ウラシネマイクスピアリブログ

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『花束みたいな恋をした』

 コロナ騒ぎから早1年。劇的な生活の変化の中で一番感じたことは我々の日常は濃厚接触の上で成り立っていたんだなぁ、ということ。人と人が接近することを良しとしないafterコロナな時代の恋愛事情もどう変化していくのでしょう・・・今回ご紹介するのは2015年から2020年秋までを描くお話・・・・1/29(金)公開『花束みたいな恋をした』です。

 終電を逃したことで偶然出会った麦(菅田将暉)と絹(有村架純)。好きな音楽、映画、本と嘘みたいに趣味が合った二人はあっという間に恋に落ちます。大学を卒業してフリーターをしながら同棲をスタートさせ“日々の現状維持”を目標に就職活動を始めます。就職しても同じ時間を過ごせると思っていた二人ですが、環境の変化は二人の気持ちも少しずつ変えていくのでした・・・本作では「この幸せがずっと続きますように」と願った二人の5年間を描いていきます。

 会話をすればするほど、共鳴し合う二人。履いているスニーカーが同じ、とりたてて何でもないけど気になるな、と思っていることが同じ、趣味も同じ・・・となると胸の高まりが加速度を上げるのも必然。出会うべくして出会ったような二人の恋愛はすぐに始まり育まれていきます。恋人同士になり二人にとって愛おしい時間が春のポカポカした昼下がりのような温かさで紡がれていく。そのワンシーン、ワンシーンに自分の記憶を重ねたり、はたまた二人を見守る眼差しになったり。とてもリアリティを感じられる世界観にどんどん引き込まれていくと思います。

 それもそのハズ、この映画は「カルテット」「最高の離婚」など連続ドラマの脚本家としてファンが多い坂元裕二さんのオリジナル脚本。メインキャストは当て書き(演じる俳優を決めてから脚本を書くこと)されているので全体が実にしっくりと馴染んでいます。カルチャー好きな二人なので実在の固有名詞やらもバンバン出てきますが取ってつけたような違和感はなし。むしろ麦と絹がどういうキャラクターなのか、細かい設定が自然なセリフ、彼らの行動、持ち物などにも落としこまれていてさすがの坂元さん脚本なのでした。

 同棲も始め、ずっと一緒にいられればそれで良いなぁ、とぼんやり思っていた二人ですが、ただ楽しければそれでいい!の時期から“二人で生活をしていく”というフェーズに移行していきます。“生活”をするということは社会と繋がっていくことなので思い通りには運ばない事も増えて・・・・。ボタンを一つ掛け違えると全てがチグハグになってしまうように、あんなにピッタリとしていた二人の感情ですらほころびをみせるようになる。でもこういうのを重ねて大人になっていく、というか成長していく、というのか・・・。

 恋愛は成就しずっと一緒にいられることが幸せなことだろうとは思いますが、必ずしもその着地点にだけ意味があるものでもないかな、とも思えます。結実しなかったとしても、二人にはきっと大切にずっと閉まっておきたい記憶が残っただろし、それをこの先すっかり忘れてしまったとしてもそんな時間があったというだけで充分愛おしいことなのでは、と思ったり。

恋する二人が同じ歩幅で歩いた時間があった、そもそもそんな出会いと巡り合った、それ自体がかけがえのないことです。だって誰かと出会うことってそもそもミラクルじゃありませんか。

 NO密を求められ恋愛をスタートさせるのも難儀になったこの時代、共感度100%のこの映画で昔のこと、今のこと、これからのことに想いを馳せてみては如何でしょう♪

By.M