり、今の若者たちに「これからは俺たちの時代なんだよ」と息巻くられ、かえっておっさんたちが「坊主はまだ坊主なんだよ」とメラっとする人間模様が描かれているようで、そこはかとない味わい深さも感じられるのでした。そう、ガイ・リッチーも腕を大きくゆっくり回しながら「まだやったる」と思っているハズなんです。そこにはちょっとした余裕と軽やかさ、そうジェントルさを携えて・・・

By.M