ウラシネマイクスピアリブログ

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『ビリーブ 未来への大逆転』

 みなさん、こんにちは。今回は3/22(金)公開『ビリーブ 未来への大逆転』をご紹介いたします。

 

 貧しいユダヤ人家庭に生まれたルース・ギンズバーグ(フェリシティ・ジョーンズ)は弁護士になる夢を抱き、名門ハーバード法科大学に入学。学生結婚をしていたルースは夫マーティ(アーミー・ハマー)の協力の元、主席で卒業するのですが彼女を雇ってくれる法律事務所はなく、大学で教鞭をふるっていました。ある日、マーティが手にしていた訴訟の記録を見た時にこの裁判が現状を変えてくれるきっかけになると気付き、自らが弁護を買って出ます。

 この映画の主人公、ルース・ベイダー・ギンズバーグは現在85歳にして現役バリバリの最高裁判所判事。そんな彼女が1970年代に挑んだ史上初の<男女平等>裁判を中心に物語は描かれます。

 自由の国アメリカと言えど、ルースが弁護士をめざしていた時代、社会は保守的な考えで溢れ、性差別もあからさまにあった頃。女性は職を選べるどころか、専業主婦であることが当然でした。ハーバード法科大学院に入学した際、女子学生歓迎会の席にも関わらず「男子の席を奪ってまで入学した理由を話してくれ」なんて学部長が言う始末。ただ男性と同じように自分たちもチャンスがほしいだけなのに・・・ルースほどの優秀な人材ですらこんな対応、いや優秀過ぎるからこんなこと言われちゃうのか?ルースは必死に自分の夢に向かって邁進します。

そんな中で彼女がラッキーだったのはこの時代(いや、今の時代も?)珍しく妻と対等であることを重んじる、同じく弁護士をめざす夫・マーティがいたこと。子育てと家事を分担し、二人で共に力を合わせて夢にむかっていたのです。彼がフェミニストだったと言えばそれまでかもしれませんが、この二人の関係性はとっても理想的です。

しかも最愛の夫が卒業を前に癌に侵された時、ルースは自分と彼の授業の両方受け、子育てと家事をし、彼を、家族を献身的に支えます。もうパワフル・ウーマン過ぎます。マーティをMr.ハンサムことアーミー・ハマーが演じるので余計に絵になる、というかイイ男っぷりに嫌味がなくってナイス・キャスティングなところも良し。

そしてこんな風に女性の権利を主張していこう!という映画が描かれる時に、いつも私が感じるのはそれは女性のためだけでなく、却って男性のためにもなるんじゃないか、と言うことです。ルースとマーティの夫婦がそうであるように男だから、女だからというカテゴリーで決めごとをするというより、得意な方がやる、出来る方がやる、という“ものさし”で行動する方が生きやすくないか?ということです。

一般的に家事=女性という見方があるかもしれませんが、男性でも料理や片付けが上手い人はたくさんいますし、むしろ好き!という方もいるでしょう。性別でカテゴライズして○○であるべき、という考えの元で行動すると男性も女性も窮屈になることってたくさんあると思うんです。今はme too運動のムーブメントもあって女性の権利を訴える動きも増えていますが、男性も「男性だからこうあるべき」という概念から解放され、それが軽減されたら生きやすくなることってたくさんあると思うんです。

なのでこの映画でスポットを当てられるのが、<男女平等>を問う裁判において女性が介護すると認められる税控除が男性には与えられないという事例、というのはとてもスマートだな、と感じたり・・・。
男性だって主夫をしながら介護をする、そういう権利はあって当然です

誰かの権利が向上した時に、別の誰かの権利が損なわれることはありません。より多くの人が生きやすくなる、ルースの活躍を通してそれをこの映画は問うているんじゃないか?と思ったりしたのです。NASAを支えた知られざる女性たちの活躍を描いた映画『ドリーム』がお好きだった方には特にオススメです!

By,M