ウラシネマイクスピアリブログ

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『クレイジー・リッチ!』

 キャスト、監督、原作、脚本とアジア系の人で揃えたハリウッド映画が全米で8月の終わりに公開され、3週連続首位を獲得し異例の大ヒットを記録しています。今回は話題沸騰中の9/28(金)公開『クレイジー・リッチ!』をご紹介します。

 原題は「Crazy Rich Asians」“頭がどうにかなるぐらい超絶金持ちなアジア人たち”とでも言いましょうか。主人公のレイチェルは中国系アメリカ人。母親に女手一つで育てられ、若くしてニューヨーク大学の教授をしている才女です。彼女にはシンガポール出身のイケメン彼氏ニックがいるのですが、実はその彼が“クレイジー・リッチ”だったのです。

ニックの親友の結婚式に参加するため彼の故郷シンガポールに向かうや否や、突然セレブな世界に足を突っ込むことに。彼の素性を全く知らなかったレイチェルが彼との恋愛を成就させるために立ちはだかる障害の数々が彼女を待ち受けていたのです。

 物語自体は王道ラブ・ストーリー。壁があればある程恋は盛り上がる、ロミオ&ジュリエット的展開と普通に暮らしていた女の子がお姫様になっていくシンデレラ的展開のコンボセット。最近、ロマコメやベタなラブストーリーの映画が減っているもの、この手の映画が大好物!という方はたくさんいらっしゃると思います。まさにそんな方に大満足していただける1本です。

 レイチェルは苦労人の母親の元で育っているので自立心も野心も備えている、素朴だけど逞しい、魅力的な女性です。そんな彼女に恋をしたニックはイケメンな上に優しい、しかもアジア屈指の不動産王のご子息だったのですが、セレブな環境で育ったからこそ、飾り気のないレイチェルに惹かれた模様。

とても良い子なレイチェルですが、そんじょそこらとは違う彼の家柄、故に「この子はお金目当てじゃないのか?」とかニックが愛されすぎているため親も親戚も女友達もレイチェルをニックが選んだ女性とそう易々と認める訳もなく・・・嫉妬や疑念に囚われた人たちは顔で笑っても目が笑っていないと言う・・・決してレイチェルに心を開いてはくれません。

しかもそこで登場するのがニックのお母さんエレノア・ヤン。元ボンドガールにして実際富豪の奥さまでもあるミシェル・ヨーが母親を演じ、大切なのは家柄と家族、中でも、息子のニックを溺愛となると、一筋縄にいかない感が只事ではありません。

レイチェルは中国系ではあるけれど、アメリカで育っているので考え方はまるっとアメリカ人。レイチェルの言動が“個”を大切にするアメリカ的個人主義VS家の歴史を重んじるアジア的家族主義という戦いにまで広がっていく所なんかは、アジア系とひと括りできない価値観の違いがあるのだな~、となかなか面白いポイントです。まぁお国柄だけでなく、結婚となると当事者同士だけでなく、家族・親戚と家問題に発展することが多いため、この映画で描かれることが現代人には広く共感されやすい、だからこその大ヒットの要因なのかもしれません。

 ベッピンな元カノ、意地悪な親戚、強敵ママ、そしてラスボスおばあちゃん、とレイチェルにはたくさんのハードルが用意されますが、常に自分で道を開いてきた彼女は今回も決して諦めることはありません。それを親友のペク・リン(オークワフィナ)やその仲間がバックアップするという流れも最高!


 「あ~、偶然街で石油王と出会って見初められないかなぁ」と妄想したことがある人は絶対、観るべしですよー。

By.M